【完結】「めでたし めでたし」から始まる物語

つくも茄子

文字の大きさ
10 / 67

10.愛の劇場3

しおりを挟む
 真実の愛――

 王太子殿下とその恋人は皆に『祝福された認められた』と思っているようですが、それは違います。『祝福』ではなく『嘲笑』しているのです。果たしてその事に当事者の二人は何時気付くのでしょうか?


 ソニア嬢は、王太子殿下を愛しています。
 それは確かでしょう。

 ただ、華やかで愛らしい容貌の彼女は愛を求めすぎた。

 一つの愛では満足できなかった。
 他者に向けられた愛を欲してしまった。
 それがとても素晴らしいものだと思ってしまったから。
 思うのは悪くありません。
 ですが、それを奪うのは良くなかった。

 彼女は貪欲なほどに愛を求めた結果、様々な男性を渡り歩きその愛情を手中に収めてしまいました。
 時には卑怯な手段で手に入れたものもあったでしょう。ですがそんな方法で手に入れたものは本物だったのでしょうか? 

 愛とは本当に恐ろしいものですわ。
 時にそれは呪いのような力を持つのですから。

 王太子殿下はどれだけ説得されてもソニア嬢を手放す事はないでしょう。
 周囲の気遣いを無にするように――そして己自身も傷付く可能性を考えないようにして。
 平民の少女を妃に迎えた後の事を想像できない王太子殿下ではないでしょうに。それとも本当に理解していないのかもしれません。恋に目が眩んで――。
 本当に、恋とは人を愚かに変えてしまうものですわ。

 もしも……ええ、もしも、です。
 ソニア嬢が妃になり、子供が生まれたらとは考えないのでしょうか?
 皆が喜ぶと思っているのでしょうか?
 今でも蔑みに眼差して見られていますのに?

 その子は生まれた瞬間から『嘲笑と軽蔑の対象』として見られます。
 親のせいで何の罪のない子供が大勢に白い眼で見られるのです。
 それも想像した事がないのだとしたら……なんと愚かな事でしょう。
 そんな愚か者を誰が王にしたいと望むでしょうか。

 けれど、私は安堵しております。
 どれほど愚かであろうとも王太子殿下は元婚約者。幼い頃は仲良く遊んだ間柄。全く知らない仲ではありませんもの。愛情はなくとも情はあります。
 私と結婚し、国王になったとしても彼は長くはなかったでしょう。
 王家が欲したのは私の血。
 私の血を受け継ぐ次代。

 知ってましたか?
 私が貴男の子供を産めば、貴男はその時点でお払い箱だったのですよ?
 予定では結婚後、五年以内に急な病で倒れ、数年後に儚くなる事になっていました。子供は二~三人いれば十分。数年間を病魔と闘い、命が尽きるという筋書きでした。

 夫亡き後、私は未亡人として次に王になる幼い子供達を育てる。そうして我が公爵家は幼い王太子を支える。

 私も若くして未亡人にならずにすんで良かったですわ。

 ですから殿下、私は応援していますよ。
 お二人がどこまで愛し支え合う事ができるのか。

 外野からゆっくり見物させていただくことと致しましょう。
 ふふふ……私、こう見えて劇も好きでよく鑑賞しているんです。
 ああ、楽しみです。



しおりを挟む
感想 59

あなたにおすすめの小説

あなたが捨てた花冠と后の愛

小鳥遊 れいら
恋愛
幼き頃から皇后になるために育てられた公爵令嬢のリリィは婚約者であるレオナルド皇太子と相思相愛であった。 順調に愛を育み合った2人は結婚したが、なかなか子宝に恵まれなかった。。。 そんなある日、隣国から王女であるルチア様が側妃として嫁いでくることを相談なしに伝えられる。 リリィは強引に話をしてくるレオナルドに嫌悪感を抱くようになる。追い打ちをかけるような出来事が起き、愛ではなく未来の皇后として国を守っていくことに自分の人生をかけることをしていく。 そのためにリリィが取った行動とは何なのか。 リリィの心が離れてしまったレオナルドはどうしていくのか。 2人の未来はいかに···

