女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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 色々騙くらかして出来上がった楕円は正確な物とは比較にならんがそれっぽく描けた気がする。比較出来るのは神様だけだ、問題無い。

「ご精が出ますね」

「出して無いよ?」

何時の間にか隣の席に掛けていたシスターに声を掛けられ、意味の違う回答を返してしまった。こんな美人が隣に居たとは、少し集中し過ぎたな。

「女神様を写しておいでかと思いましたが、それは図形、でしょうか」

「楕円を描くのは難しいので、神様のお知恵を…と」

「殊勝な事。ですが建築士の方々の方が手取り教えて頂けますかと」

「成程。これだけの建築が成せるのなら、設計の知識として持ち得ているでしょうね」

「技術は綿々と繋がれ続けております筈です。して、貴方様はお一人で?」

「はい「カーケールー」いいえ、愛する妻にメイドも居ります」

ジト目ビームがチクチク刺さる。どうやら魔法の解除が終わってしまったようだ。リアやフラノノも寄って来た。

「貴方様、教会に手を出してはなりませんよ?」

「出てないよ?ちゃんとお仕事してたもん」

「ん?ひしゃげた丸だな。どう見るノーノ」

  「作業量は多いね。セーフかな」
どうやら許されたらしい。隣に座って居たシスターも、俺が絵を描いて居たので興味本位で近付いたと明かし、詫びを入れて去って行った。

「カケル、意外とモテモテ?」

「妻が三人も居るし、モテモテだろ?」

「妻らしい事、して」

「これ作っておくからお土産買っといで」

「ん~」

代表してシャリーに小遣いを渡し、皆わらわらと出て行った。俺は一度街の外に出るかな。

 外に出て、森の中に入ってく。とは言え森の中では広さが無いので空に上がって辺りを見回す。川があるが、くねってるし街が近過ぎるのでダメ。バレないように森を切るか…。
樹冠ギリギリを飛んで街から少し離れると、作業スペース分の木を《収納》する。長さは四十ハーン、幅十ハーン。後でイゼッタに植林して貰わねばならんな。凸凹の地面の上に柔らか煉瓦の土台を乗せて、固めた後を水平に《収納》すると、ツルリとした床となった。その床の上に、六十長辺ハーン×短辺ハーン×六十厚みドンの煉瓦板を乗せる。
窓を付けなきゃならんので、真ん中辺りで二十長辺×短辺ハーンで切り出して、空いた場所に同じ大きさのクリスタルモドキを付け替えた。圧着して、同じ硬さに調節し、表面を五ドン、引っくり返して裏面も五ドン《収納》し、五十ドン厚の板となった。

空に上がり、煉瓦板の端と端をくっ付ける。床に《感知》で設計図をトレースし、円になった板を曲げてやる。クリスタルモドキの端をシンメトリーにするのが難しく、キレイにセットするのに多少時間が掛かった。
ここまで来ればガワは粗完成だ。後は床と屋根を付けて、入口を開けるだけだもの。輪っかを床と屋根で挟み、余分を切り落とす。簡単。軽く固めて仮組み完了。

入口は後ろに作る事にした。横だと空気の摩擦で五月蝿そうだし。《結界》は、無いなら無い方が楽なのだ。
楕円の尖った後部を上から┓の字で切り取る。全ての辺にテーパーを付けて切る事で、内側に入らなくする。中に入り、浮かせたハッチを閉めたら閂を二つとノブを作って貼り付けた。この閂棒は本体側にテーパーが掛かってて、閂を入れるとハッチを締め込むように工夫した。開口部が高くて閉め難いだろうし、ノブには綱を付けておこう。
ハッチの上にヒンジを付ける。普通の蝶番では無くバネを使い、U字に曲がったタイプだ。コイルバネの端を伸ばしてU字に曲げ、本体とハッチに取り付ける。ハッチを開けて、粘度を保つように固めると、空いた状態でホールド出来た。…閉めるのに力が要るな。数度の調節を経て、良いバランスのアームとなった。大型UFOのは引戸にしよう。
しっかり固めて試運転。状態良く出来上がったのを確認して笑みが漏れた。
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