女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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仲間との冒険は楽しい

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 薄焼肉を焼きながら、思い思いの休憩をする。ニットだけは新しい槍と会話をするかの如く振り回したり突いたりしてる。

「折角の魔剣だっつーのに槍なのは残念だったな」

「此奴等は外がメインだから問題無いさ。それに見てみろ」

ニットの操る槍術は、槍のリーチを捨てて格闘の間合いに近い所で振り回している。元々森の中に住んでた奴等だ。そんな場所での動き方は慣れているのだろう。

「上手いもんだな」

とジョンは言う。肉を頬張るダートに聞くと、ネーヴェに最初の一撃を加えたのはニットの槍のだったそうだ。その時も格闘の間合いでの一撃だったと言う。懐深く推し行って、尻尾の付け根を跳ね上げて、足が浮いた所をガットの投擲とダートの横薙ぎがヒットしたのだと。ネーヴェの加護は貰ってないそうなので、所謂おまけと言う奴だろう。それでもジョンは驚いて感心していた。

 ニットに回復を掛けたら更に奥へ進み、漸く着いた、トカゲ階。

「あったけえ!」「ここに住みたい」「狩りほうだい」

「住むとしたら家賃高そうだな。一泊五万ヤン、月百五十万ヤンで三人で四百五十万ヤンだ。…トカゲの魔石二つで足りるな」

「間違って冒険者に狩られちまうぞ?まあ、ここまで来られるのなんてカケルくらいのもんだがな。ああ、皆まで言うなよカケル。俺のパーティじゃ此処までは来れんからな」

「ワントップは辛いのう」

「良いさ。仲間との冒険は楽しいからな」

「わかる」「だな」「トカゲきたよー」

斥候と思しき一匹のトカゲが空中を旋回して俺達を品定めして、去って行く…って逃さんよ!《威圧》で動きを封じて地上まで引っ張って来ると、待ってましたとばかりに少年隊が纏わり付く。キレイに研いだジョンの予備だが、やっぱり使い物にならなかった。律儀に鱗を叩いてりゃそうなるわな。ガットのダガーはそれなりだ。素材と獲物が一緒だから仕方無し。ガットの槍は、ちまちま刺してる。鱗と皮を貫いて、ダメージを与えてはいるのだが、敢えて深く刺さないようにしているように見える。

「兄ちゃん!ガット!下がれ!」

「「おう!」」

二人がトカゲから離れて間合いを開けると、突き刺した槍の穂先から大量の水が噴出した。水が赤から透明に変わる頃、トカゲは煙となって消えた。

「血抜きしてくれる槍か。便利そうだな」

「倒れそ。たすけて」

魔力を使うタイプみたいだ。魔力を使い過ぎて膝を付くニットに回復を掛けて、魔力も補充してやる。

「頭の中に使い方が浮かんだよ…。けどこれ、兄貴がいねーと使えないって」

「魔力を増やすしかないな。セカンドハウスに帰ったらこっそり教えてやる」

「やったぜ!」「「いーなー」」

「カケルくぅ~ん」

「ジョンくんはぁ、必要無いだぁるるぉ~う?」

「そうだけどよう、俺ぁガキの頃魔法の才無しって言われたからさ。憧れてんだよ」

「人には得手不得手があるものです」

「それ、司祭に言われた」

「力を持ち過ぎると敵が増えるぞ?」

「お前みたいにか?」

「俺は、物理的な戦闘力なんて大した事無いんだよ。魔力は人のトップクラスで持ってるけど、魔法自体は大した事無い」

「そう言や魔法使ってんの見た事無ぇな」

「兄貴はスキル特化だもんな」「敵動かなくなるもんな」「つまんねーよな」

「つまんねー言うな。安全に配慮してるだけだ。そら、次が来たぞ」

「兄貴やってー」「見てる」「みてるー」

飛んで来た二匹のトカゲを《威圧》して、脳みそを《散開》させる。相手は死ぬ。落ちて地面に激突する手前で煙となった。

「確かにつまんねーな」

「ジョンくんの戦闘は面白いから見とけよ見とけよ~」

「「「はーーい」」」

遠くで飛んでる奴を十匹程軽く《威圧》して呼び寄せる。頑張れ~。

「ちょ!お前準備運動くらいさせろや!?」

「回復なら任せろ~」

「…んの野郎。殺ってやんぜ!」

グレイブの柄を地に着けて刃身を巨大化させたジョンは、力を溜めてトカゲ達の居る空へ跳び上がった。

「おー、すげー」「いーなーそれ」「がんばれ~」


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