女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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失言だった

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 シャリーは無事に種を買えたようで、路地裏の入口で待っていた。

「カケル様が歩くと女に当たる」

「カケル様って言うのかい」

「カケル様カケル様…、確かメリダさんトコのサミイちゃんの旦那も同じ名前だったね」

「どうも、サミイの旦那のカケルです」

「あら、悪い旦那様だねぇ。ワタシ等は有難いけどさ」

「水の棒、使ってるよ。洗濯はお喋りも兼ねてるから今でも井戸端だけどね」

聞くと、火の鉄板はまだ買ってないそうだ。銀貨三枚だしな。薪拾いで危険に遭わない事や、かなり長持ちな事、煙や煤も出ない事を説明し、財布の紐を緩めてもらえるよう努力した。

 そうこうしてる内に昼になり主婦達と別れ、飯屋で食べようと店に入る。ちょっとお高い、魚ステーキの出る店だ。

「種は十一種類買えました」

「以外とあったな」

魚焼肉を食べながら戦果を聞く。シャリーにとって初めて見る種もあるそうだ。

「エディアルタで扱いのあった種が此方では無いって事もあるようですね」

「メルタル大陸の種は次の機会に取っておくか。それだけあればどれかは使えるだろうしな」

「家畜の餌がお菓子になるなんて信じられませんよ」

「人が食える物を家畜の餌に留めてる方が信じられないけどな」

「そりゃあ、私は食べてましたけど…」

「美味くなかった?」

「味で食べてませんでしたから。芯があるのを飲み込んでましたね」

「料理の仕方が悪いんだ。俺がこれからやろうとするのは大体四日は掛かるぞ?」

「は?」

この反応は正しい。シルケに来て、何日も煮込んだ料理なんて見た事無いからな。作るのに時間を掛ける食べ物なんて、多分酒や酢、乾物くらいじゃないのか?砂糖もあるけど知ってるのは貴族関係の一部って感じだろうし。鰻のタレや老舗の蕎麦つゆなんて見た日にゃ拒否反応が出るやも知れん。

「カケリュさみゃあ~」

「坊やじゃないか。金儲けの話かい?」

カロとタマリーの今日のお昼は此処らしい。職員の女を五人も引き連れ、痴態を晒して引かれてる。

「集落の子供達に菓子でも作ってやりたいと思ってたんだ。今日はその材料を探しに来たんだ」

「菓子ねぇ」「「「お菓子!?」」」

「売り出しは何時ですか?」「私達にも買える値段でしょうか?」

失言だったかな。これは騒ぎが大きくなる予感。一先ずまだ試作もしてない段階なので、期待しないようにと念を押しておく。そもそも売る事なんて考えても無かったよ。因みに、女子達にヒズラー大陸にあるお菓子を聞いてみた所、糖の実のコンポートは憧れのスイーツで、ウロの実等の果実コンポートや干し果実、そして果実そのまんま。他には木の実、蜂蜜水、果実水と続いた。やはり卵とミルクは偉大だな。
 食事を終えて俺は一足お先に女子会から退散する。シャリーは残しておいても良いだろう。午後にはエージャ達が帰って来るだろうし、寝具店に向かう事にした。
寝具店で親父殿とママ上殿に挨拶して客間に通される。ママ上殿には家政婦組合から派遣された三人の女が付いて、色々と家事等を補助していたよ。お腹の膨らみが目立ち始めて動くのも大変になって来るに違いない。手首で煌めくソレがしっかりバッチリ守ってくれる事を切に祈る。
出されたお茶を啜り、ややあって冒険者組が帰って来た。

「只今戻りました」

「来ちゃった」

「お邪魔します」

「お土産狩って来たよー」

「遊びに来たー」「ママ様元気かー?」「薬草採ったどー」

騒がしい。けど慕われているなママ上殿は。

「ごめんくださーい。カケル様はお戻りでしょうかー?」

シャリーも戻って来たようだ。派遣の三人は夕飯の支度が大変になると思ってバタバタしているが、皆家に帰るから安心せい。カロにもそう伝えたしな。午後過ぎまでの短い時間、皆と話をして過ごして島に帰った。ノーズコーンで飛んだから早い事この上無し。夕飯を食べたら戦利品を検めよう。

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