女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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海獣

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 カロ邸に戻るとアルネスに驚かれた。五ハーン近い肉塊を担いでいるのだから当たり前である。カロ邸には現在アルネスしか居らず、これが食えるのか未だ不明である。

「取り敢えず食ってみるか?」

「毒ですと大変ですよ?」

「リュネかノーノなら解ると思うんだがなー。何処行ったの?」

「カケル様がお出になられた後で皆様お出掛けになられました。お嬢様は本日お仕事で…、そうです、ギルドで鑑定なさるのはどうでしょう?」

鑑定は五百ヤン…掛からないな。スキルで鑑定出来るじゃん。《逃げる》しない俺の知能等この程度である。
ササッと逃げて《鑑定》すると、此奴はグラントービードと言う名前らしく、食べられるそうな。台所ではちと狭いので裏庭で解体して皮と肉と骨にした。皮はギルドに持ってったら売れるかも知れんな。骨は《集結》で小さくし、肉はステーキにしてもらった。食べた感じは海の匂いのする牛肉で油分が少なく、ジューシーだが繊維が口に残る感じ。味はともかく煮て食べる方が良いのかな?焼くなら薄い方が良さそうだ。夕飯はこれを煮てもらう事にした。
お腹一杯食べたのでミズゲルの核を洗ったら客間のソファーで仮眠した。

小一時間程寝ただろうか、アルネスがお茶を淹れてくれたので喉を潤し、くるくる巻いた生皮と肉を担いでギルドに向かった。
海獣の皮は高い防水性と保温性の為、海で働く者のほぼ全てが着る材料になると言う。素材自体は安いが大きくて傷がないので、高くは無いがそれなりの値が付いた。金を貰ってその足で寝具店へ。駆け寄るサミイに肉をお裾分け。

「ふんふん、あー、これトービードですね?」

「もしかして嫌いだったり?」

「庶民の肉と言えば陸のゴーラに海のトービードですよ。下拵えに時間が掛かるのでゴーラの方が良いってママは言ってますけどわたしは好きですよ?」

食う係らしい発言だな。母親殿も来たので下拵えの仕方を聞いてみたら、一般に手に入る肉は血抜きが甘いので塩水に一晩とか漬けて味付けと同時に臭みを抜くのだと。俺の持ち込んだ物は血抜きがしっかり出来ている上に新鮮なので手間が掛からないと言われた。喜んで頂けたようで良かった良かった。その後、サミイの部屋でイチャイチャしていると謎の感知能力を持ったテイカが迎えに来たのでカロ邸へ向かう。サミイは名残惜しそうだったがママのお手伝いするそうで実家に残った。


 カロ邸では既にイゼッタ達が帰宅しており、家主の帰還を待つばかり。客間でお茶して過ごしていた。

「カケル、おかえり~」

フラフラと抱き着いてくる辺り、腹が減っているな?

「サミイとナニしてた?」

「お肉をお裾分けしに行って、イチャイチャして来た」

「肉!」

「夕飯はそれを煮てもらう事になってる」

「楽しみ」

肉と聞いてアヘるイゼッタをソファーに安置したら、向かいに座るリアをソファーの裏から抱き締めてしれっとパイタッチ。リュネも?是非。両手にたわわをタプタプしていると、仄かな威圧が飛んで来た。これはボインかな?挑発的な呼鈴だ。アルネスは料理中だろうし、暇なので玄関に迎えに行くと、家主と警護、そして張りのあるボインが待っていた。

「カケル様ぁ~んただいま戻りましたぁ~」

キリッとしてないカロさんに飛び掛られて抱き返す。今日もお疲れ様でした。

「カロー、あンた職場と別人だねぇ」

「カケル様がいけないのです!カケル様が愛しくて愛しくてぇ~ん」

「カケルさん、ただいま」

「ただいま戻りました」

「おかえりなさいませお嬢様、シトンさんとアズさんも。タマリー様、ようこそおいで下さいました。御夕飯の支度はもうすぐ整いますので客間にてお待ち下さい。お嬢様は此方へ」

客間に向かいながらシトンを《洗浄》した。




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