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27.影響5
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意外過ぎる人物が屋敷に来られました。
漆黒の服装はどこか軍服めいて、威厳ある雰囲気をその風体に漂わせております。
ギレム公爵の輝くような金髪に黒服は映えますわね、と現実逃避のような感想を抱いていました。
「急な訪問で申し訳ない」
「いいえ、こちらこそ当主夫妻が留守にしておりますので、代理の私で申し訳ありませんわ」
応接室へとお通しする前に準備だけはしておりましたので、座るように勧めながらお茶を出すタイミングを見計らいました。なにしろ先触れもない訪問。何かあると考えるのが普通です。既にお父様達に報告する馬車は出発させていますが、きっと帰ってくることは困難でしょう。それでも連絡しない訳には参りません。
それよりに気になるのが公爵の後ろに控えている人物です。
ギレム公爵と共に訪問された白い軍服姿の男性。胸に付けられている勲章は最高位の物で、どう考えても軍の上層部だと思われます。何故そのような人物が、ギレム公爵と共に我が家に来るのですか!ギレム公爵は一体何をしようとしてるんですか!?
私はお茶の準備が整うのを待ちながら、訪問客たちの観察を続けました。
「本日はどのようなご用事でしょう」
私が尋ねるとギレム公爵はチラリと自分の後ろの男性に目を向けます。何でしょう?不思議に思いつつも公爵の返答を待っていますと、「貴女が私の問いに『YES』と答えて頂ければ問題はありません」と言い放たれました。
え?どういうことですか、それは!
「アリエノール・ラヌルフ公爵令嬢、私は貴女に結婚を申し込みに来ました」
思わず、「はぁ!?」という心の声が漏れてしまいます。突然の訪問の上に訳の分からない言葉まで付いてきたものですから、少々行儀が悪くなったかもしれませんね。だって誰だってそう言いたくなるでしょう!?私はおかしくないですよね!公爵に結婚を申込むと言われて「はて?」と首を傾げなければならない状況に陥っている令嬢は私以外にいないでしょう。そもそも急すぎます!
唖然としている中で、準備が出来たのでしょう。侍女が紅茶をテーブルに並べていきます。
「アリエノール嬢、私は本気です」
固まったまま動けない私に畳み掛けるように、ギレム公爵がとろけるような笑みを見せました。思わず心臓が鳴るほど美しく綺麗なものでしたが、ゾワゾワと背中を走るこの言い様のない悪寒は何なのでしょう。
「……一つお尋ねしたいことがございます」
「何でしょう?」
「何故、私に求婚をされるのですか?」
ギレム公爵が私と結婚したい理由は分かりません。この方は一体何を考えているのか。
「急であることはお詫びします。ですが私は貴女と添い遂げるためなら、どのような手段であろうとも取ることを厭わないと宣言しておきます」
……ちょっと意味が分かりません!
この方は何を言い出していらっしゃるのでしょうか。
「何故ですか?私と結婚などと……急に何故……」
「急ではありませんよ。以前から求婚しようと決めていました」
「……」
「アリエノール嬢は王太子との婚約を白紙にしたばかり。何かと周囲が騒がしいようですから、ほとぼりが冷めるまでと静観していたに過ぎません」
「…………」
「ですが、アリエノール嬢が国内外で結婚相手を探していると耳にして、待つのを止めました」
話の展開が早過ぎて全くついていけません!どういうことなのよ!?って叫びそうになるのを寸前で耐えます。相手はギレム公爵です。公爵家の現当主と公爵家の次期当主では立場が違い過ぎます。普通の貴族相手ならば「お引き取りください」と言っても構わないでしょうが……。
この方の考えが全く読めません。
漆黒の服装はどこか軍服めいて、威厳ある雰囲気をその風体に漂わせております。
ギレム公爵の輝くような金髪に黒服は映えますわね、と現実逃避のような感想を抱いていました。
「急な訪問で申し訳ない」
「いいえ、こちらこそ当主夫妻が留守にしておりますので、代理の私で申し訳ありませんわ」
応接室へとお通しする前に準備だけはしておりましたので、座るように勧めながらお茶を出すタイミングを見計らいました。なにしろ先触れもない訪問。何かあると考えるのが普通です。既にお父様達に報告する馬車は出発させていますが、きっと帰ってくることは困難でしょう。それでも連絡しない訳には参りません。
それよりに気になるのが公爵の後ろに控えている人物です。
ギレム公爵と共に訪問された白い軍服姿の男性。胸に付けられている勲章は最高位の物で、どう考えても軍の上層部だと思われます。何故そのような人物が、ギレム公爵と共に我が家に来るのですか!ギレム公爵は一体何をしようとしてるんですか!?
私はお茶の準備が整うのを待ちながら、訪問客たちの観察を続けました。
「本日はどのようなご用事でしょう」
私が尋ねるとギレム公爵はチラリと自分の後ろの男性に目を向けます。何でしょう?不思議に思いつつも公爵の返答を待っていますと、「貴女が私の問いに『YES』と答えて頂ければ問題はありません」と言い放たれました。
え?どういうことですか、それは!
「アリエノール・ラヌルフ公爵令嬢、私は貴女に結婚を申し込みに来ました」
思わず、「はぁ!?」という心の声が漏れてしまいます。突然の訪問の上に訳の分からない言葉まで付いてきたものですから、少々行儀が悪くなったかもしれませんね。だって誰だってそう言いたくなるでしょう!?私はおかしくないですよね!公爵に結婚を申込むと言われて「はて?」と首を傾げなければならない状況に陥っている令嬢は私以外にいないでしょう。そもそも急すぎます!
唖然としている中で、準備が出来たのでしょう。侍女が紅茶をテーブルに並べていきます。
「アリエノール嬢、私は本気です」
固まったまま動けない私に畳み掛けるように、ギレム公爵がとろけるような笑みを見せました。思わず心臓が鳴るほど美しく綺麗なものでしたが、ゾワゾワと背中を走るこの言い様のない悪寒は何なのでしょう。
「……一つお尋ねしたいことがございます」
「何でしょう?」
「何故、私に求婚をされるのですか?」
ギレム公爵が私と結婚したい理由は分かりません。この方は一体何を考えているのか。
「急であることはお詫びします。ですが私は貴女と添い遂げるためなら、どのような手段であろうとも取ることを厭わないと宣言しておきます」
……ちょっと意味が分かりません!
この方は何を言い出していらっしゃるのでしょうか。
「何故ですか?私と結婚などと……急に何故……」
「急ではありませんよ。以前から求婚しようと決めていました」
「……」
「アリエノール嬢は王太子との婚約を白紙にしたばかり。何かと周囲が騒がしいようですから、ほとぼりが冷めるまでと静観していたに過ぎません」
「…………」
「ですが、アリエノール嬢が国内外で結婚相手を探していると耳にして、待つのを止めました」
話の展開が早過ぎて全くついていけません!どういうことなのよ!?って叫びそうになるのを寸前で耐えます。相手はギレム公爵です。公爵家の現当主と公爵家の次期当主では立場が違い過ぎます。普通の貴族相手ならば「お引き取りください」と言っても構わないでしょうが……。
この方の考えが全く読めません。
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