女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
801 / 1,519

趣味が無い

しおりを挟む


 服を着替えて洗面し、皆と食事をして食休みのお茶を飲んだらトイレでタマゲル達に餌を与える。結構な人数から餌を貰っているし、餌の栄養も良いみたいでだいぶ数を増やしているようだな。
朝のお勤めも終わった所で、厨房からおやつを頂き出掛ける支度をしていると、物欲しそうな視線が刺さる。

「カケルゥ、カララはね、大好きなカケルと食べる甘いのが大好きなの」

「「カケルさまぁ」」「カケルしゃまぁ~」

俺のおやつ非常食は無くなった。が、天使達の笑顔が見れたので後悔は無い。ずっと見ていたいのを我慢して、ジョンの所に昨日査定した分の金をもらいに行って来る。

 雪招きのドラゴンであるママ様が離れたクリューエルシュタルトはすっかり春の陽気だ。男も女も薄着になって陽の光を浴びてるが、浴び過ぎも良くないんだぞ?野球漬けで日焼けして、坊主だった頭の皮まで剥けてた俺が言えた事では無いのだが。
専用口からギルドに入るとジョンが肌を晒してた。

「うおっ!カケルかよ」

「着替えてたのか?」

「日に当たってたんだ。お前んトコではやんねーのか?」

「やらんなぁ。そもそもこの大陸以外で雪を見ないからな。日光浴所か水遊びすらしないぞ」

「成程なー」

取り敢えず仕事場ではやらん方が良いと思う。昨日の査定の結果を聞くと、ドアを開けてサブマスを呼び付ける。呼び付けられてやって来たサブマスの女は驚いて恥ずかしがって覗いてた。

「お楽しみの所悪いが、査定した金を振り込んでくれ。終わったらたんと凝視して良いから」

「はっ、はいっ!」

差し出すギルド証を奪い取り、素早く機械にかけて行く。

「流石に服着るぞ?」

「服があるならな」

脱ぎ散らしてあった服は既に《収納》した。

「カケル様、入金完了致しました」

ギルド証を返してくれるが、その目は俺を見ていない。ジョンのあられも無い姿を目に焼き付けているようだ。

「カケルよぅ…」

長居するのも良くないな。ジョンの服をサブマスに渡し、俺は窓から外に出た。特に予定も無いし、狩り…はママ様に一言お伺い…の前にリュネにお伺いを立てねばならんし、主婦達と…したいが家に帰ったらジト目を賜りそうだ。
俺、趣味が無いんだな…。
 シルケ人に、趣味と言う概念は殆ど無い。貴族等、生活に困ってない者は嗜好品を集めたり、ギャンブルや狩りごっこ等で娯楽を楽しんでいるようだが、平民は仕事しないと生きていけないので遊んでるのは子供と冒険者くらいのモノだ。人間の屑冒険者みたいに昼間っから酒を煽るのも嫌だし、何か娯楽は無いものか。

「カケル様」「お暇なのですか?」

専用入口の下で立ち惚けて居ると、何処より声がする。あ、向かいの屋根の上に居た。お前と貴様だ。浮き上がって合流する。

「この世界には娯楽が無くてな。お前達こそ、こんな所で日向ぼっこか?」

「そうだったら良いのですが」「残念ながらお仕事の途中です」

領地での収集した情報をシューンシューンズデーゲンにて報告する途中なんだとさ。

「カケル様は何か情報ありませんか?」

「んー、特にはなぁ。昨日ジョンとダンジョンに潜ったのはもう知ってるだろう?」

俺の答えに二人は頷く。俺にはこのくらいしかネタが無いのだ。

「ですが、何処まで潜ったのか、詳しくは知りません」

「戦利品は?武具は沢山流れているようですが」

「その辺はその内物が出るから気にしなくて良いだろう。魔剣や魔装については秘密だ。お前等の親玉に知られたら困るしな」

「暗に出たと言ってますね」

「そりゃそうだ。なんせ俺とジョンにリュネまで居たんだからな。まあ、ジョンも俺も目を付けられてるだろうし、献上するような物は出てないって事にしといてくれ」

「「御意に」」

「所で、何か娯楽になるような物は無いか?」

「娯楽、ですか?」「打つ、買う、飲む、ですね」

やっぱりそれしか無いのか…。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀
ファンタジー
 ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。  しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。  そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。  対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

暗殺者から始まる異世界満喫生活

暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。 流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。 しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。 同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。 ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。 新たな生活は異世界を満喫したい。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...