女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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迂闊

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 北東通りをノシノシ歩くゴモランさんに付いて行く。苗字があるので気付いてたけど貴族様でした。北東通りの出口から南に降りての東門。

「此奴等はワシの客である!」

これで顔パスである。ゴモランさんの屋敷は東門から入って直ぐの北側。出入りし易さが強い。

「おかえりなさいませ。お客様もゆっくりしてらしてね」

門の向こうからでも聞こえて居たのだなきっと。少し華奢で優しそうな人だ。

「妻である。此処等はハーク様やアルア様と縁ある冒険者だ」

互いに自己紹介を交わしていると、ゴモランさんは既に使いを出しているようで後は待つだけと言って着替えに行ってしまった。

「ハーク様の元に行かれるなら、せめてマントが無いといけないわね」

マントならある、と見せたけどダメだと言われた。実用的な物で無く、礼装用のマントを着けるのが最低限のルールであると言う。ゴモランさんのお下がりを出してくれたので慣れない手付きで付けてみる。肩を隠すか、それとも出すか…。

「こう言うのも無い方が良いわね」

「「あっ!」」

夫人が迂闊にもペニスケを外してアイツを抜き放ってしまった。

「あら、凄い。けどこれは、しっかり隠しておかないといけないわね」

隠すと言いつつうふうふしながら上下するのはお止め下さい。使いが戻り、ゴモランさんがお出掛けです。俺も行くのか…。ワーリンはお留守番の方が良いだろうな。キュルケスは?俺が粗相しないように見張るのね、お願いします。夫人にトカゲモドキの尻尾肉を十ナリ程切って渡しとく。帰ってくる頃には食べられると良いなー。

 で、着いて来た先はゴモランさんの寄親であるジョービリン様の屋敷。夫人の実家である。

「ようこそ義兄上。父は今城から飛んで帰って来ている最中。なので今暫しお待ち下され。して、後ろの者等が?どうやって?何処に?」

「凄かったぞ?詳しくは後で語るが首をこう「わーわーわー」何だ、変な奴め」

いきなりオチを言われそうになったらこうなるだろ。

「そうだ。ゴモラン様の仕留めたライガーをジョービリン様にご覧下さったら如何でしょう?レッサードラゴンを此処に出す訳には参りませんが其方でしたら大丈夫でしょう」

「良かろう。我が家では食い切れんので良い所を謹呈させて貰おう」

「ライガー?スノーライガーか?何処に?」

「血抜きはしてありますが一度洗いますので外がよろしいかと」

「良し、来い」

義弟殿に連れられて庭へ。《収納》から取り出すとまだ温かい巨体が草地に寝かされた。顔がボコボコで大変心苦しいが、死んでるので回復じゃ治せない。せめてキレイに《洗浄》しよう。

「ヒイッ!」

メイドが驚いて腰を抜かしてる。義弟殿もドキドキして動けないで居るな。

「今帰っ何じゃ!敵襲か!?」

「ち、父上。これは義兄上の仕留めたスノーライガーです」

「なら此奴は何者だ?」

「…………冒険者?名乗る事を許す」

「ハーク様の護衛依頼を受けて街に参りました冒険者のカケルと申します。ゴモラン様の監視の元、宿営地付近の討伐をし、これ等を持ち込む為に同行を許されました」

「貴様等の戦闘を見て疼きおったか。変わらんのう…っと、ならば貴様がドラゴンを《収納》してると言うのか?ならばエルシドの奴を呼んで参れ。直ぐに出るぞ」

放っとくと凍って捌けなくなるのでライガーを仕舞ったらジョービリン様に驚かれた。

「貴様、随分と物々しい格好の癖にポーターなのか?」

「前衛、後衛、回復、補助の出来る荷物持ちでございます」

「馬鹿め、そう言う者は勇者と呼ぶのじゃ」

「朝方、依頼を斡旋してくれた衛兵に器用貧乏と呼ばれました」

「貴様自身は何方だと思っておる?」

「勇者にはなりたくありません」

「それが良かろう。魔王も居らぬのに勇者等、居ても無駄だからの」

魔王、居たのか…。
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