女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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姪孫

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 リュネは俺の意思に従うのだろう。ぶっちゃけ俺は何方でも良い。

「問題無いですが、退屈ならお茶でも飲んで来て構いませんよ。…では王よ。勇者召喚の方法聞きに来たのだが、資料と方法を教えてくれ」

「禁忌の秘術ではありませんか!貴方、なりませんよ?」

軽く流して話を始めると、王妃は声を荒らげた。

「知った所で勇者を呼ぶ事は無いよ」

王妃の叫びに静かに答える。

「お前等の召喚は召喚前の体を殺して、魂をコッチに拉致してから体を再構築させるみたいだからな。人の人生ぶっ壊すような事、絶対やんねぇよ」

「そこまで知って、更に何を求むのです?」

荒ぶる王妃を手で制した王が、前のめりになって聞いて来た。

「消費魔力や、それを抑える方法だよ。あの時教会で召喚させようとしてたが、あの場の魔力、全部合わせてもイゼッタ一人に敵わない程度の量だった。ならば消費を抑える方法があるのだろう」

「消費を抑える方法は分かりかねます。伝えられた方法でしか行えませんので」

「召喚失敗させたのに、勇者は死んだんだ。少しばかり夢見がちな女の子がな。お前等の手足が何人死のうと、殺して良い子じゃ無かったんだ。隷属させて犯すなんて以ての外なんだ」

「「申し訳、御座いませんでした…」」

王と宰相が椅子を離れ頭を地に着ける。隷属や犯す云々は未遂だが、それを聞いて王妃も口を閉ざした。

「早速資料を持たせます。どうか別室にてお待ち頂きたい」

宰相の言葉で入室して来たメイド達に連れられて、王達と共に謁見の間の奥にある別室へ。テーブルに着き、お茶に焼き菓子が出る。

「今度は普通のお茶だな」

「カケル様、先程同様最高級のお茶でしてよ?それにしても驚きです。勇者召喚を妨害したドラゴンが、カケル様でしたなんて…」

「ああ、根こそぎ殺したよ」

「カケル、叔母様は責めてない」

「そうですよカケルさん。あんな龍を見て惚れないは居ませぇん。それに…ふふっ、アレが、うふ、でろ~んって…うふふふ」

リュネの思い出し笑いで、少し暗くなった部屋が明るくなる。目の前のもやもやが晴れたのは、無意識に垂れ流していた魔力が収まったからのようだ。

「カケル様は人の姿をしておいでだが、本当に人なのであろうか?」

冷や汗ダラダラの宰相が問う。イゼッタとノーノ以外の人種は真面に話す事も出来なそうだ。

「ちゃんと人種だよ。ごめんなシャリー」

皆を回復させて居ると、ドアをノックしてメイドが入って来る。以前見た眼鏡の女がカートを引いたメイドを引き連れてる。出世したのか?

「全てお持ちしました。先程の魔力暴走は何事かございましたか?」

「勘違いで垂れ流しちゃっただけだよ」

「あの時のドラゴン様、ですよね?」

「人が龍に化けてたんだ」

資料をテーブルに乗せながら、眼鏡のメイドが問うて来る。龍が《人化》してると思ってるみたいなので訂正しといた。

それにしても量が多い。勇者召喚の方法を記した本に、それに付随する知識についての資料。行動記録と資材資料が召喚された回数分で、これ一日じゃ見終わらんぞ。

「読んでたら日が暮れるなこりゃ…」

「理解しながらですと私の場合十日掛かりました」

「宰相よ、何故メイドが禁書を?」

「拓書要員で私の姪孫てっそんで御座います。お忘れですか?」

「トリントン嬢か、覚えてはいるがもっとこう、垢抜けて居ったではないか」

「宰相様、十四の頃から出会いも無く、八年もメイドと拓書をしていればこうなるのも仕方ありませんよね?」

「よし。カケル様に嫁げ」

「ダメー」「ダメです」

トリントン嬢二十二歳がこの世の不幸を全部背負った顔をして膝を落とす。確かこう言うメイドとかって、行儀見習いで数年入る年季奉公とかだったよな。年季も明けず、婚期を逃す。カロみたいだ。

「メイドとしてなら貰っても良い」

俺の言葉に部屋が沸く。


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