女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
587 / 1,519

人の子は何でも名前を付けたがる

しおりを挟む


 光の棒と水の棒。先ずはこの二つを女達の内職にしてもらった。単純作業なので覚えるのも早く、人数も多いのでその日の晩と翌日の朝の片手間時間で百本ずつ組み終えてしまった。
残るトイレと火の鉄板は、一先ずトイレを優先。底の方だけ少しだけ柔らかくして、部屋の隅にズラーッと並べておいた。魔石を埋め込んだ物には蓋をして、後で俺が固めておく。火の鉄板は魔石が足りないので暫く放置する。
 で、今日は家の風呂を使いに街の女達がやって来るので、その前に橋を作ろうと思う。
島の端から対岸に向けて橋を架ける説明と工程をネーヴェとリームに説明すると、巨大な煉瓦の塊を対岸まで敷いてしまえ、なんてとんでもない事をおっしゃられる。潮の流れが変わって魚が獲れなくなったり砂が溜まったりする事を伝えて自然を守る必要性を説いた。
 説明を終えて先ずは実践。長辺二十ハーンの楕円形の柱を海底に二十ハーン程埋め込んで垂直に建てる。それを二十ハーン間隔で対岸に向けて建てて行く。柱が多いが安全第一だ。二人共に見た物を真似るのは得意なようで、ズポズポ柱を挿して行く。
対岸まで辿り着くと、待ち切れぬ女が数人、そわそわ此方を伺って居たが、もう少し待つのだ。
ネーヴェに橋桁を掛けてもらう。柱の上に長~~~い煉瓦を敷く作業だ。その間に桁と地上を繋ぐスロープを作る。これで女達が上がって来られる。リームにはスロープと、桁の左右に落下防止の壁を作ってもらった。この壁には高欄と言う名前があるんだが、

「人の子は何でも名前を付けたがるのだな」

とリームに言われてしまった。俺はと言うと、排水口作りだ。《収納》の枠を桁に当て、ほんの少しだけ傾斜を付けたら適当な間隔で穴を開けて行き、島まで到着。

「カケルさま!いたー!」

「居たぞー。歩いてあっちまで行けるようにしたぞ」

わーっと走って行って、途中で帰って来た。あの辺りまでが縄張りの範囲なのだろう。柱の下に向かい、テトラポッドを沈めてく。上からバジャイが覗き込んでるが、落ちたら魚に食われちまうぞ?

 橋が出来た事で女達がぞろぞろ歩いて来た。結構距離があるから湯上りにまた汗をかくかも知れないな。魔道車での送迎も考えなきゃならん。
ドバドバしてる俺を見て、ネーヴェとリームもテトラポッドを沈めるのを手伝ってくれた。大きさと形がバラバラだけど気にする程でも無い。
街までドバドバし終えたら、送迎車両を簡単に作る。長さは十ハーン、幅は六ハーンで楕円に近い箱を作り、ドアは前後に一つ、センターは通路に、その左右には二人座れる長椅子を並べた。

「動力、どうしよう…」

「魔石で動かすのだろう?」

「魔石をどのように動かす力に変えるかを悩んでるんだ。動きっ放しじゃ事故になるし、急発進急停止は怪我をしかねん」

「はじめゆっくり、はやくなって、ゆっくりとまる」

「で、反対側にも走ってくんだ」

「前作ったやつみたいにする?」

「小さい車輪の台車を作って此奴に乗せよう」

「ん。材料ちょーだい」

魔石と鉄と、煉瓦で良いかな?行き帰りで二セット分渡したよ。
魔力で包んでぐにゃぐにゃーっとして、面白い台車が出来た。片側の車輪は小さいが普通の車輪だ。だがもう片方の車輪は球形だ。縦回転は止めずに横回転で加減速するみたい。で、横回転が百八十度を超えると逆走するのか。中々考えたな。

「停まってる時間を設定出来るか?」

「とーぜん」

「では十リット待ってから出るようにしてくれ」

「うぇ~い」

車体に設定が終わった台車を乗せてくっ付ける。車高も引くて良い感じだ。走り出しの十ピル前に台車の前後にある魔石が光って走る合図を出すのだと。ハイテクだなー。
遅れて来た主婦を乗せて走らせてみる。シュルシュル言いながらゆっくり進んで行った。トップスピードは歩いてる人を拾う度に浮かせて止めてるから分からないが、そこまで早くない感じ。早いと怖がる人も居るだろうし、遅い程度で丁度良いかもな。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀
ファンタジー
 ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。  しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。  そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。  対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

暗殺者から始まる異世界満喫生活

暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。 流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。 しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。 同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。 ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。 新たな生活は異世界を満喫したい。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...