女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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可愛い愛娘

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 カロ邸から島に帰って、赤ちゃん部屋で一眠り。お昼寝してる子も居れば、俺の頭を親の仇と思わんばかりにペチペチして来る子も居る。

「ジョー二アスぅぅ~」

「えひゃっひゃっひゃっ」

浮かせてやるとこの通り、大変にお喜びである。こっちの子も割と起きてるし、あっちも起きてるかな?

『シンクレイア、今暇?』

…………

寝てるのかな。腕枕しに来る子を脇に寄せ、俺も目を瞑る。

『…何よ』

やたら不機嫌そうな声が帰って来た。

『寝てたなら悪かったな。こっちは粗方起きてたから声掛けたんだ』

『退屈はしてるけど貴方と話す気は無かったの』

『娘に嫌われちゃってパパ悲しい』

『…死ねば良いのに』

『俺が死んだら幾つかの大陸が焦土と化すよ。長生きするのを願っとけ』

『何それ』

そして俺は蝋人形にされたりアイツを切り取られて使い回されたりするのだろう。アンデッドやゴーレムにされちゃうかも知れん。

『所でよ、お前、誰?』

『可愛い愛娘よ』

「ジョー二アス、そろそろ降りようかねー。楽しかったか?」

「えへー、へっへっへっ」

ジョー二アスを腹の上に乗せてやると、大の字になってうつ伏せ寝するようだ。子供温かいなり。俺も目を閉じ、ベッドの側面に極弱い《結界》を張った。少しだけ静かになった部屋は、もぞもぞと起きてる子が蠢き、小さな寝息が立ち始める。

『何か返しなさいよ』

『カロを泣かせたく無い』

赤子に対して出して良い声じゃ無いのは俺にも分かる。それくらい、俺の心にはモヤモヤが溜まっているのだ。傍に子供達が居なければ魔力を大放出していてもおかしくない。

『…分かったわよ。…私、勇者よ。多分ね』

『勇者は召喚前に儀式を止めた筈だ。それに産まれた後だったろ』

『神様には人と同じ時間の概念は無いみたいよ』

召喚前に意識を入れられたとして、俺が何もしなかったり、失敗してたらどうなるんだ?肉体と精神が出会ったら融合したり対消滅したりするのだろうか。

『確か…、シャクリャオーファンシー』

大橋咲良おおはし さくらよ。何その片言英語みたいな発音』

『やっぱ日本人なのな』

『貴方もそうなんでしょ?カケルって呼ばれてたし』

『狩場翔だ。パパって呼んでくれ』

『こっちはシンクレイア…なのよね。もう別人の体なんだし』

『勇者の力も使わなくて済めば良いな』

『は?まだ私、勇者なの?』

『ステータス見れない?』

『……ある…。って事は、魔王も居るのね…』

『封印と浄化で簡単には出られないだろうがな』

『じゃあ私、要らないじゃない』

『かもな。パパの娘としてしか必要では無いな』

『…ママの娘として生きるわ』

『恋人が出来たら連れて来なさい』

『…寝る。おやすみ』

寝ちゃったみたい。赤ちゃんだし仕方無いか。何時の間にやら集まって寝息を立ててる子供達に雑木シーツを掛けてやり、俺も寝た。

 赤ちゃん達のご飯タイムに起こされて、俺も昼飯、食堂に降りる。

「カケルさん、お話は終わりましたか?」

「知ってたんだな」

「ええ」

リュネだけで無く、あの場に居た魔力の強い者は分かったそうだ。なら俺が一番に気付くと思うのだが、あの時は必死だったので気付けなかったのだろう。

「リュネ、俺の蘇生術は、ダメだったのか?」

「カケルさんの力であれば、死んで無ければ真っ二つを二人に出来ますよ」

何それ凄い。否、真っ二つになったら即死だろ。
しかし、俺の蘇生が失敗では無かったのは何よりだが、元の意識は何処に行ったのだろう…。肉体を蘇生出来ても中身が戻って無ければそれは失敗なのでは無かろうか。外面では平静を装って居るが、その実凄く動揺している。

「カケル、野菜のこす、だめ」

ネーヴェがフォークに刺した赤い野菜を俺の口に押し込んだ。それお前の野菜だよな?まあ、無駄に考えるなって事を言いたいのだろう、と良いように解釈し、赤い野菜を咀嚼した。
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