7 / 67
7.議会5
しおりを挟む「ラヌルフ公爵令嬢は如何お考えでしょうか?」
宰相が私に話を振ってきました。
きっとお父様達を説得して欲しいのでしょう。
そして私に「これからも王太子殿下を支えていきます」とでも言わせ、丸く収めたいのでしょう。無言の圧力を感じますわ。周囲の大臣達も同じ考えなのでしょうか?懇願せんばかりの視線を感じます。
甘いですわよ?宰相様。それに皆様方。
何故、私が耐えねばなりませんの?
私一人が生贄になれば物事が全て丸く収まるとでも?
御冗談を!
寝言は寝てから仰って下さいまし!
「レーモン王太子殿下の心が別の女性にあるのは既に皆様も御存知の筈ですわ。仮に私が正妃として殿下の元の嫁いだとしましょう。その場合、果たして私の子供は誕生するのでしょうか?」
誰かがゴクリと喉を鳴らしました。
緊張の漂う沈黙に重い空気を纏った重圧感ある雰囲気の中、宰相が漸く口を開きました。
「それは一体どのような意味で仰られているのでしょうかな?」
「言葉通りの意味ですわ。私が殿下に白い結婚を言い渡された場合、あるいは子を流された場合、私の血が王家に入らない可能性が現段階でとても高い、と申し上げているのです」
「「「「!!??」」」」
私の返答で周囲が大きくざわめきました。
宰相が信じられないモノを見ていますわ(確かに信じられないのは理解しますが)。そこまで驚くことでしょうか?
「静粛に!!」
宰相がざわめきを制したことで、程なく元の静寂が戻ってきました。流石、宰相を務めるだけのことはあります。他の大臣の中には恐ろしい未来を想像して遠い目をしていらっしゃる方もいましたわ。お気持ちは分かります。
「つまり、ラヌルフ公爵令嬢は王太子殿下が信用ならない人物だと仰るのですな?」
「現段階で私達から信用を得られない人物に成り下がったのは殿下の方ではありませんか。信用に足りない相手と婚姻をしたところで得るものは何もないかと……。それとも宰相は信用ならない国と同盟を結ぶことができるとお思いですか?」
「!?い、いやそれは……」
宰相が押し黙ります。
自国の王太子だと思うからいけないのです。
これが他国との関係なら全く違った意見になるでしょう。
まったく。想像力の欠如かしら?それともただ状況が見えていないだけかしら?殿下の気の迷いだと考えているとか?
若さ故の過ち。
それは王族には通用しない言い訳です。何故なら王族に生まれた時点で婚姻が政略的な面を持っているのは当然です。殿下の行いは、それを放棄したも同然。それは即ち、王族失格の烙印を国民に押されても致し方のないことですわ。
それに――
「そんなに愛しているなら結婚なさったらよろしいのに……」
ポツリと私の口から洩れた言葉。
ザワリ。
一斉に大臣達が私を凝視します。
あら? 私、今なにか言いましたかしら?
皆様の顔が更に青ざめていくんですけど……。変な事言いました?思っていた事が、つい口から漏れてしまったのかしら?あらいやだ。怖いですわね。
「殿下は『真実の愛に目覚めた』と学園で言い回っておいでと小耳に挟んでおります。私や公爵家を『愛し合う者達を引き裂く悪人』と罵っている事も存じておりますわ。私は次のラヌルフ公爵を産み落とす義務がございます。それ故に、正妃として私は二人以上の子供をもうけるように、と散々王妃殿下に言われてきましたわ。ですが、今のままでは私が子をなす事は不可能に近いのです。それともここにいらっしゃる方々はラヌルフ公爵家の直系血筋が途絶えても構わないとお考えなのでしょうか?それとも跡取りと目されています私以外、他所から養子を娶ればいいとでも思っていらっしゃるのでしょうか?」
我が公爵家が王太子との婚約に消極的だった一番の理由。
それが今の私の発言により露見してしまいました。まぁ、隠していませんから知っている方は知ってますけれど……。
584
あなたにおすすめの小説
あなたが捨てた花冠と后の愛
小鳥遊 れいら
恋愛
幼き頃から皇后になるために育てられた公爵令嬢のリリィは婚約者であるレオナルド皇太子と相思相愛であった。
順調に愛を育み合った2人は結婚したが、なかなか子宝に恵まれなかった。。。
そんなある日、隣国から王女であるルチア様が側妃として嫁いでくることを相談なしに伝えられる。
リリィは強引に話をしてくるレオナルドに嫌悪感を抱くようになる。追い打ちをかけるような出来事が起き、愛ではなく未来の皇后として国を守っていくことに自分の人生をかけることをしていく。
そのためにリリィが取った行動とは何なのか。
リリィの心が離れてしまったレオナルドはどうしていくのか。
2人の未来はいかに···
【完結】偽者扱いされた令嬢は、元婚約者たちがどうなろうと知ったことではない
風見ゆうみ
恋愛
クックルー伯爵家の長女ファリミナは、家族とはうまくいっていないものの、婚約者であり、若き侯爵のメイフとはうまくいっていると思っていた。
メイフとの結婚が近づいてきたある日、彼がファリミナの前に一人の女性を連れてきた。メイフに寄り添う可憐な女性は、こう名乗った。
「わたくし、クックルー伯爵家の長女、ファリミナと申します」
この女性は平民だが、メイフの命の恩人だった。メイフは自分との結婚を望む彼女のためにファリミナの身分を与えるという暴挙に出たのだ。
家族や友人たちは買収されており、本当のファリミナを偽者だと訴える。
メイフが用意したボロ家に追いやられたファリミナだったが、メイフの世話にはならず、平民のファリとして新しい生活を送ることに決める。
ファリとして新しい生活の基盤を整えた頃、元家族はファリミナがいたことにより、自分たちの生活が楽だったことを知る。そして、メイフは自分が馬鹿だったと後悔し始め、自分を愛しているはずのファリミナに会いに行くのだが――。
婚約破棄されなかった者たち
ましゅぺちーの
恋愛
とある学園にて、高位貴族の令息五人を虜にした一人の男爵令嬢がいた。
令息たちは全員が男爵令嬢に本気だったが、結局彼女が選んだのはその中で最も地位の高い第一王子だった。
第一王子は許嫁であった公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢と結婚。
公爵令嬢は嫌がらせの罪を追及され修道院送りとなった。
一方、選ばれなかった四人は当然それぞれの婚約者と結婚することとなった。
その中の一人、侯爵令嬢のシェリルは早々に夫であるアーノルドから「愛することは無い」と宣言されてしまい……。
ヒロインがハッピーエンドを迎えたその後の話。
恩知らずの婚約破棄とその顛末
みっちぇる。
恋愛
シェリスは婚約者であったジェスに婚約解消を告げられる。
それも、婚約披露宴の前日に。
さらに婚約披露宴はパートナーを変えてそのまま開催予定だという!
家族の支えもあり、婚約披露宴に招待客として参加するシェリスだが……
好奇にさらされる彼女を助けた人は。
前後編+おまけ、執筆済みです。
【続編開始しました】
執筆しながらの更新ですので、のんびりお待ちいただけると嬉しいです。
矛盾が出たら修正するので、その時はお知らせいたします。
【完結】高嶺の花がいなくなった日。
紺
恋愛
侯爵令嬢ルノア=ダリッジは誰もが認める高嶺の花。
清く、正しく、美しくーーそんな彼女がある日忽然と姿を消した。
婚約者である王太子、友人の子爵令嬢、教師や使用人たちは彼女の失踪を機に大きく人生が変わることとなった。
※ざまぁ展開多め、後半に恋愛要素あり。
王妃様は死にました~今さら後悔しても遅いです~
由良
恋愛
クリスティーナは四歳の頃、王子だったラファエルと婚約を結んだ。
両親が事故に遭い亡くなったあとも、国王が大病を患い隠居したときも、ラファエルはクリスティーナだけが自分の妻になるのだと言って、彼女を守ってきた。
そんなラファエルをクリスティーナは愛し、生涯を共にすると誓った。
王妃となったあとも、ただラファエルのためだけに生きていた。
――彼が愛する女性を連れてくるまでは。
裏切られた令嬢は死を選んだ。そして……
希猫 ゆうみ
恋愛
スチュアート伯爵家の令嬢レーラは裏切られた。
幼馴染に婚約者を奪われたのだ。
レーラの17才の誕生日に、二人はキスをして、そして言った。
「一度きりの人生だから、本当に愛せる人と結婚するよ」
「ごめんねレーラ。ロバートを愛してるの」
誕生日に婚約破棄されたレーラは絶望し、生きる事を諦めてしまう。
けれど死にきれず、再び目覚めた時、新しい人生が幕を開けた。
レーラに許しを請い、縋る裏切り者たち。
心を鎖し生きて行かざるを得ないレーラの前に、一人の求婚者が現れる。
強く気高く冷酷に。
裏切り者たちが落ちぶれていく様を眺めながら、レーラは愛と幸せを手に入れていく。
☆完結しました。ありがとうございました!☆
(ホットランキング8位ありがとうございます!(9/10、19:30現在))
(ホットランキング1位~9位~2位ありがとうございます!(9/6~9))
(ホットランキング1位!?ありがとうございます!!(9/5、13:20現在))
(ホットランキング9位ありがとうございます!(9/4、18:30現在))
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる