女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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ゲルケブの両取り

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「カケル~、がんばれ~」

 長かった列が終わり、俺達の番。で、何故か俺一人で此処のボスを殺る事になっちゃった。ボスと言っても雑魚なので、何時ものつまらない殺し方でサクッと終わらせようと思ったのに、女達が俺の戦いに興味を持ってしまったおかげで剣を使わざるを得なくなった。

「偶には使うか」

ミーネが作ったシャムシールを携えて、雑魚の群れへと歩いてく。流石に隙だらけに見えるのか、前衛の二人は心配そうな声を上げる。その度ネーヴェがへーきへーきと宣って、自分達だけ《結界》の中に籠ってしまった。

敵の攻撃は自動発生の《逃げる》で当たらない。上手く躱して斬れる間合いの敵に刃を振るい、チマチマ敵を屠ってやった。

「あんた、やるじゃん」「群れん中突っ込んで無傷で殺り切るなんて」

多少の時間は掛かったが、前衛の二人は喜んでくれたようだ。しかし魔法職のポーリはコレジャナイ感が感じられる。きっと魔法でドバドバっと殲滅するのが見たかったのだろうな。

「もしかして、温存のつもり?」

やはりご不満らしい。

「レッサードラゴンの階層まで行くからな」

「そんなの、居るんだ…」

普通の冒険者はそんな深く迄潜らないしな。知らない者も居るのだろう。

「レッサードラゴンって、ギルマスが倒したとか聞くけど」「無理は禁物だよ?」

コッチの二人は知ってたようだ。コミュニケーション能力高そうだもんな。因みにこの二人、片やミドルソードを二振り提げた、双剣使いのプイーフ。片や盾と剣でオーソドックススタイルのサルディナ。足と胴だけ金属鎧で固めた速度重視の前衛だ。同じ所で買ったのか、似たような姿であるがヘルムの有る無しで何方か分かる感じ。革のヘルムを被っているのがサルディナだ。一方、唯一の魔法職であるポーリは皮の服にフード付きのマント、発動体の杖を持って見たまんま魔法使いなスタイルである。

 急か急かとドロップを拾い、直ぐに部屋を出る。長居は後ろに迷惑だとさ。迷惑起こして街で見付かったら只じゃ済まないんだと。マナーと言うより己が為、だな。

「俺達は奥に行くが、お前等も奥に行くのか?」

「ああ。私等は地下二十階のボスを倒して戻るつもりだよ」

「なら俺達は二十一階で休憩するかな」

「ゲルケブの両取りだね?」

「どういういみ?」「分からん」

「私等が倒した後で通るって事さ。そうだろ?」

ぶっちゃけ俺はどっちでも良いんだが、ポーリはそれを否定する。

「私達が両取りする方」

何となくだが、他人の褌で…って意味合いみたいだと感じた。

「折角だしそこ迄付き合うよ。どうせ通り道だしな」

「おや、良いのかい?また力を見せてもらったりするかもよ?」

「帰る迄がダンジョンアタックだろ?」

「儲け過ぎも危ないってか。成程ね」

地下二十階迄と言う約束をして先に進む。結構な列を成していただけあり、混んでて真面に狩れやしない。それでもボス部屋に近付くとそれなりに空いて来る。

「あちゃー、先客かー」

 普通の冒険者が狩り草に出来るのだから、先を越されてしまう事もあるだろう。デカい扉の前には三組のパーティが並び、先行した組が終わるのを待っていた。
あ、出て来た。男男男…男。リュックを重そうに担ぐ男が出て来ると、先頭のパーティが中に入り、男パーティは俺達の後ろに着いた。

「ちっ、こんな所で見せ付けやがる」

「そんなちんぽ野郎よりオラ達のが良いでよ」

「ボスに殺られる前に俺達とヤろうぜぇ」

女達は反応しない。女パーティには常に降り掛かる問題だ。反応する事が悪手なのを心得ている。

「カケル」

「ん?」

「だっこして」

甘えん坊さんなネーヴェちゃん、腕を伸ばして甘えたいみたい。腕を伸ばしてお強請りすると、俺の正面に飛び込んで、ペニスケの上に腰を下ろした。

「後二組だ。寝てなされ」「んー」

「貴方…、それ飾りじゃないの?」

ポーリが思わず突っ込んだ。




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