女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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小さ過ぎて読めない

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 国が管理する家系図と、イデロンが持って来た紙切れを見比べる。文字が小さ過ぎて読めない。暗部の二人に見てもらう。

「…これは…」

「我が国でも気を付ける必要がありますね」

「何か分かったか?」

「カケル様。偽造です」

「この場所に書かれていて、嫡男であれば社交界に出ていておかしくないかと。庶子であるなら家を出されております。病弱で社交界に出られない等の理由もありましょうが、名が知られていないのは不自然です。アルア様の元婚約者ですら名前はチラホラ出ておりましたからね。そもそも、悪政を働いていたならいざ知らず、イゼッタ様のお父上を討ち取って成り代わるなら前持って陳情し討伐の許可を得るべきです」

「此方の紹介状も酷いものです」

国の管理する家系図は後から追記したので偽造では無いが、貴様が見せてくれたナーバーグ家からの紹介状は印も筆跡も本物であると告げられた。今から殺りますよって相手に紹介状?

「カケルさん、魔力で見てくださいな」

リュネが魔力で見ろと言う。文字も魔力も小さ過ぎて読めない。お前が代わりに見てくれた。

「確かに、乱れておりますね。我が国でもインクに粉にした魔石を混ぜる事で書いた者の特定が出来るようにしておりますが、ぼやける程乱れているので直ぐには気付きませんでした」

「脅されて書いたが紹介する意志は無い。そんな感じか」

「御意に」

「意見具申致します」

眼鏡のメイドが手を挙げて、何か言いたいらしい。

「良いぞ」

「私、紹介状自体は中身を見ておりませんが、魔力の乱れについては宰相様からこれを預かった折、意見を述べさせて頂きました。問題無かろうとの回答を得て、そのままにしておりました」

まあ、メイドだし、気にすんなと言われてしまえばそれまでか。縦社会あるある。

「取り敢えず分かった」

 王と宰相には他の国と仲良く大陸を治めろと指示を出し、他の貴族にも悪い事すんなと釘を指した。メイド達は仕事に戻らせ、俺達は空に上がった。

「結局は俺のせいだった」

「気にしても仕方ありません」

「国が荒れる前で良かったかと」

暗部の二人はそう言ってくれるが、やはりやり過ぎたかな。寝てるネーヴェの元へと戻り、その夜はそこで寝た。
翌日は飯を食ったらキネイアッセンに飛び、エンメロイにビビられる。リュネに浄化の魔石を託すと、地下から湧いていた嫌な感情はみるみるうちに消えて行った。そして島へと帰宅した。


「お前、貴様。今回は助かったよ」

「大した事はしてません」

昼食を終え、新居の居間でお茶を飲む二人に感謝を述べる。俺は外から鼻先だけ突っ込んで、歯と歯の隙間からテイカにお茶を注がれてる。美味いかどうか分からない。

「他の大陸が見られて此方も楽しめました。お土産も買えましたし」

マジックバッグ持ちのようで、腰に着けた小さな鞄から木剣出してる。修学旅行の学生か。俺も家に二本あったけどさ。

「やっぱり知らない人だった」

皆への報告をすると、イゼッタはイデロンの事を改めて知らないと言う。

「大旦那様の兄弟の子、ですか。私がナーバーグ家に入って直ぐに大旦那様は亡くなりましたから、少なくとも葬儀には出ている筈ですよね」

「ん。せんせも知らないって言ってた」

「唯の成り済まし、だったのだろうか?」

  「他家からの刺客って考えるんだね」
フラーラは他の貴族や他国からの刺客の線があると言うが、今更それが分かった所でイゼッタの家族は戻って来ない。考えるだけ無駄である。

「旦那さまー、勇者さんはどうなったんですか?」

「呼ばれる九日前に止めたからな。無理矢理連れて来られる事は無くなったよ。だから死ぬ予定で連れて来られるので無ければ現地で元気に過ごせている筈だ」

 サミイにはそう言ったが、死ぬ予定だとしたらしっかり輪廻の輪に並んで欲しいと切に願う。
食休みをゆっくり取って、暗部の二人は帰って行った。
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