【完結】偽者扱いされた令嬢は、元婚約者たちがどうなろうと知ったことではない

風見ゆうみ
恋愛
クックルー伯爵家の長女ファリミナは、家族とはうまくいっていないものの、婚約者であり、若き侯爵のメイフとはうまくいっていると思っていた。 メイフとの結婚が近づいてきたある日、彼がファリミナの前に一人の女性を連れてきた。メイフに寄り添う可憐な女性は、こう名乗った。 「わたくし、クックルー伯爵家の長女、ファリミナと申します」 この女性は平民だが、メイフの命の恩人だった。メイフは自分との結婚を望む彼女のためにファリミナの身分を与えるという暴挙に出たのだ。 家族や友人たちは買収されており、本当のファリミナを偽者だと訴える。 メイフが用意したボロ家に追いやられたファリミナだったが、メイフの世話にはならず、平民のファリとして新しい生活を送ることに決める。 ファリとして新しい生活の基盤を整えた頃、元家族はファリミナがいたことにより、自分たちの生活が楽だったことを知る。そして、メイフは自分が馬鹿だったと後悔し始め、自分を愛しているはずのファリミナに会いに行くのだが――。

なぜ、虐げてはいけないのですか?

碧井 汐桜香
恋愛
男爵令嬢を虐げた罪で、婚約者である第一王子に投獄された公爵令嬢。 処刑前日の彼女の獄中記。 そして、それぞれ関係者目線のお話

【完結】高嶺の花がいなくなった日。

恋愛
侯爵令嬢ルノア=ダリッジは誰もが認める高嶺の花。 清く、正しく、美しくーーそんな彼女がある日忽然と姿を消した。 婚約者である王太子、友人の子爵令嬢、教師や使用人たちは彼女の失踪を機に大きく人生が変わることとなった。 ※ざまぁ展開多め、後半に恋愛要素あり。

恩知らずの婚約破棄とその顛末

みっちぇる。
恋愛
シェリスは婚約者であったジェスに婚約解消を告げられる。 それも、婚約披露宴の前日に。 さらに婚約披露宴はパートナーを変えてそのまま開催予定だという! 家族の支えもあり、婚約披露宴に招待客として参加するシェリスだが…… 好奇にさらされる彼女を助けた人は。 前後編+おまけ、執筆済みです。 【続編開始しました】 執筆しながらの更新ですので、のんびりお待ちいただけると嬉しいです。 矛盾が出たら修正するので、その時はお知らせいたします。

王妃様は死にました~今さら後悔しても遅いです~

由良
恋愛
クリスティーナは四歳の頃、王子だったラファエルと婚約を結んだ。 両親が事故に遭い亡くなったあとも、国王が大病を患い隠居したときも、ラファエルはクリスティーナだけが自分の妻になるのだと言って、彼女を守ってきた。 そんなラファエルをクリスティーナは愛し、生涯を共にすると誓った。 王妃となったあとも、ただラファエルのためだけに生きていた。 ――彼が愛する女性を連れてくるまでは。

裏切られた令嬢は死を選んだ。そして……

希猫 ゆうみ
恋愛
スチュアート伯爵家の令嬢レーラは裏切られた。 幼馴染に婚約者を奪われたのだ。 レーラの17才の誕生日に、二人はキスをして、そして言った。 「一度きりの人生だから、本当に愛せる人と結婚するよ」 「ごめんねレーラ。ロバートを愛してるの」 誕生日に婚約破棄されたレーラは絶望し、生きる事を諦めてしまう。 けれど死にきれず、再び目覚めた時、新しい人生が幕を開けた。 レーラに許しを請い、縋る裏切り者たち。 心を鎖し生きて行かざるを得ないレーラの前に、一人の求婚者が現れる。 強く気高く冷酷に。 裏切り者たちが落ちぶれていく様を眺めながら、レーラは愛と幸せを手に入れていく。 ☆完結しました。ありがとうございました!☆ (ホットランキング8位ありがとうございます!(9/10、19:30現在)) (ホットランキング1位~9位~2位ありがとうございます!(9/6~9)) (ホットランキング1位!?ありがとうございます!!(9/5、13:20現在)) (ホットランキング9位ありがとうございます!(9/4、18:30現在))

婚約破棄の前日に

豆狸
恋愛
──お帰りください、側近の操り人形殿下。 私はもう、お人形遊びは卒業したのです。

処理中です...