1,049 / 1,519
入場規制
しおりを挟む翌日はテイカとイゼッタを伴ってバルタリンドにやって来た。俺達が居るのはカロ邸だが、寝具店にはサミイと、フラノノシャリーのメイド組が向かい、広報活動をしてくれるそうだ。
「カケル様、貴族への通達は如何なされますか?」
アルネスは貴族を客にする為に言っている訳では無い。難癖付けさせない為に一言断りを入れるべしとの判断だ。
「無視だな」
「良いのですか?」
「平民と一緒に入れるなら口コミで来てくれて構わない。そんだけだよ」
「だいじょぶ。難癖付けたら更地になるだけ」
「た、確かに…」
イゼッタよ、難癖付けた代償は更地になる迄分からないんだぞ?
アルネスも暇では無いので早々にカロ邸を出て、斜向かいの入浴施設へと向かう。テイカは壁を蹴ってタタッと、イゼッタは魔法で飛び、俺はスキルで飛んで入る。
「入口入ったら浴室で一オコン過ごすから、時間を計ってくれ」
「数数えてたらい?」
「イゼッタは時間を計るスキルは持って無いか」
「ん」
「カケル様。どうせ直ぐに戻られますし、数を数えるので充分かと。逆は大変ですけど」
「まあそうだな。ではちょっと籠るからドアが閉まったら数えてくれ。帰りは《転移》で戻る」
「ん~」「了解です」
玄関を潜りドアを閉めると同時に《逃げる》に指示を出す。一オコンしたら指定した場所に《転移》しろ。と言う内容だ。風呂に向かい、休憩スペースで横になる。流れ続ける湯が部屋を暖かくしていて眠くなるのだ。気付いたら外に放り出されていた。
「寝てたの?」
「部屋が暖かかったモンでな…。幾つ数えた?」
「二」
「一オコン二ピルか」
「ん」
「出入りを気を付けないと鉢合わせしちゃうな」
「入口は時間が違うって、ネーヴェ様言ってた」
イゼッタの説明を聞くに、入口で若返り、その他の場所で歳を取る。出入りで二回通るので、その分若返る…みたい。
「そうなると、入口から入って時間を調べるのは難しいのか。少なくとも《転移》で出るのはダメだな」
もう一度計測し直しだ。今度はちゃんと玄関を通って外に出た。
「おかえり~」
「幾つ数えた?」
「…忘れた」「百八十です」
「上手く帳尻合わせたモンだな。一オコンが三リットになる訳か」
そうなると、十オコンが三十リット。一日何回かに分けて入場規制するのが良さそうだ。
「二の鐘と、五の鐘で入場。そこから最長三十リットで店仕舞いにしよう」
「そんだけ?」
「中で十オコン経つんだぞ?先ずはこれで様子見しようぜ」
「なるほど」
「テイカさん達に伝えてきます」
「頼むよ」
「私、お風呂入ってく」
イゼッタに雑木タオルを渡して俺も出掛ける。ノースバーの小銭を集めねばならんのだ。《白昼夢》でクリューエルシュタルトの冒険者ギルドの上空を指定して《転移》。瞬きする間も無く空の上に居た。
「カケル?何してんだ突然」
ギルマス室の窓が開き、ジョンが身を乗り出した。此奴も謎感知を覚えたのか。
「金を引き出しに来たんだ。お釣りや給与にするから纏まった数が欲しい」
窓迄降りて告げると、サブマスを呼んでくれるって。この街のギルマスはサブマス呼ぶ係なのか。中に入って暫し待つ。
「給与とお釣り、と聞きましたが、商売でも始めたのですか?」
お茶を持って来たサブマスと思しき美人が問う。また新しい女か。
「商売は既にやってんだが、新しいの始めたんだ」
「レーナ、此奴のおかげで黒糖食えるんだぞ?」
レーナさんか。濃い青の髪を肩で揃えた糸目さんだ。目鼻立ちが整っていて絵みたいなレーナさんも黒糖と聞いて開眼し、金色の瞳を輝かせた。
「貴方が神ですか」
「そんなに力持って無いからね」
「いいえっ、貴方様のおかげで雪の季節の食料問題が解決したのです。その上庶民にも手を出し易い甘味を広めて下さいました。貴族に召し上げられないのも、きっと貴方様の尽力の賜物なのでしょう」
盲目だが優秀だな。珍しく、ギルドに女の理解者が増えた。
0
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ブラック企業でポイントを極めた俺、異世界で最強の農民になります
はぶさん
ファンタジー
ブラック企業で心をすり減らし過労死した俺が、異世界で手にしたのは『ポイント』を貯めてあらゆるものと交換できるスキルだった。
「今度こそ、誰にも搾取されないスローライフを送る!」
そう誓い、辺境の村で農業を始めたはずが、飢饉に苦しむ人々を見過ごせない。前世の知識とポイントで交換した現代の調味料で「奇跡のプリン」を生み出し、村を救った功績は、やがて王都の知るところとなる。
これは、ポイント稼ぎに執着する元社畜が、温かい食卓を夢見るうちに、うっかり世界の謎と巨大な悪意に立ち向かってしまう物語。最強農民の異世界改革、ここに開幕!
毎日二話更新できるよう頑張ります!
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる