女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
1,497 / 1,519

やっぱ止めた

しおりを挟む


「暫くだな。此処で通せん坊してるって訳か」

 寝袋に簡易コンロ、鍋釜なんかも用意して、十本槍の面子が定住してた。何時からか聞くと、ギルマスが殺された日の夜からで、皆丁度疲れが来ている頃合なのか、少し元気が無さそうに見えた。

「マナーに反するのは分かっちゃいるんだけどね。こうでもしないと止められないのさ」

 ヤーンはそう言うが半ば俺の為だよな。ギルマスが死んだ時に居合わせた女冒険者から話を聞いて駆け込んだと言うし。

「取り敢えず、チャッチャと殺って来ちゃうよ」

「そんな、カケル様っ。無駄な殺しは良くないよ?」

無駄な殺し、か。じゃあ必要分だけと断ってボス部屋を出る。

「オラァ!そこ退けえっ!」「邪魔だゴルルアーッ!」

 扉を開け放つと同時に突っ込んで来ようとする馬鹿共に、扉を潜る資格は無い。《結界》に顔をぶつけた数人は、酷い顔がより酷くなっていた。

「木の魔物を殺るって馬鹿は一人残らず殺して魔物の肥料にしてやる」

俺の言葉と同時に、《結界》に張り付いていた幾つかが崩れ落ちる。それにしても何だ此奴等。確かに討伐すれば魔石なりドロップなりが見込めるとは思うが、そこ迄殺意を向ける程のモノか?鎹打ち込んでも怒らない魔物だぞ?

「やっぱ止めた。肥料にする程のモノじゃ無いや」

向かいに立つ無能共は俺の話が理解出来無かったのか、棒立ちで呆けてる。《結界》の箱で囲って端に避けておこう。俺より強い奴に頼めば助けてもらえるだろうしな。

「戻ったぞー」

「「「カケル様っ」」」

「取り敢えず、暴言吐いて来た奴だけな。皆、一旦部屋に入って休め」

 集まって来た女達を引き連れてホテルオナホへ向かう。取るものも取らずで来てたので食料も心許無いようだ。

「お肉は無いけど野菜と粉はあるからな」

「食べられるだけで十分よ」「干からびると思ったー」

十本槍を浮かせてスイートルームへ向かおうとすると、ホテルオナホが騒めき立つ。木の葉が揺れて枝が震え、まるでフロア全体が地震でも起きているかのようだった。

「カケル様っ、下!木の根元の方っ」

「なんだか形が変わっちまってるみたい…」

流石に敵意を向けられて怒ったか?…と思ったがそうでも無さそうだ。何となく根元が膨らんだ?上がっていたのをキャンセルし、下へ降りて行くと、膨らんだ根元はぽっかりと口を開き、高級宿屋の入口みたいに変化していた。何処か見覚えあると思ったら、ホテルニュー王都っぽい感じ。

「入って、良いのかな?」

「カケル様…」

スールズの問いを聞いて、ヤーンは此方に伺いを立てる。

「俺が居るから何かされても出られるさ。歓迎してくれてるんだろうし、入らせてもらおう」

 中に入ると広々としたドーム状の空間。明かりが無くて薄暗いのを、木の幹に穴を開ける事で何とかしようと努力を見せている。これ、ロビーか?

『無理はするなよ?』

そう告げて、奥へと進む。ドームの端には入口が三つあり、中央の入口に入ると、此方はロビーより少し小さいドーム状。円卓と椅子が等間隔に並んでいた。

「何、此処…」「宿屋なら、食堂か酒場って感じよね」

「成程。食事を提供してくれるのか。後で利用させてもらおうか」

奥へは進まず少し戻って左右の入口も見る。酒場を見て右は上へ続いてる。左は下に向かってた。

「どっち行く?」「宿屋なら、上は部屋だよね」「なら下は?」「倉庫?」「倉庫に客は入れないでしょー」「「「なーー」」」

「風呂とか、かな?」

「カケル様、そんな宿屋見た事無いよ」「けど木の魔物だし、何考えてるか分かんないもんね」「案外当たってるかも知んないねぇ」

気になる方に向かうのが冒険者。十本槍の面々は、左の入口へ向かって行った。
ぐるーっと右回りの傾斜を下る。地下に入り暗くなったので光の棒を出してやる。そして着いたのは何となく四角い小部屋。此処にも入口が二つあり、此処もまた左の入口に入った。





しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀
ファンタジー
 ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。  しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。  そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。  対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

暗殺者から始まる異世界満喫生活

暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。 流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。 しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。 同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。 ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。 新たな生活は異世界を満喫したい。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...