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第7話 俺は皇太子1
しおりを挟む俺は大陸でも一、二を争う大国の皇太子として生まれた。
ガリア帝国は魔道具の扱いに長けており、常に新しい物を生み出している国だ。十数年前に起きた皇位継承争いで皇族が大分減ったようだが、世界一の魔力量を有していると言っても過言でない俺が帝国に存在している以上は帝国を覆っている結界が壊れることはない。まぁ、今、結界を張っているのは父親の皇帝だから余り偉そうなことは言えないがな。
皇太子の名に恥じないように、日々精進しているのが現状だ。
俺の家族はちょっと複雑だ。
両親に兄二人と姉一人。
それが俺側の家族構成。
兄は両方とも母親違いで歳も離れている。
姉とは父親違いでこちらも歳が離れている。
そう、俺には異母兄と異父姉がいるんだ。
しかも、異父姉であるセレーネ姉上は「叔母」でもあったりする。
俺の父親である皇帝クロヴィスとは「異母兄妹」の間柄。
なんでこんなに、ややこしい事になっているかというと原因は「母親」だ。
俺の母親である皇后カサンドラは元々先代皇帝の側妃だった。
先代皇帝は俺の祖父だ。
この祖父がまた女好きで、後宮にはありとあらゆる階級の女達が入り乱れていたそうだ。それこそ王族や貴族にとどまらず、平民出身から果ては、奴隷までと実に幅広い階級の女達が寵を競いあっていた。母親も祖父皇帝に見初められて後宮入りしている。そして皇女であるセレーネ姉上を産んだという訳だ。
後宮に女が多いという事は=子沢山。
祖父皇帝は子宝に恵まれていた。
ただ、その祖父皇帝がある日突然ぽっくりと亡くなったものだから、さあ!大変! 血で血を争う皇位継承争いが勃発した。当時、一応皇太子はいた事はあったが、皇位を狙う連中は「そんなもの関係ねぇ」とばかりに暗殺。暗殺された皇太子の母方の一族が激怒して更に血みどろの戦いは終わらなかったらしい。皇子は俺の父親を除けば全滅。末の皇子だった父親は暗殺された皇太子の同腹の弟。つまり、皇后の嫡出だ。こうして、唯一生き残った父親が皇位を継いだ。
そして、権謀術数の末に俺の母親が皇后になった。
父には当時、ちゃんと正妃がいた。
家柄と血筋のいい奥さんが。
その正妃をどうやったのか離縁させて修道院に追いやったらしい。正妃の一族とも何らかの取引をしたのだろう。さっぱりと表舞台に出てこない。我が母親ながら天晴れだ。
母親が皇后になったからといって俺の地位が盤石かといえば決してそうじゃない。足を引っ張る輩は多い。俺を殺そうと狙う連中も多い。俺が死ねば皇太子の位は空席になる。自分達の都合のいい皇子を次世代の皇帝にしたいと狙う人間の多い事といったら……よく人間不信にならなかったな、と自分でも不思議だ。連中の表向きの言い分は「卑しい血筋の皇子を正当な嫡子とは認めない」と言ったものだった。
特に高位貴族が「そう」だった。
というのも、皇后になった母親の実家は帝国でも有数の資産家だったが貴族ではなかった。平民だ。ただ、皇后の母親は貴族出身だった。早い話が、没落貴族の令嬢が金持ちの平民に嫁いで産まれたのが俺の母親という事だ。まぁ、この手の話はよくある。逆に男が金持ち娘に入り婿するケースもある位だからな。
なら、貴族達が何を気にしているのかというと皇后の血の半分が「庶民の血」だという一点だった。
通常、魔力は皇族又は王族と貴族しか持たない。平民階級の人間は一切魔力を有していないのだ。そのため、貴族達の多くは選民思想の塊と言ってもいい。奴らにとったら「平民の血の入った皇后の産んだ皇子に魔力があるか疑わしい」と言った処だった。
バカじゃねーか!?
ガリア皇族の魔力量の高さと多さは世界的にも知られている。例え、平民の母親を持ったとしても必ずと言っていい程に魔力持ちは生まれるんだ。そもそも、魔力の高さを表す「赤い目」。これはガリア皇族の象徴だ。そして、俺とセレーネ姉上は「赤い目」を持って生まれてきた。
しかもだ、俺の魔力量は誕生した当初から凄まじかったらしい。通常の魔力暴走とは違っていた。それを真の当たりにしながらも認めない貴族連中はクソだ。
そんな節穴共が俺を皇太子と渋々ながらも認めたのは五歳の春だった。
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