女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
919 / 1,519

威厳ある父

しおりを挟む


 ドロップを見て何を狩ったか分かるタマリーは出来る職員だ。

「トカゲの魔石は大口の注文があるから、そっちに回すつもりだよ」

「女かい?」

「男だな。顧客には女も居るかもだけど、卸す先は男だよ」

「ああ、ノースバーの」

「今一番使ってるの、彼処の金だからね。多めに持っておきたいのさ」

査定の結果は明日以降と言う事で、結果が出たら振り込んでもらう事になった。

「暇ならで良いんだが、昼飯一緒にどうだ?」

「コブ付きで良いならね」

「我が子を拒む親等居るか。カロも呼んでくれ」

「分かったよ」

階段を上がって行くタマリーの尻を眺めながら、赤ちゃん達を愛でる輪に突入する。

「シンクレイア、ガンダー。お仕事ご苦労様」

「ぶえ~」「んー」

ガンダーはお腹空いて切なくなってるな。《洗浄》したトカゲの魔石を抱っこさせてやると、直ぐにベロベロやり出した。絶対無味無臭な筈なのに何故執拗に舐るのか。魔力吸ってる訳で無し。

「あぱー、あーぱー」

「おおよしよーし」  『シンクレイアのは後でな。此処ではヤバい』 

「あんー」

「カケル様、お待たせ致しました」

「此奴、また良いのを貰ったね」

「飽きたら養育費の足しにしてくれ」

「そんなにあったら働かなくなっちまいそうだよ」

「さあ、行きましょう。シンクレイア、行きますよー」

「あー」

 赤ちゃん二人を肩に乗せ、カロとタマリーに連れられ外に出た。敢えてスルーしていたが、トカゲの魔石を出すとギャラリーが凄くざわざわする。規模は違えどタマゲルだって持ってるだろうに、高々魔石に騒ぐなと言いたい。
二人に連れて来られたのは、前も使った個室の店だ。店主の婆ちゃんもシンクレイアとガンダーの来店に目尻が下がってる。此方へどうぞと個室に入り、先ずはササッと注文し、タマリーがおっぱいプルンプルンした。俺のじゃ無い。子供達のご飯だ。子供達を少し浮かせて負担を減らしてやる。

「悪いね。坊やの分はお預けさ」

「見てるだけでも幸せな気分になれるんだぜ?」

「カケル様、吸いますか?」『すけべ』

「威厳ある父で居させてくれ。そうだ、ダンジョンでお土産拾って来たからもらってくれ」

「良いのですか?」

「ガンダーだけじゃ贔屓してるみたいだからな。シンクレイアにもあるぞ」

「はぱぁー!」

「今パパって言ったね」「流石私とカケル様の子ですっ」

「ははっ、息継ぎしただけだろ。それよりお土産と聞いて喜んでる事に驚きだよ。末はお土産屋さんかな?」

ガンダーにはさっきあげたトカゲの魔石。カロにはシンプルなミスリルの腕輪、タマリーは両手が塞がってるので金の鎖のネックレスを着けてやる。そしてお乳を吸いながら俺をじっと見詰めるシンクレイアには…、

「あ?」

ミスリルの鏡を見たシンクレイアはこの反応である。

「え!?それもダンジョン産なのですか?」

「へぇ…。本妻にはそれ以上の物をくれてやったんだろうね?」

大人二人はこの反応。この世界の鏡の扱いの高さが窺い知れよう。

「シンクレイアはお気に召されなかったかな。効果を知れば跳ね回ると思うんだが」

「カケル様、それはどう言う?」

「皆に送った物は魔装、シンクレイアのは魔具だ」

三人は、効果を聞いて絶句した。
カロに送った腕輪は壮健のブレスレットと言い、体力と疲労をリジェネしてくれる優れ物。魔法やポーションには疲労回復の効果は無いので、二十四時間戦いたい人には喉から手が出る程の品である。
タマリーのネックレスは予期のネックレス。予想した事の顛末を知る事が出来る。効果範囲は精々自分の周辺って所だが、ミスの無い仕事をする者ならば絶対に持っておきたい逸品だ。
そしてシンクレイアが怪訝な顔をして見てる鏡だが、これは遠見の鏡。上から視点ではあるものの、色んな所を見る事が出来る。勿論鏡としても使えるぞ。あんしんフィルターが付いてないのは少し心配だが、それは後で説明しよう。

しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀
ファンタジー
 ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。  しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。  そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。  対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

暗殺者から始まる異世界満喫生活

暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。 流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。 しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。 同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。 ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。 新たな生活は異世界を満喫したい。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...