1,389 / 1,519
皺寄せ
しおりを挟む《威圧》の枷で手足と頭を固定され、強い《洗脳》を受けた二六七は、会話こそ出来る様になったが体の方はジタバタと落ち着きが無い。本能の抵抗力がかなり強い種族なようだ。
「所で此奴等全員女だと言ったが、どうやって増えるんだ?」
「カケル、よもや竜人族とも交合うつもりなのか?」
「流石にそれは無いな。鱗でアソコが切れちまう。それより、人の雄と交合って子を成す場合、人が入植する迄はどうしてたのかと思ってな」
「我等に、人のような生殖行為は、必要無い」
なんと、単一生殖で増やせるのだと。益々トカゲみたいだ。とは言え勝手気ままにポコポコ産んでは食糧難で滅んでしまうので徹底した人口管理をしていると言う。その皺寄せが人の生活域にも来てしまっているようだな。
食人に関しては、死んだり死に掛けになった者を隔て無く食すそうだ。
「我を、解放…しろ。さも無くば、殺…すっ、ぐぐぐ」
中々の抵抗力だ。頑張れば解かれてしまうかも知れないな。
「解放しても殺りに来る癖に。戦ってやるのは吝かじゃないが、此処壊されるのは悔しいからな。外に出ようじゃないか」
「カケルッ!」
「こ、殺して必ず食ろうてくれる…」
「俺を殺したらこの国消滅するけどな。まあ頑張れ」
装備を着込むと座標を指定し《転移》する。
「うぐっ、何だこの明るさはっ!?」
「外に出ただけだろ」
全身の枷と《結界》を解いてやると、多分ドヤ顔だったのだろう引き攣った顔が更に歪み、膝を抱えてしゃがみ込んだ。
「コレでヒギッ!痛いっ!?何をした!?」
「何もしてないぞ?俺は約束を守る男だからな」
服も着ず、雪積もる屋外に出れば大体の人はこうなる。人より寒さに弱そうなトカゲなら尚更この冷気は辛かろう。無詠唱で両手から湧き上がる炎毎、二六七の腕を《収納》した。
「あ…、あぎゃ、ぎゃああああっ!」
人と同じ色の液体を垂れ流し、二六七は悲鳴を上げた。腕を畳んで尻を突き上げるように蹲る姿は少し興味を注がれるが、名残惜しまず脚を《収納》する。
「イギッ、な、脚、迄…何をした…」
「死ぬ可能性のある攻撃だよ。そんな事も分からんのだな」
魔法の水をぶっ掛けると、二六七はシャーベット状の雪の上に沈み込むように突っ伏したまま動かなくなった。寒いから地下に戻ろう。
「カケル!」「お前何と言う事を!?」「竜人殿はどうした!?」
牢に戻ると見知った女達が集まっており、矢継ぎ早に質問を浴びせられる。
「俺が勝って、彼奴が負けた。それだけだ」
「本当に、何と言う事を…」
「カケル、お前とはもっと楽しみたかったが、いよいよ城へ連れて行かねばならなくなった」
「罪人として、なのが心苦しいが」
「問題無いさ。何れ行く予定だったんだ」
「せめて、死なない事を祈ろう。さあ、お縄に着いてくれ」
両手をロープで縛られて、腰に通して結ばれる。俺は敵対しない相手には敵対しないのだ。背中を押され、階段を上がって外に出る。そして詰所の外へ出ると用意されていたコーラー車に乗せられた。窓はあるが、閉ざされていて外は見えない。
上座には二キャンバルの四が座り、隣には見知らぬ女。俺は二人の対面に一人で座る。二人は終始無言を貫くらしい。俺は寝る。
「…寝たのか」「……こんな状況でよくもまぁ」
起きてますよ。寝ようとしてたけど。
「これで詰め腹なんて言われたらどうしてくれるのだ。私は今初めて見たと言うのに」
「その責は、私が負う」
「はぁ、次の隊長は私か」
「ああ、後は任せた」
対面の二人が言葉を交わし、再び静かになる。あのトカゲ顔が傍に居ても気付かなかったのだ。責任の一端はあるのだろうが、そんな事で詰め腹は許せんな。今度こそ寝よう…zzz
ぐっすり眠っていたので時間は分からないが、どうやら城に着いたらしい。此処迄熟睡出来たのは、浮いてるせいもあるが客車に何か仕掛けがあるようだ。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します
burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。
その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。
病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
暗殺者から始まる異世界満喫生活
暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。
流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。
しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。
同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。
ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。
新たな生活は異世界を満喫したい。
【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる