女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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火の無い所に煙は立たない

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 ミネストパレスは君主制。本来ならば国民が納めた税を国民全体に振り分ける事になる。だが食料もインフラもちょちょいのちょいなモンだから、貨幣制度が他国に頼る程脆弱なのだ。正直女王は国の象徴となって、後は議会でも作って勝手にやって欲しい。

「金、要らんもんな…。国民を教育し、働かせ、税を払わせる。産業の無いこの島に出来るかどうか」

「主様よ、人の子の数が足りておらんのでは税云々も無いだろう」

「だよな。今は個人が働いて、外貨を得てるだけだからな」

「ルドエはもう慣れたであろうが、他の集落の者共は戸惑うであろうな」

ボーデンフェルトはそう言うが、国として治めるなら慣れさせなければならない。周知の徹底とかマジ面倒い。

「いっその事全部の集落を近くに集めちまうか」

「少なくとも、人買いは無くなりますねぇ」

「売った者と買われた者が相対する事になるだろうがな」

リュネの言葉にミーネが重ねる。買われた者はフォリ・ガウチに居るから早々相対はしないと思うが、物事に絶対は無いからな。

「立ち入りを制限したり、悪意ある者は強制労働者送りにしたりって感じでどうだ?」

「それが無難であろうな。時にカケル殿。先程名の挙がっていた国はどのように治めて居るのだ?」

「アフマクシアとカケラントか」

アフマクシアは君主制で、政治の中心は貴族。税収は国防を主に使われている。
カケラントは君主制だが、政治は貴族制を排した議会制社会主義。税収は国民の生活が主であると説明する。

「旦那様よ、それならばこの国も似た様なモノだな」

ミネストパレスは井戸端議会制で女王の採択を得る形。女性優位ではあるものの、誰でも政治に参加する事が出来る政治体系は古代のヨーロッパの何処だかみたいだ。

「確かに、考え過ぎだったな。後から合流する者に周知させる事だけ考えようか」

「では、近く集落を巡り、話を通して来よう」

「濠の外の拡張もせにゃならんし、ゆっくりで良いぞ」

「ああ、気長にだな」

龍の気長だ、年単位で掛かるのだろうな。


 話し合いも終わり、ルドエで夕飯を頂いて島に戻る。夜の部には間に合う時間であったが、不意の客にそんな事言ってられなくなった。

「我が国の王が死にました」

「政争が起きます」

お前と貴様がハークの父の死を告げる。

「政争って、跡目争いだよな?相手はアルアじゃ無いとして、誰よ?」

「は。先ずは第一王子で在らせられるハークシュタインメッツ様。次に王弟グランツヴァルツ公爵が長男テンテリオン、同じく次男ハーラデー。この三方が名乗りを上げる事になります」

「後ろ盾は?」

「ハーク様には各ギルドが。テンテリオンは貴族、ハーラデーには貴族と商人が付いているようです」

「隣国との繋がりも噂程度には」

「事実だろ」

噂は噂等では無い。火の無い所に煙は立たない。お前の憶測に割って入った。

「ご存知なので?」

「俺がハークに付いている」

「あ、はい」「間違いではありませんが…」

どうも、火種です。

「三人の内、誰かが外国の傀儡に、誰かが貴族の言いなりになるってだけだ。ま、させんがな」

「「お願い致します」」

「Aランクの命を受ける相手は決めてんだ。…あ、カケラントの王になってもらっても良いな」

「「カケル様ぁあ」」

半分は本気だが、冗談は置いといてハーク邸へと赴く。ヤリ部屋の入口を隠すように停められたゾーイ車に乗り込み、貴族街へと移動した。

「んふっ、カケルさぁ~ん」

「……」

隣にはリュネ。そして膝に乗るネーヴェ。しれっと付いて来たが、何故だ?

「リュネよ、家に居ても良かったんだぞ?それにネーヴェも」

「カケルさんに色目使う女をメッする為でぇす」

滅されたら堪らんな。

「わたし、ブレス吐いちゃった」

ネーヴェはまだ気にしてたみたいだ。使える土地を広げて護岸工事して、橋迄掛けたんだから大丈夫なのに。抱き締めて頬擦りした。





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