女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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食べ過ぎ

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「カケルさぁ~~ん」

 施設での業務に復帰し、職場と子育てを両立しながら妻と妾と性奴隷を可愛がる四日後の午後の事。間延びした声を発してポテポテと歩くような速さで駆けて来るリュネに違和感を覚えた。

「な~あ~に~?」

「少し困った事がありましてぇ。聞いてくださぁい」

多分だが、だいぶ困った事では無かろうか。体に張り付いてる妻達に退いてもらい、マットに胡座をかいた。

「リュネ様、どしたの?」

腕に絡み直したイゼッタが問う。

「それがですねぇ、お肉が獲り難くなりましたぁ」

「お肉って、トカゲの事か?」

「ええ。大きいのを狙って獲ってたのですが、食べ過ぎちゃいましたかねぇ」

由々しき事態である。これは一生に一度見ないドラゴンが、絶滅の危機に瀕していると言う事で間違いないだろう。

「今日からトカゲ肉の捕獲は禁止だ。期限は大人の個体数が増える迄とする」

「「「えええーーーっ」」」

女達が声を上げる。だが俺は怯まない。

「リュネは十年に一度個体数を確認して、大人と子供、雌雄の各個体数を記録する事。それと皆、これからの食肉はトカゲ以外の物、四足や鳥、魚をメインとする」

「カケル…、トカゲ、美味しいの」

「完全に絶えてしまったら美味しいも何も言えないだろ。それに他の龍に俺達が減らし過ぎたのがバレて見ろ。末代迄恨まれるぞ?」

「獲り過ぎちゃいました、かねぇ」

「俺も遠慮無しに頼み過ぎたんだ。人のエゴで絶滅させるのだけは何としても避けたい」

考えてみたらママ様の所だってトカゲを食わせたりはして無かった。

「なあリュネや」

「はぃ…」

「トカゲの生態について教えてくれないか」

「ええ、分かる限りでしたら」

今夜の出勤は急遽お休みにしてもらい、対策を練る事とした。


 夕食後、場所を移して会議を行う。場所は賢者ノーノの居るカロ邸だ。集まったのはミーネ達三姉妹に賢者ノーノ、騎龍の家系にしてバルタリンドギルドマスターであるカロとサポート兼お茶汲みのアルネス、そして議長の俺。

「皆、急に場を設けてもらい感謝する。では、レッサードラゴンの個体数減少を抑制、及び回復させる為の対策会議を始めようと思う」

向かい合わせの長ソファーに各三人、龍と人が向き合って、俺はお誕生日席だ。

「一先ずの対策はリュネには話したが皆にはまだなので初めにそこから説明しよう」

一先ずの対策とは獲らない事だ。それを聞いてカロは挙手をする。

「カロどうぞ」

「確かにその通りですが、現状人種でトカゲを狩れる者はカケル様の他にはジョンさん、機会次第で少年隊の三人くらいかと」

「何方も機会が無いから実質俺と龍が対策を守れば問題無い訳だな」

「はい」

「では次に、回復についてだ。獲らなければ増えるのは当たり前だが、増えない可能性もある」

  「出会いが無いと言う事ですね?」
ノーノが挙手して口を開く。偶には声張ってこ?

「その通りだ。飛べると言っても自分の縄張りからは中々出たがらないのだそうだ」

「龍もトカゲも変わりませんねぇ」

「妹よ、手を挙げてから話せ。では旦那様…」

ミーネが手を挙げる。

「どうぞ」

「個体数の回復と言っていたが一つ所に集めて飼い慣らし、数を増やすと言うつもりなのだな?」

「出来ればそうしたい。だが問題もあるだろう。石から肉迄何でも食べるトカゲだが、一ヶ所に集めて食料を賄い切れるか。それと肥育が出来るのかと言う問題がある」

「主様よ」

「どうぞ」

「食う物に餌を与えて肥やして喰らう…。餌が肉なら我等が餌となる肉を食っても変わらんのでは無いか?」

「その通りだ。だがトカゲにとって一番の捕食者は龍だよな?」

「そうだな」

「他の龍に文句を言われたら困るだろ?」

「…そう、だな」

実際、龍の食欲はそこ迄では無い。仔龍の時にある程度は食べるが、大人になると世界に広がる魔素を吸ったり小さな獣を捕食するだけで事足りる。けど偶に物凄く食べたくなる。それが龍にとってのトカゲなのだそうだ。




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