女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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冥土の土産

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 笑ってない笑みでこちらを見るお婆ちゃんギルマス。俺は可愛い子供に危ない遊びを教える悪ガキなのだな。

「紹介が遅れたわね。私はこの街の子供達のお婆ちゃんでベールカーンと言うの。老い先短い付き合いだけど、覚えておいてねぇ」

「オレは世界を股に掛ける冒険者カケルだ」

「偉く大きく出たな」

「事実だぞ?」

「貴方がどんなに強くても、ドラゴンとなんて戦ってはダメよ?」

「流石にと相対するのは懲り懲りだよ」

「おいおい、トカゲ狩りに連れて来た癖に懲り懲りとはどー言うこった」

「ドラゴンとは戦えん。知り合いが多くてな」

意味の分かったジョンが固まった。

「あ、ああ、そっちか」

「さっき遊んでもらったのだって、本気出されたら人の子なんて瞬殺だからなー」

「さっき?貴方達、ドラゴンと戦って来たの?」

「ああ、此奴のせいでモノホンのドラゴンとやり合っちまった」

「え?まさか、雪招きのドラゴン…」

「否、違う。此奴曰く雄龍だそうだ」

「そ!それは何処に!?大変!みんなに避難を…」

狼狽えるお婆ちゃんを手で制す。

「大丈夫だよ。話をして、詫び石渡して収めてもらったから」

「わ、詫び石?どう言う事なんだい?」

「ジョンの力を認めたって事だよ。それと、詫び石はこんな感じね」

雄龍にあげたのと同じくらいの魔石を見せるとお婆ちゃんとても驚いてた。デッドサーチャーの魔石、三百五十万ヤン也。

「おま、それくれてやったのか!買い取るって客が結構居て引き取ろうと思ってたんだった。忘れてたぜ…」

「龍はコレに目が無いからな。それとお婆ちゃん」

「な、なんだい?」

「雪招きのドラゴンって、青い雌龍だろ?」

「そう、言われてるねぇ」

「それ、俺の義理の母」

「は?冗談はおよしよ?」

「否、婆ちゃん、此奴のは冗談じゃ無ぇらしい」

ジョンの街の周辺を更地にした事はお婆ちゃんの耳にも入ってたようで、それがドラゴンブレスだと言うのを知って震え上がっちゃった。

「よ…、よく許して貰えたもんだよ…」

「否、ネーヴェは相当怒ってたぞ?俺も諌めたがお友達に感謝しなきゃな。それとな?雪招きの息子ちゃんにも会って来たぞ。その内娘三人と孫娘とネーヴェを連れて顔見せに行く予定だ」

「お前、孫居たのか」

「俺のじゃ無い。雪招きの孫だよ」

「ネーヴェ様とリュネ様の他にも居たのか…」

「オマケだが、雄龍の知り合いも居たりする」

オマケとは言え、ガチでやったら俺は死ぬ。

「とんでもねーな」

龍と戦って生き残ったジョンも大した奴だよ。

「貴方、カケル…さん?相対するのは懲り懲りって…」

「んまあ、そう言う事だ。人の力で龍は殺せんよ。雄でも無理」

「そんな…、街を捨てなきゃならんのかね…」

「大丈夫。トカゲじゃあるまいし、傍若無人な事はしないよ。それに、龍なら遠くに居ても人の子なんてプチッと殺れるからな。だから彼奴は怒ってない」

お婆ちゃん、驚き過ぎて放心状態だ。携帯用火の鉄板で冷めたお茶を温めて、人心地着いてもらう。

「私ゃもう、引退かねぇ…。十年は歳を取った気分だよ」

「婆ちゃん、此奴の事はさらっと流すに限るぞ。カケルは人じゃ無ぇんだ」

「まさか…、魔族…」

「魔族の知り合いも居るが、俺は一応人だぞ?」

「龍化してる時点でお前はもう人じゃ無ぇ」

「り…、二十年は歳取りそうだよ…」

「長生き出来て良かったな。そろそろ勇者が召喚されるそうだし、冥土の土産に丁度良いな」

「お前さらっと何言ってんだ。婆ちゃん召されちまっただろが」

「まだ息はあるよっ。それにしても、ドラゴン…龍に魔族と勇者かい…。大変な時代に生まれちまったねぇ」

茶を啜り、目を閉じるお婆ちゃん。召されるのか?

「どのくらい大変なんだ?」

「…文献に依るとね。魔物の力が増してオーバーフローが頻発するのさ。そして魔王は国を興して人を狩り出す。勇者は其れを倒す為に立ち上がる…ってね」

「魔王については任せとけ」

「「はぁ?」」

二人の声が木霊した。


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