女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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馬鹿な事をしている馬鹿

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 今回の持ち場は街の中央道。折角整備した昨日迄の持ち場は他の小隊に取られてしまった。残念。荷車四台は通れる太い道を港の入口から百ハーン程の距離迄巡回しろって事らしい。一本道なので側道や隙間も無く、休憩出来無いぞこれ。

「賊が侵入するとしたらこの太い道しか無い」

うわぁ…。

「…その理由は?」

「聞かねば解らぬ馬鹿なのか?」

「説明は苦手か?」

「侮辱するなら捕縛するが?」

「あーアマルディは懇切丁寧に説明してくれたのになー」

「私があの女以下だとでも言うのか!?」

「以上だと思う理由は?」

「捕ばっ「そろそろ仕事すっぞー」あが…」

《威圧》にて拘束され、呻くしか出来無い馬鹿女を浮かせて連れ回す事一巡目。往復二百ハーンの一本道、直ぐに終わってしまった。

 来るか判らない戦闘奴隷より、鉱山送りの犯罪奴隷を量産しようとする警備隊を何とかしなければ。戦闘奴隷なんて船から外に出さなきゃ良いだけなので、艦船の周り四面に壁を建てる。上から屋根となる一枚を乗せて、くっ付けて固めて《強化》する。完了。
これでこっちに集中出来る。《感知》にて馬鹿な事をしている馬鹿を一匹ずつ「カーケールさんっ」

「…なーあーに?」

ニコニコ顔のリュネだが、これは暇を持て余してるとの意思表示かな?

「…分かったよ。焼け野原にはしないでおくれよ?」

「んもう、カケルさんは私を何だと思ってるんです?」

厄災だとは言えぬので、プンスカ顔の頬っぺたを両手でむにむにして解してやった。

「可愛くて強い、俺の女だ」

「ちゅよいはよへーでぷちゅぅ」

何とも可愛かったので思わずキスしてしまったが、龍の怒りを収める事には成功し、此処からはリュネのターン。ふわりと空に飛び上がると、光を放って姿を変えた。うわぁ…。

「あ、あたい初めて見た…」

「居るだけで死を覚悟出来ますね…」

「知ってるか?話に出て来る龍ってな、本気なんざこれっぽっちも使っちゃいないんだぜ?」

「龍を倒して龍騎士になる…ってお話ですね?見た感じで納得出来ますよ…」

ぶっちゃけ、そんなレベルでも無いのだがな。突然現れた本物の龍に、仲間ですらこの狼狽えようだ。グルグル言って溢れるオーラを目の当たりにした者は正常では居られまい。リュネを見知った荒くれ共は、昨晩同様膝を折り、祈りを捧げてる。此奴等ブレないなー。それ以外のゴロツキも荒くれ共の真似を始めた。こっちは諦めの境地か?
馬鹿な事をしてた馬鹿共は、恐怖のオーラピンポイントの《威圧》に当てられて、立ったまま気絶したり泡を吹いて倒れたり小便漏らして現実逃避をしてみたり。とにかく沈静化出来たようだ。

「リュネ、ありがと」

「グル…」

光と共に人の姿に変わり、ゆっくり降りて来た。

「カケルさん?」

「褒めて欲しいんだな?よしよしよしよしよくやったぞリュネー良い子だよーしよしよし」

撫で回し、抱き締めて、褒め讃える。動物王国国王の褒め方は異星の龍にも有効で、みるみるうちに蕩けてしまった。

「いーなー」

はいはいよしよし。アズもか?よしよしよしよし。

一頻り撫で終わり、動けなくなった馬鹿共を地面と一緒に洗ったら持ち場に戻る。今夜は街中平和に過ごせる事だろう。

 仮眠を取りながら一オコンに一度巡回しての夜明け前。またお祈りのゴロツキが増えている。艦船の周りに建てた壁等を消して、異常が無いかを確認したが静かなもんなので問題無いよな?
動けなくなった馬鹿共を浮かせて集めて全裸に剥いた。女も居るので周りがどよめいたが気にしない。暗示を掛けて服を着せ、小隊に戻らせた。

「皆さん、今夜も大人しくして居てくれてありがとうございます。皆さんに新たな仕事が見つかるよう祈っていますね」

「「「「「おおお…」」」」」

静かに響く低音が、街に夜明けを告げる…。
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