女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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空に向かってメンチ切る男

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 北東側の最終宿営地から森の北側に橇風呂を滑らせて暫く進む。辺り一面雪と尖った木しか見えなくなった。この辺りで良いだろう。

「キュルケス、この辺りの雪を吹き散らす事は出来そうか?」

「ストームは使えるわ。カケルさんの思惑通りになるか分からないけどやってみるわね?」

橇風呂の前方に陣取って、杖を構えてむにゃむにゃすると、杖の先から風の渦が巻き起こる。

「ストームッ!って何これ!?」

自分が思ってた以上の威力が出てしまったようで必死に制御しているが、制御しないでドバーっとやってくれても構わんのじゃよ?制御に難儀した結果、奥行二十ハーン程、手前幅十ハーン程の扇型に除雪された。吹き散らしただけだから雑だけど気にしない。

「魔力が上がったのは何故なの?」

「トカゲ食ったからだな」

「オレにも出来るかな?」

「貴女なら、魔力を練って体に纏わせる強化魔法が良いと思うわよ」

「良いなそれー」

女子トークの合間にキレイに雪を集めて捨てて、木と木の間に煉瓦の床を作った。

「お前さん、家でも建てるのかい?」

「宿を探す手間が省けるわね」

それもそうか。ゴミ処理しながらまったりするだけのスペースにしようと思ってたが、ここで寝泊まりしちゃえば安上がりか。

「食料もあるし、ここでキャンプしちゃおうか」

「お風呂希望!」「私も」

リクエストが出たのでチャチャッと作ってしまおう。一旦煉瓦を消してもう一度やり直し。直径二十ハーンの土地の中には木が三本生えているので根っこから《収納》して更地にした。その上で直径二十ハーンの外周と十字の土台、外周に合わせた床と高さ五ハーンの外壁を乗せた。屋根は雪の重みが掛かるので尖らせたい。円形に伸ばした煉瓦を柔らかくして、《威圧》を円錐に固めた空間に被せて型取りした。

「《威圧》って、メンチ切られてビビるやつだと思ってた」

「そうね、普通ならそうよね」

空に向かってメンチ切る男、それが俺なのだ。
外壁と屋根がキレイに合わさったのを確認したら一旦全てをくっ付け硬化させ、がわの完成だ。そこから入口を切り取り、風呂とトイレの仕切りを建てた。橇風呂で待ってる二人を呼び入れて、雑木紙を厚く敷いたふわふわ絨毯で寛いでもらった。

「お前さーん、先にドアが欲しいよ」

絨毯に背中を擦り付けるワーリンに促され、雑木の塊を入口に詰めてやった。引っこ抜けば外に出られる画期的なドアになってしまった。真っ暗なので灯りを付けねば。

さて、光の棒を浮かせたら水周りの続きだ。トイレの穴は蟹もタマゲルも居ないので深掘りし、浴室の排水と合わせて作る。浴槽を作ってくっ付け固めて水周りの完成だ。

「風呂とトイレが出来たぞー」

「「……」」

二人共、掛け布団して寝てやがった。
装備を《収納》して絨毯に乗ると、確かにこれは眠くなるな。絨毯と言うよりマットレスだ。胡座をかいて尻拭く紙とペーパータオルを増産し、俺も寝…たいのをぐっと堪えてゴミ処理作業に取り掛かる。

 昨日狩りまくって《収納》に放り込んだケブにも一応だが魔石がある。手で取るのは臭いし面倒なので放置してしまうのだが、《収納》の中だと一瞬で出来るので今回は摘出する。全五百七十八個、一個五ヤンで二千八百九十ヤン也。臭い袋の中身も確認しなきゃ…。金貨一枚入ってた。後は銀銅鉄鉄鉄…。ネックレスや指輪が少々。金属系の武器は銅と鉄。金属別に練って丸めて、何気に初の銅インゴットとなった。後は《集結》で小さく丸めてトイレにポイ。
次はウオルス。解体で肉と牙と皮と尻尾にすると、尻尾二百二十本あった。そして熊っぽいの十五頭も肉と牙と爪と皮に分けられ、ゴミは丸めてポイ。

凄く眠いがもう少しだけ。もう少しだけ続くのじゃよ…。
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