女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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女性の百ヤンは大事

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 翌日、朝食の支度をするシャリー達メイドを見付けて声を掛ける。

「あ、カケル様。おはようございます」

「どうした。島が恋しくなっちゃったか?」

「少し寂しいですが、今日はお使いとして。朝食の後にでも時間を頂けますか?」

「分かった。皆、手伝うにしても無理しないようにな?」

そして朝食を摂り、食後のお茶を飲みながらシャリー達の話を聞いた。お使いの依頼者は昨夜帰宅したカロで、俺に依頼したい事があると言う。昨日奢った酒代くらいにはなれば良いのだが。

「少しだけ用事があるから、それが済んでからでも良いか?」

「時間等は聞いておりませんが、早いに越した事は無いでしょうね」

「なる早で済ますかな。リア、少し良いか?」

「はい、此処に」

昨日出しそびれたクッキーを雑木容器に流し込み、皆で食べろと託した。リアでないと食べ尽くす迄摘み食いしそうだからな。それと、湿気ちゃうから蓋も付けとこ。出来れば蒸しパンを作っておきたかったがカロの要件も気になるし、用事は先延ばしするしか無い。


 朝のギルドは少し混んでて、受付に並ぶ列に霹靂とする。優しい《威圧》でギルマス室に居るカロを撫でると、同室していた誰かに何か言ったか、二人揃って部屋を出て別れる。階段を降りて来るのがカロだな。

「カケル様。いらっしゃいますか?」

「此処に居るぞ」

『パパ、居たの?』

『お仕事しないとな』

愛娘へ念話を返し、此方へ、と呼ばれた階段を上りギルマス室へ入ると、間を置かず職員がお茶を持って入って来た。

「カロ、お茶請け持って来たんだ。一緒に食べよう」

「喜んでっ」

お皿に数枚。対面で座ったカロの前に出してやる。俺が食う迄手を付けないだろうから、自分の皿のをお先に一齧り。甘くて卵と豆乳の味がする、ガリガリした食感のビスケットだ。お茶に合うな。

「ん…、んく。これは、はむ…、美味しいですね。ザクッ、ゴリゴリ…」

…仕事モードのカロがこのペースで食ってるなら、島では一瞬で消えてしまうだろうな。ゴクリと喉を鳴らし背後に従える、多分サブマスの女にも分けてやる。やらんと後で何言われるか分からんからな。

「ん、こほん。ではお呼びした用件についてお話しします」

用件とは、昨日の誤報の事であった。冒険者を集めた隙にテロ…と言う俺の考えのは半ば当たっていて、街の中、幾つかの施設が破壊されたと衛兵隊に報告があったそうだ。

「女風呂はともかく、男風呂はなぁ…」

破壊された施設に、公共浴場があった。もしかして、俺が助けないと俺のせいにされないか?

「入浴施設、引いてはカケル様を貶める企て、とも取れますが、それをする利点も思い付きませんね」

「街の力で直すとして、男達は日に日に臭くなるんだよな」

「それはまあ」

「男性はともかく女性の敵です!」

お茶請けを食べ終えたサブマス?が鼻息と言葉を荒らげる。

「其方さん、もしかして入浴施設に来た事無い?よね?」

「百ヤン高い店ですよね?ぼった屋じゃないですか。女性の百ヤンは大事なんですっ。ぼった屋なんて行きません!」

「こら、止めなさいっ」

店主に向けられる苦情をカロが止める。が、脳に糖分を摂取したサブマス?は止まらない。持論を述べ出すサブマス?に、お茶請けを出して口を塞いだ。

「百ヤン増しても通いたい風呂なんだよ。お湯は何時も交換してるし、洗濯から乾燥迄やってくれる魔道具が只で使える。おまけに買い出しや買い食いも出来るんだぜ?試しに一度だけでも、百ヤン積んでみたらどうだ?」

「破壊された公共浴場が直らない限り、嫌でもそうなるでしょうね」

ボリボリし終えて落ち着いたサブマス?が、お茶を啜って口を開いた。頑固者は何処にでも居る。

「やはり俺が直さなきゃダメかぁ」

「ええ。早く直せるとなると、カケル様を措いて他に無く…」

「分かった。最低限のレベルで作り直すから協力してくれ」

「承りました。貴女も食べた分働きなさい?」

お菓子を多く食べた者を射る様なカロの眼力に、顔を青くするサブマス?であった。



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