【完結】「めでたし めでたし」から始まる物語

つくも茄子

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6.議会4

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 ソニア・キューレ。

 王都の裕福な商家の娘で、学園に入学した理由は貴族の繋がりを得るためだったのでしょう。この辺りはアリア王妃殿下の実家と似通っていますわね。もっとも、大貴族を顧客に持つ伯爵家とは違い、キューレ商会は専ら下位貴族をターゲットにして商売をしていますから商売敵にはならないでしょう。
 それに、ソニア嬢は元庶子。母君がキューレ商会会長の囲われ者だったようです。正妻が亡くなった事で後妻に収まったようですが、継子達とは折り合いが悪いと報告書に記載されていました。それもそうでしょう。自分達の母親が亡くなるや否や、まるでそれを待っていたかのように家に上がり込んできた愛人とその子供に好意を抱けと言う方がどうかしていますわ。

 ご両親、特に父親が娘に期待していたのは下位貴族の令嬢との繋がりでしょう。
 それか、下位貴族の令息と縁を持てば僥倖といったところではないでしょうか。ええ、少なくとも上位貴族との繋がりは考えてもいなかった筈です。商売の事もありますが、迂闊に上位貴族と縁を結べば大変な事になるのは目に見えていますもの。娘が上位貴族の令息に見初められ『愛人』になったとしても正妻によっては商会ごと潰される危険が孕んでいる以上は慎重にならざるを得ませんわ。

 それは兎も角、王太子殿下がソニア嬢と結婚を望むのであれば、殿下は市井に降りられることになります。平民が王族入りなど出来る筈がありません。ですが、王太子殿下が王籍を離脱し子が成せない処置を施した場合に限っては例外は認められるでしょう。勿論、殿下が『平民』の身分になることが絶対条件でしょうが……。果たして王太子殿下が全てを捨ててまでソニア嬢を選ぶとは考えにくいのです。そもそも王族がいきなり平民として暮らしていけるのか、と問われると「まず無理だ」と言う答えが返って来る筈ですわ。

 育った環境が違い過ぎますもの。

 私は益々混迷する議会を眺めながら思考の海に沈んで行くのでした。
 答えは既に導き出されていると言うのに、解らないふりをして延々と引き延ばそうと画策している大臣達を眺めながら。

 人とは愚かな生き物ですわね。

 彼らも火中の栗を拾う事を忌み嫌っているのでしょう。

 わかります。
 今の王家と縁組をしたところで旨味はありません。
 しかも三十年近く前に猛威を振るった感染症は今も貴族階級を苦しめています。

 三大公爵家に王太子殿下と近い年頃の令嬢が私以外にいない事もそのせいでしょう。

 王太子殿下とご縁を結んだ所で片親が新興貴族ですもの、その繋がりを快く思わない他の高位貴族は後を絶たないでしょうし、王妃としての器もないお方が正妃になられては国の行く末が不安になる事は想像に容易いですわ。

 
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