女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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誘ってやがる

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 二の鐘が鳴る前にダンジョン入口へ着いたのだが、既に長蛇の列となっていた。ここのダンジョンは抽選等が無く、金さえ払えば誰でも入れるそうな。つか、抽選があるのが異常なんだ。名指しで立ち入り禁止なんて以ての外なんだ。
入場待ちの列と受付けの列があり、何方も最後尾付近に列を整理する者が居る。旗を振り振り列を作っていたので受付け列に並んだ。

「何時もこんな混み具合なのか?」

「カケル様は初めてなんだね。十階のエリアボスの部屋の前はもっと混むよ?此処に居る奴等、みーんなその下に行くからね」

「だから早くボスを抜けようと並ぶって訳さ」

「ああ、なんか受付嬢が十階以降から食えるって言ってたな」

「とにかく…って、実際に見てもらった方が良いかも」

「すーはー。すーはー」

所でだ。何で皆、俺に抱き着いてんの?赤と黄色は両脇に頭を突っ込み肩車状態。ツープラトンでバックドロップでもするつもりか?エージャと乳首はペニスケを挟んで両側からべったり。すーはーしてるのは勿論エージャだ。

「何でくっ付いてんだ?」

「少しでも離れるとナンパされんだよ」

「私達三人じゃない?二人組とかが寄って来るのよ」

「ハーレム狙ってる男女ペアとか」

と三人はボヤく。最後のは俺達の事か?ナンパされるのが嫌だから、何時はもっと遅くに入るらしい。おかげで稼ぎが振るわず、ダンジョンの中で野営する事が殆どなのだそうだ。

「三十万払って五~六十万は持ち帰るって感じ」

日給十万。休みを入れるともう少し減るのか。美味そうで美味くない。

「当たりを引ければ豪遊出来ます」

乳首と赤が顔をスリスリして来る。とても歩き辛く、色んな方向から見られるのを我慢して受付けに辿り着いた。パーティー申請をして料金を払い、鑑札をもらったら追い越されないよう、直ぐに入場列に向かった。

コーーンカーーン
コーーンカーーン

二の鐘が鳴ると入口に立つ衛兵が道を開け、冒険者共は鑑札を見せながら入って行く。

「十階までは案内出来るから、離れないでね」

べったりしてて何を言うのか。

「走るから足元に注意して下さい」

走りにくいから離れてくれ。

「雑魚は基本無視だかんね」

その姿勢で戦えるのか?

「そろそろ離れてくれ」

「名残惜しいですーはー」

鎧の匂いが好きなエージャを引き剥がし、短くなりゆく列の最前連にやって来た。鑑札を見せて走り出す女三人に、追い掛ける俺達。本当に走るんだな。ダンジョン内はぼんやり薄ら明るく、気を付けながら走るなら問題無さそうだ。聞いていた通り、通路の左右にチェーンが打ち付けてあるので迷う事も無いのだろう。敵は居ない。否、元々は居たのだろう。先に入った奴等が打ちのめしたと思しきブフリムが、半殺し状態で呻いてる。前を行くパーティーがスルーして、俺達もスルーする。後ろのパーティーもスルーしていたようだ。

「ほらほらぁ、早くぅ~」

階段前で待つ黄色が無駄に色っぽい声で誘ってやがる。

「エージャ、平気か?」

「問題ありません。体力はあるつもりですから」

エッチの時は直ぐにくたばるクセに。強がりかも知れないので回復を掛けて階段を駆け下りた。
因みに、一番遅いのは俺だ。走ってる振りして飛んでるけど、殿は大事だからな。エージャを鍛え直す目的もあるので抱えて飛ぶのもダメだ。

 地下を五階も下ると少しずつ脱落者が出て来る。走るのに集中し過ぎたり、逆に集中が途切れた隙を付かれてゴーラや犬っぽい顔のヤツ、ウォリスに打ちのめされるのだ。元のパーティーに置き去りにされて、後続のパーティーに敵を屠られ、命は助かったものの怪我で動けないでいる。速度を落として合流した三人に、助けちゃダメだと諭された。怪我をした彼奴等は、帰りの時間まで待機して、他のパーティーが連れ帰ってくれるのを待つのだそうだ。見捨てたパーティーは先に進みにくくなり、俺達が先に行くチャンスが増えると言う。
これがこのダンジョンの日常なのだな。
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