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内見
しおりを挟むサブマス?の名はハシュラと言うそうで、予想通りサブマスだそうだ。カロとハシュラの二人には公共浴場の施工業者から図面を借りて来てもらう。その間に、俺は破壊された施設を見て回る事にした。破壊されたと言っても更地にされていたら昨日の時点で騒ぎになってるし、壁に穴が空いた程度なら図面要らんもんな。
「やってる?」
「昨日から商売上がったりだよ…って、あンた…」
玄関のスイングドアを開けると番台に座ってる婆さんに声を掛ける。面倒そうな声が、途中から憎々し気な声に変わった。
「ギルドの要請で直しに来たんだ。直すのは図面届いてからなんだけどな」
「あンたの店のお陰で女の客が半分になっちまって、今度はぶっ壊されて、男まで居なくなってさっ。誰がやったのか気になって仕方無いよ!?」
「やった奴見てないのか。因みに俺は冒険者達と海の上に居たからな?それに、男湯壊しても俺得しないし、臭いのヤダし」
「損もしないだろ?昨日からそっちに押し寄せてるだろうしねっ」
「そんな報告は受けてないな。取り敢えず壊れた場所を見せてもらうよ?」
「勝手な事おしで無いよっ、男を呼ぶよ!?」
「是非頼むわ。壊れた箇所、詳しく分かる奴で頼む。それにさっき言ったがギルドの指名依頼なんだ。請けちゃったからやらんと妻と子等が腹空かせちまう」
「ちっ、風呂屋で儲けてるクセに…。待っといで!動くんじゃないよ!?」
番台から降りて何処かへ向かうと、暫くして男三人連れて帰って来た。
ぶりゅりゅっ!ぶびゅーっ!
「おげぇっ!」「ぶぉろろろろっ!!」「うぉぼぼぼっ!」
「なっ!?どうしちまったんだい!?」
男共の服を《収納》で裸に剥いて、《威圧》を掛ける。上下の穴から汚い音と汚い物を垂れ流し、這い蹲る男共に分からせる。
「冒険者相手に武器なんぞ持って、どうするつもりかね?で、どうなると思うね?」
汚物に塗れた得物が男共の横に転がってるのを見て、婆さんも冷や汗を垂らす。
「俺が死んでも店は元には戻らんよ。それに死ぬのはお前等だ」
「や、殺るのかい!?」
「この街が滅ぶぞ?試してみるか?」
土台無理な話であるし話が進まないので男共を《洗浄》する。
「とにかく内見だ。はよ起きろ」
「ゲホッ、糞っ」「変な術、使いやがって…」
「一人くらい殺した方が話聞いてくれるかな?」
「野郎っぶっこ……」
刃物を持った男が糸を切られた操り人形の如く地に伏せる。
「後一人は死ねるな。どっちが死にたい?」
「え、死んだ?」「そんなっ」
「こっちは仕事で来てんだよ。それに得物ぶん回そうって奴、殺んの当たり前だろうが。次はどっちが死にてぇんだよ。早く決めろ」
ビビって動かなくなっちゃった。
「同業の誼で来たのに疑われてさ、やる気も失せたわ。公共を名乗ってセコいピンハネしてんの、家政婦組合の女達は皆知ってんだからな?」
「うっ、嘘だよ!そんな事っ」
利潤を求めるのは悪では無い。露店街なんてぼったくりも良い所だしな。ぼらなきゃ娑婆代賄えんのだから、皆納得した上で値切って買うのだ。だが此処は公共施設。幾らかの運営費を貰っていて、入浴料以外のサプライをセコセコぼったくって稼いでいる。これは仕入れや納入する業者の妻達から得た情報だ。我が入浴施設はサプライレンタルで無料の為、それだけでも百ヤン足した価値があると言われる。
「その様子だと、組合から爪弾きにされてる事も知らなそうだな。それとも、風呂が此処だけだからってふんぞり返ってたのかな」
図星を突かれて黙りになった婆さんに見切りを付けて、一人で内見に向かった。
壊されていたのは湯を沸かす釜から排水口に掛けての一帯で、人が死んだ形跡もある。素人の俺でも見付けられるくらいだ、排水口の奥深くへと続いている返り血の跡に気付かなかったのは、多分犯人も焦っていたのだろう。
見た目は青年心はオッサン。俺も名探偵になれるかな?
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