女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
540 / 1,519

鷹か鷲

しおりを挟む


 糖の生産調整をしている間、俺は食っちゃ寝セックスしていた訳では無い。属性魔石を作って魔道具に加工した物を売りに行ったり、ママ上殿やカロ達に甘い物をお裾分けしに行った。
そしてミーネ先生に冷却の方法を学んだ。熱だけを《収納》する事はやはり出来無かったが、熱を他の物に変換する事で熱を奪えるようになった。
それは魔素だ。コップの水の周りに魔力を纏わせると、水の持つ熱が魔力と混ざり、熱を持つ魔素に変わる。その時、魔素の持つ熱が魔力に吸い取られ、排出され、水の温度が急激に下がる事になる。コップの水は凍らない程度のキンキンになった。氷を作れなかったのは残念だが、物を冷やせるようになったのは大きな進歩だ。

 そして俺は今、キンッキンに冷えた飲み物が一番必要無さそうな場所に来ている。

「兄貴ぃ、寒みぃよぉー」「布団もっとちょーだーい」「ガチガチガチガチガチガチ…」

少年隊の三人を連れてやって来たのは名前も忘れた北の大陸の雪の国。ジョンの街で良いか。門を潜り、ギルドの玄関前で誰か開けてくれるのを待とうと思ったが此奴等がこうなのでノックして開けてもらったよ。

「他所からの方ですね?早く入って下さい暖房も只じゃないので」

「わーい」「寒かった~」「ガチガチガチガチ…」

俺を押し退け丸太が入り、中から兎が出て来て女が奇声を上げた。

「「「きゃわわた~ん」」」

群がる女達に引く男達。中心の三人は揉みくちゃにされながらも満更では無い様子だな。

「お前等~、先に事務処理してもらえ~」

私が私がで取り合いになった。

「騒がしいぞ!?」

「俺が来たからだ」

「カケルか!」

「遊びに来たぞ」

「マスター、そんなの放っといて此方に!きゃわわたんでしゅよ~!?」

「…耳長三人は今直ぐ俺の部屋に来い」

うほっ?

「カケルもだぞ」

女達のブーイングを背に階段を昇り、ジョンの部屋にほいほいした。

「窓から入って来られた方がマシだったな」

「だろ?」

「今度来るまでにカケル専用入口を作っといてやる。で、此奴等何だ?お前の子だろ」

「血は繋がって無いが可愛い弟分さ。ダンジョンで遊ばせようと思ってな」

「こんな寒みいトコだと思ってなかったよ!」

「ワー姐に聞いてたけど寒過ぎだぜ」「俺眠い…」

「お茶をお持ちしました」

三人をソファーに座らせ雑木紙を掛けてやってると、普段絶対に来ない、お茶を持った女職員が入って来た。何やら勝ち誇った顔をしている。ハフハフしながら啜る三匹の子兎を見詰める視線は鷹か鷲か、変態のそれだ。
少年隊と、序に俺の事務処理をしてもらい、ジョンにダンジョンの入場券を集る。

「俺も行って良いならくれてやるぞ。と言うかそうでもしないと発行してもらえんだろ」

「一理ある。それと、そこの女の人」

「は?何ですか?」

「此奴等に防寒着を見繕ってく「是非承ります!直ぐ行きましょうそうしましょう!」」

「兄貴ぃ…」「俺達、ここで死ぬのかな?」「外出たくない!」

「金は後で俺のギルド証から引き落としといてくれ。宿の手配してくるから夕方までに此処に居るように。居なければ女達全員お腹痛くしてやる」

「必ず無事にお送りします」

雑木紙でラッピングされた三人を軽々持ち上げ意気揚々と部屋を出て行った。

「なあ、カケル。彼奴等は前に来たドラゴンみたいなバケモンじゃあ、無いんだよな?」

「龍に鍛えられた加護持ちだが、まだまだ可愛い弟分だよ」

「英雄かよ」

「野盗のアジトで攫われた女を救う程度には英雄だな」

「人間レベルでホッとするぜ…」

龍に鍛えられたってのを忘れてるぞ?三人の飲み残しを飲んで、専用出入口から宿に向かった。勿論、猟師宿樵だ。

「いらっしゃーって、カケル様ぁ!」

「久しぶりだな」

フロントで仕事してたのは看板娘のティータ。俺の部屋と、三人の部屋を頼むとネーヴェが居ない事を残念がっていたが、俺の連れが可愛い少年と知って俄然やる気を出していた。





しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀
ファンタジー
 ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。  しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。  そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。  対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

暗殺者から始まる異世界満喫生活

暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。 流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。 しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。 同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。 ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。 新たな生活は異世界を満喫したい。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...