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大人の話
しおりを挟む午後になり、窯に火を入れ買い物に出掛ける。ステレオペアの他に、サミイとリアが付いて来て、二人とはママ上殿の所で別行動となった。
「お土産待ってますね!」
串焼きか。どうせネーヴェに強請られて買うんだろうなぁ。
「くしやき~、くっし~、くしやき~」
食う気満々だ。諦めよう。露店街を素通り出来ず、二人に二本と六本、後で買うからと二十本の予約を入れて着いたのは建具屋。久しぶりだけどミズゲルの核、取っといてくれてるかな?
「客だぞー」「客~」「きゃく~」
「いらっしゃいませ。久しぶりですね、カケルさん」
俺の事を覚えていてくれたようで、店の主が笑顔をくれる。
「ミズゲルの核、溜まってたら全部買うよ。それとゲル版を一枚買わせてくれ」
「核はたんまりありますが、ゲル版ですか?」
「今こんなのを作ってるんだ」
そう言って失敗作を見せてやると、手に持ち、眺め、指で弾いて成程と呟いた。
「強度が出なくて既製品を買いに来た訳ですな」
「ああ。コッチでも板からやるつもりだけど、プロの素材で比べないと善し悪しが分からんからね」
「それならずっと当店の商品を使って貰いたいですな」
「納得出来る状態で完成したら代わりに作って欲しいんだ。俺冒険者だし、冒険しなきゃだから」
「…良いでしょう。投資代わりにゲル版は差し上げますよ」
「その時は設備の強化を手伝わせてもらおうかな」
「詳しくお聞きしても?」
「カケルー、それ長いやつ?」
あ、イゼッタが飽きた。ネーヴェは売り物のソファーに寝そべってる。お買い上げ?しませんから。取り敢えず二人は寝具店に帰し、店主と大人の話をした。
串焼きを買って寝具店に戻ると、女達がおやつを食べていた。
「おかえり~」「くしやき~」「旦那さま、おかえりなさ~い」「お帰りなさいませ、貴方様」
一人違う事言ってるな。
「いらっしゃいませ、カケル様」
「お帰りなさい。今お茶を淹れるわ」
メッツくんを抱いて真面目モードのエージャに、ママ上殿。親父殿の気配は無いな。
「親父殿は?」
「パパは仕入れに出てるって」
「ええ、昨日買い付けに」
「護衛は付けてるの?」
「そりゃあもう。命には替えられませんから」
親父殿の分も買って来たのにな。まあ余らせても誰かが食うか。
「それで、カケル様」
「何でしょう?」
真正面に見詰めて来るママ上殿に言葉が丁寧になる。
「今夜、お情けを頂きたいのです」
「こっちこそ、待ってたけど…、サミイ」
「ママに、赤ちゃんください。元気なママに戻って欲しいですっ」
「…そうか。ママ上、ママ上殿の体は充分元気だ。親父殿と致していれば必ず子は成せる。弱ってる心に付け入るのは嫌だが、それでも俺はママ上殿を孕ませたい。それでも良いか?」
「ええ。あの人の子も産むつもり。けど三人目は、カケル様の子種で産みたいの」
ペニスケが震えた。妻達は困った顔で息を吐く。お茶の時間もそこそこに、寝具店は閉店となった。
が、帰ってセックスとはならん。容器の試作をしなければ。「私と仕事どっちが大事!?」なんて言われた事無いが、何方に時間を割くかと問われれば先に仕事を終わらせるのが良いと、俺は思う。作業場は時短してないからな。
買って来たゲル版を型の大きさに切り取り、取り敢えず容器と蓋で十枚ずつ。《結界》を纏い、火を止めた窯の中に入り丸板の型を取り出して試作用に一つだけ蓋を取る。取り出された少し柔らかい丸板を容器の型に嵌め、再び釜へ。切り出したゲル版も容器の型に乗せて窯に入れ、再び火を入れた。
「カケル様、冷たいお茶ですが…此処は随分暑いですね」
お茶を持って来たのはママ上殿であった。お客さんに何させてんだ?
「ママ上殿、ゆっくりしてて良いのに。それとさっき窯を開けてね。熱が漏れてるんだ」
「メッツもお友達と一緒ですし、家事にお邪魔する訳にも行かないので、する事が無いんですよ」
汗吹くママ上に俺は慌てた。
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