729 / 1,519
一本足りない
しおりを挟む目が覚めて、目を開けるともやもやでいっぱい。これ魔素か魔力だな。見え過ぎて気持ち悪くなるので目を瞑る。
「カケルさぁん、お目覚めですかぁ?」
「グルル…」
「意識して人語を使わないと、龍語になってますよ?」
リュネに言われて、自分が龍語なのに気付く。
「グゲ…ゲぁ…。目、目ぇ開けれない…」
「魔力視が強く出てるのですかね」
「そう、だね。何日、経った?」
「人の子の時間で、二十と五日、ですね」
「あ…」
「どうしました?」
「ジョンとトカゲ狩り行くの、すっぽかしちゃった」
「会いに行きます?」
「この姿でか?」
目を開けて、ゆっくりと起き上がり、天井に頭が着く事にビビる。じっと手を見る…。指が一本足りない。紫と金色の鱗がびっちりだ。
「何か、斑のある鱗だな」
「カケルさんの魔力の色が出ているのでしょうね」
「紫はまあ、分かるが、金色は?」
「光かと」
「ああ…」
それなら土の色と水の色も付いてないとおかしいのだが、光の精霊ミティオース様の影響は、それだけ強いと言う事なのだろう。
「お食事なさるなら外に出ましょうか」
「お腹、減ってない。けど…見せなきゃダメ…か」
リュネが大扉を開けると、外は明るかった。影があるからまだ午前中か。ゆっくりと、這う様に、と言うか這って外に出る。
「旦那様」「主様」
ミーネとリームが入口で迎えてくれた。
「はっ、はっ、かっ!カケル様!?」
テイカが駆けて来た。
「魔力を抑えた方が良いな」
「え?垂れ流してたか」
急いで魔力を抑え込む。意識して色々調節しないと危ないな。駆け寄って来てたテイカが流してる汗は多分冷や汗だろうし。
「テイカ、すまん。大丈夫か?」
「はい…。物凄い圧でした…」
「子供達、大丈夫かな…」
「ネーヴェ様が結界を張っておりますので問題ありません」
「それで居なかったのか」
「いえ、お食事中です」
そっちかよ。
漏れ出る魔力が安定して来たのでゆっくりゆっくり食堂へ。が、母屋が邪魔で入れない。カラクレナイは飛んで入ってるんだよな。
そーっと浮く。龍やトカゲは飛ぶのに翼を使わない。なのでバサーッとかしない。家壊したらテイカが怒りそうだしな。母屋を越えて、カラクレナイ用の入口の前でそーっと降りる。特撮みたいにドシーンってならないように、とにかく慎重に降りて移動した。
「開けますよぉ~。頭をぶつけないようにして下さいねぇ~」
リュネがカラクレナイ用の入口を開けると、すっかり小さく見えるようになった人の子がわちゃわちゃしてた。
「…おはよ」
「「「おはようございますっ」」」
「カケルー」
ちっちゃいイゼッタが飛んで来た。俺を飛び越え、多分頭か何処かにくっ付いてる筈だ。鱗なのでくっ付かれてる感覚が無い。
「旦那さまっ!すっごいです!!」
ちっちゃいサミイを筆頭に、皆が凄いと連呼する。俺、まだ自分の姿を見てないから、どう凄いのか分からない。見える範囲は紫と金色の斑だし。頭を低くし、這う様に食堂に入る。今迄カラクレナイの席だった場所が、今日の俺の席だ。確かカラクレナイは尻尾を支えにどっかり座ってたよな。尻尾のある生活なんて初めてなのでとにかくゆっくり手で手繰り、尻尾を床に落ち着かせた。
「ふぅ、座るのも一苦労だぜ…」
「カーケルー」「カケリュー」
小さいカラクレナイとちっちゃいネーヴェが俺の腹を背凭れにして座ると、皆してテーブルを寄せて来る。これもう動けないヤツだ。
「赤ちゃん、結界張ってある。だいじょぶ」
「ああ。テイカから聞いたよ。ありがとな」
「カケル!カララよりおっきいの!」
「俺の方が大人だしな」
なんてそれっぽい事を言うと、リームがそれを否定した。
「勘違いしているぞ主様よ」
「そうだな。普通の雄はもっと小さい。娘と同じくらいか、少し大きい程度だ」
俺、自分の大きさも分からないのだが。ミーネ曰くだいぶ大きいらしい。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
狼になっちゃった!
家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで?
色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!?
……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう?
これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します
burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。
その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。
没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで
六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。
乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。
ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。
有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。
前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる