女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
1,129 / 1,519

女子を見て食う飯

しおりを挟む


 街道を行くホルスト車一行に動きがあったのは、それから四オコン程経った頃だろうか。先頭車両が草藪の中に停車すると、列を成していた後続も道の左右に分かれて草藪へ。ホルストの休憩と、俺達の昼飯だそうな。

「外に出るべ。体を解さんと尻に負担を掛け過ぎる」

「カケルさん、中に居た方が安全じゃないか?」

安全か?安全なんて何処にも無いぞ。そんなモン。引き篭もりたい男に答える。

「ホルストが殺られたら逃げる事もままならんだろ。それに飯食ったらどっちにしろ外に用足しに行くんだ。何時出ても変わらんよ」

「な、成程…」

「それに、女子を見て食う飯の方が美味い」

「降りるか…」「ああ」

現金なモンで、女と聞いて外に出だすお手頃価格達。

「飯が美味けりゃ尚良いんだが。翔よう、あの干し肉無いのか?」

「強くなって自分で作りたまえよ」

弥一を押し出して外に出ると、他の車両の奴等も外に出て伸びたり曲げたりしていた。青々と茂る雑草を食むホルストに、馭者が馭者台の横にある水樽から桶に注いで飲ませてる。

「翔よう、女子達反対側だったわ」

「残念だったな」

そう言って、草藪にマットを敷き、ローテーブルを置いて座る。さてさて飯飯。作り置きしといたスープにソーサー。奪われると嫌なのでゴーラの干し肉を出して頂きます。

「異次元収納か」

「アイテムだと高いから、スキルで何とかしたいよな」

「今はスープが欲しいぜ、翔くうん」

「手弁当だから上げたくないが、しゃーねーな。痩せろよ?」

「動けば痩せるべ」

この男、シルケに来てから結構経つけど痩せてるようには見えんのよな。この依頼を受けてる時点でブフリムは殺ってる筈なので、動いてはいる筈なのだが。向かいに座り、スープを啜る弥一は飽食時代に生きていた地球人には見えない食いっぷりであった。

「味には慣れたか?」

「食えるだけ良いさ。コレは格別に美味いが」

「戦争経験者みたいな事言いよる」

「知らんだろうが、家の親はメシマズでさ。外食ばっかだったんだ」

「今もだろ」

「まあな。好きなモン食ってればデブるってモンよ」

 飯を食い、ホルストの休憩待ちをしながら皆がそれぞれ倒した草の上で横になったりしてる。俺も休む前に一仕事するか。

「それ以上近付いたら、痛い目見るよ?」

女達の群れにお伺いを立てに行ったら足元に前後刃のダガー?が降って来た。背を向け口を開くヘンプシャーは、索敵にも長けているみたいだな。

「用があるのはお前だよ。ちと来てくれないか?」

ダガーを摘んで投げ返す。刺さると怪我する普通の投擲がヘンプシャーの尻を目指して飛んで行く。

「!?ヤる気!?」

ギリギリで腰を上げたヘンプシャーが驚きの声を上げたが、やった事は一緒だぞ?

「良いから来いって。話し合いだ」

「何だ?良からぬ話か?」

ヘンプシャーの声で他の面々も気付いたようだ。休んだ姿勢のままのグリオーソがニヤけて煽る。

「何方かと言うと良い話だな。皆の前で言うと嫌われそうだが」

「手早く済ませよ?」

そう言って寝に入った。絶対聞き耳立ててるだろうな。

 五号車からほんの五ハーン程離れた所で振り返ると、両手ダガーで構えてるヘンプシャー。警戒し過ぎだろ。

「力比べしたいなら相手してやっても良いが、今は後にしてくれ」

「…で、話って何だい」

「トイレ要るかどうか聞きたかったんだが」

「…は?」

「以前貴族の護衛した時さ。女達が道中ホルスト車を停らせて薮に入ってったのな?」

「で…?」

「その時作ってやったトイレが殊の外好評でな。まあ目隠しと穴程度の物なんだが。欲しいなら作ってやろうかと」

「何で、私だけに話すのよ」

「女達の前で言うとデリカシーが無いとか言われるからな」

「……はぁ。分かったわ。作りたければ作れば良いわ。使うかどうかは知らないけど」

「そうか。ならこの辺りに作っとく。女達に伝えておいてくれ。葉っぱは用意しろよ?」

「無駄に気が利くっ!」

ぷりぷりと尻を振って戻って行く尻を凝視したい。





しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

空手馬鹿の俺が転生したら規格外の治癒士になっていた 〜筋力Eのひ弱少年治癒士が高みを目指す!?〜

くまみ
ファンタジー
 前世は空手部主将の「ゴリラ」男。転生先は……筋力Eのひ弱な少年治癒士!?  「資質がなんだ!俺の拳は魔法を超える!……と、思うけど……汗」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  俺は五里羅門(ごり・らもん) 35歳独身男だ。硬派すぎて女が寄り付かず。強すぎる空手愛と鍛え抜かれた肉体のせいで不本意ながら通称「ゴリラ」と呼ばれていた。  仕事帰りにダンプに跳ねられた俺が目覚めると、そこは異世界だった。だが転生した姿は前世とは真逆。  病弱で華奢。戦闘力最低と言われる職業の「治癒士」(ヒーラー)適正の10歳の少年・ノエル。  「俺は戦闘狂だぞ!このひ弱な体じゃ、戦えねぇ!  「華奢でひ弱な体では、空手技を繰り出すのは夢のまた夢……」  魔力と資質が全てのこの世界。努力では超えられない「資質の壁」が立ちふさがる。  だが、空手馬鹿の俺の魂は諦めることを知らなかった。  「魔法が使えなきゃ、技で制す!治癒士が最強になっちゃいけないなんて誰が決めた?」  これは魔法の常識を「空手の技」で叩き壊す、一人の少年の異世界武勇伝。    伝説の騎士、美少女魔術師、そして謎の切り株(?)を巻き込み、ノエルの規格外の挑戦が今始まる!    

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

処理中です...