女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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一本足りない

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 目が覚めて、目を開けるともやもやでいっぱい。これ魔素か魔力だな。見え過ぎて気持ち悪くなるので目を瞑る。

「カケルさぁん、お目覚めですかぁ?」

「グルル…」

「意識して人語を使わないと、龍語になってますよ?」

リュネに言われて、自分が龍語なのに気付く。

「グゲ…ゲぁ…。目、目ぇ開けれない…」

「魔力視が強く出てるのですかね」

「そう、だね。何日、経った?」

「人の子の時間で、二十と五日、ですね」

「あ…」

「どうしました?」

「ジョンとトカゲ狩り行くの、すっぽかしちゃった」

「会いに行きます?」

「この姿でか?」

目を開けて、ゆっくりと起き上がり、天井に頭が着く事にビビる。じっと手を見る…。指が一本足りない。紫と金色の鱗がびっちりだ。

「何か、斑のある鱗だな」

「カケルさんの魔力の色が出ているのでしょうね」

「紫はまあ、分かるが、金色は?」

「光かと」

「ああ…」

それなら土の色と水の色も付いてないとおかしいのだが、光の精霊ミティオース様の影響は、それだけ強いと言う事なのだろう。

「お食事なさるなら外に出ましょうか」

「お腹、減ってない。けど…見せなきゃダメ…か」

リュネが大扉を開けると、外は明るかった。影があるからまだ午前中か。ゆっくりと、這う様に、と言うか這って外に出る。

「旦那様」「主様」

ミーネとリームが入口で迎えてくれた。

「はっ、はっ、かっ!カケル様!?」

テイカが駆けて来た。

「魔力を抑えた方が良いな」

「え?垂れ流してたか」

急いで魔力を抑え込む。意識して色々調節しないと危ないな。駆け寄って来てたテイカが流してる汗は多分冷や汗だろうし。

「テイカ、すまん。大丈夫か?」

「はい…。物凄い圧でした…」

「子供達、大丈夫かな…」

「ネーヴェ様が結界を張っておりますので問題ありません」

「それで居なかったのか」

「いえ、お食事中です」

そっちかよ。
漏れ出る魔力が安定して来たのでゆっくりゆっくり食堂へ。が、母屋が邪魔で入れない。カラクレナイは飛んで入ってるんだよな。
そーっと浮く。龍やトカゲは飛ぶのに翼を使わない。なのでバサーッとかしない。家壊したらテイカが怒りそうだしな。母屋を越えて、カラクレナイ用の入口の前でそーっと降りる。特撮みたいにドシーンってならないように、とにかく慎重に降りて移動した。

「開けますよぉ~。頭をぶつけないようにして下さいねぇ~」

リュネがカラクレナイ用の入口を開けると、すっかり小さく見えるようになった人の子がわちゃわちゃしてた。

「…おはよ」

「「「おはようございますっ」」」

「カケルー」

ちっちゃいイゼッタが飛んで来た。俺を飛び越え、多分頭か何処かにくっ付いてる筈だ。鱗なのでくっ付かれてる感覚が無い。

「旦那さまっ!すっごいです!!」

ちっちゃいサミイを筆頭に、皆が凄いと連呼する。俺、まだ自分の姿を見てないから、どう凄いのか分からない。見える範囲は紫と金色の斑だし。頭を低くし、這う様に食堂に入る。今迄カラクレナイの席だった場所が、今日の俺の席だ。確かカラクレナイは尻尾を支えにどっかり座ってたよな。尻尾のある生活なんて初めてなのでとにかくゆっくり手で手繰り、尻尾を床に落ち着かせた。

「ふぅ、座るのも一苦労だぜ…」

「カーケルー」「カケリュー」

小さいカラクレナイとちっちゃいネーヴェが俺の腹を背凭れにして座ると、皆してテーブルを寄せて来る。これもう動けないヤツだ。

「赤ちゃん、結界張ってある。だいじょぶ」

「ああ。テイカから聞いたよ。ありがとな」

「カケル!カララよりおっきいの!」

「俺の方が大人だしな」

なんてそれっぽい事を言うと、リームがそれを否定した。

「勘違いしているぞ主様よ」

「そうだな。普通の雄はもっと小さい。娘と同じくらいか、少し大きい程度だ」

俺、自分の大きさも分からないのだが。ミーネ曰くだいぶ大きいらしい。

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