女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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見えては無い筈

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 城の中、出入口の隠された地下の一室にそいつ等は居た。テーブルを囲む5人と周りに立つ二人。此奴等が黒幕と見て間違いないだろう。地上には一人か二人で歩いてるのがポツポツ。衛兵やメイドの中にも敵は居るようだ。そしてハークの近くにも居た。しかし誰かは分からない。両親は他の部屋に居るし、メイド達は分かるから。何より存在がぼんやりしている。ああ、これは阻害系の、スキルなり魔法なり、魔道具なりの何かを使っているんだな。身分を偽ってる存在って事か。ブルランさんに虫の知らせ程の《威圧》を放っておく。お、反応したな?あの人ならば方向さえ判れば勘頼りでこちらに来るくらいは出来そうだ。
 貴族街の方に集中すると、屋敷の中に兵を集めてる奴等が多い。兵はともかく、それを使う奴が害意を以て行動している。どの国も戦争やらクーデターやらろくな事しないな。
 アルア達は旗に着いて休憩中か。《威圧》の手を飛ばし、そっとアルアの手に触れてみる。驚いて手を引っ込めたが、直ぐに捕まえて何故か頭に乗っけてる。撫でろと?よしよしなでなでよーしよし…って見えては無い筈なんだがなぁ?

『カケル サマ デス ネ』

《威圧》の手に伝わる感触がそう読み取れた。聡い子だ。もう一つ手を飛ばし、掌を上にして右の太腿の上に置いた。これで書きながら読めるだろ。にぎにぎすんな?

『カケル ダ オマエ ネラワレテル チユウイ シロ』

『オニイサマ ブジ デスカ』

『ハーク ノ チカク フシン ナ ジンブツ ヒトリ』

『マホウ キヨウシ デルクラーヘン カト』

『マチ ナカ マカセロ キゾクガイ テキ タスウ』

『ジョウナイ モ デスネ』

『イイコ ダ マタアトデ』

『アタマ ナデテテ』

「ふぅ~」

「終わりましたかな?」

突然横から来たのでビックリしたが、俺が呼んだんだったな。気配を消してワーリンの後ろに隠れてるブルランさんだ。

「アルアとは話が着きました」

「して、何か問題が?」

「街中に賊多数、貴族が兵を集め、城内にも多数紛れ、地下に黒幕らしき者。デルクラーヘンもその一人。現在動き無しなのでご安心を」

「街中をお願いしてもよろしいでしょうか?」

「無論です。坊っちゃまの事は頼みます」

「無論でございます。それでは」

音も無くスタスタ歩いて行ってしまった。門番あれで気付かないのかよ。見事な《阻害》だな。

「お前さん、オレ達はどうしたら良いの?」

「特には無いかなー。街の方は一瞬で終わらせるから」

「そか」

 さて、そうこうしてる間に先触れが戻って動き出した。先ずは街中に集中だ。予防的な意味合いで、《威圧》の壁を貴族街の壁を囲むように、上に向けて百ハーン程増設しておく。これで壁の上から飛び道具を飛ばしても止まるだろう。メテオ?使える奴居ないだろ。
 次は街中の賊共だ。マーキングした奴以外にもポツポツ増えているのは連絡係か本命か。マーキングを追加して待つ。初動が失敗した時の時間的余裕を無くす為だ。
 そして貴族街。此奴等は馬鹿なのか、ゾロゾロ歩いて大通りを挟むように細道に待機してる。俺は逃走経路を《威圧》の壁でそっと塞いだ。上からも、下からも、大通りにも入れないが、此奴等はまだそれに気付いてない。酸素が少しずつ減っている事も…。
 俺の方は準備万端。一方のブルランさんはと言うと、既にデルクラーヘンと戦っていた。気が早いな。倒れてるメイドにはこっそり回復をしてやろう。《威圧》の玉をメイドのパンツの中に押し込んだ。コレで易々と外れたりする事は無いだろう。回復してれば異物感で起きるだろうしな。エッチな悪戯をしてやろうと言うつもりは微塵も無いのだ。
 アルアの乗るゾーイ車が門に到着した。開門と共に歓声が上がり、東門に居る俺達にもその声が聞こえて来た。そろそろやるかな。
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