【完結】皇太子殿下!あなたの思い描く「理想の女性」はこの世にはいません!

つくも茄子

文字の大きさ
7 / 20

第7話 俺は皇太子1

しおりを挟む

 俺は大陸でも一、二を争う大国ガリア帝国の皇太子として生まれた。

 ガリア帝国は魔道具の扱いに長けており、常に新しい物を生み出している国だ。十数年前に起きた皇位継承争いで皇族が大分減ったようだが、世界一の魔力量を有していると言っても過言でない俺が帝国に存在している以上は帝国を覆っている結界が壊れることはない。まぁ、今、結界を張っているのは父親の皇帝だから余り偉そうなことは言えないがな。

 皇太子の名に恥じないように、日々精進しているのが現状だ。

 俺の家族はちょっと複雑だ。
 
 両親に兄二人と姉一人。

 それがの家族構成。

 兄は両方とも母親違いで歳も離れている。
 姉とは父親違いでこちらも歳が離れている。

 そう、俺には異母兄と異父姉がいるんだ。

 しかも、異父姉であるセレーネ姉上は「叔母」でもあったりする。
 俺の父親である皇帝クロヴィスとは「異母兄妹」の間柄。

 なんでこんなに、ややこしい事になっているかというと原因は「母親」だ。

 俺の母親である皇后カサンドラは元々先代皇帝の側妃だった。
 先代皇帝は俺の祖父だ。
 この祖父がまた女好きで、後宮にはありとあらゆる階級の女達が入り乱れていたそうだ。それこそ王族や貴族にとどまらず、平民出身から果ては、奴隷までと実に幅広い階級の女達が寵を競いあっていた。母親も祖父皇帝に見初められて後宮入りしている。そして皇女であるセレーネ姉上を産んだという訳だ。

 後宮に女が多いという事は=子沢山。

 祖父皇帝は子宝に恵まれていた。

 ただ、その祖父皇帝がある日突然ぽっくりと亡くなったものだから、さあ!大変! 血で血を争う皇位継承争いが勃発した。当時、一応皇太子はいた事はあったが、皇位を狙う連中は「そんなもの関係ねぇ」とばかりに暗殺。暗殺された皇太子の母方の一族が激怒して更に血みどろの戦いは終わらなかったらしい。皇子は俺の父親を除けば全滅。末の皇子だった父親は暗殺された皇太子の同腹の弟。つまり、皇后の嫡出だ。こうして、唯一生き残った父親が皇位を継いだ。

 そして、権謀術数の末に俺の母親が皇后になった。

 父には当時、ちゃんと正妃がいた。
 家柄と血筋のいい奥さんが。
 その正妃をどうやったのか離縁させて修道院に追いやったらしい。正妃の一族とも何らかの取引をしたのだろう。さっぱりと表舞台に出てこない。我が母親ながら天晴れだ。

 母親が皇后になったからといって俺の地位が盤石かといえば決してそうじゃない。足を引っ張る輩は多い。俺を殺そうと狙う連中も多い。俺が死ねば皇太子の位は空席になる。自分達の都合のいい皇子を次世代の皇帝にしたいと狙う人間の多い事といったら……よく人間不信にならなかったな、と自分でも不思議だ。連中の表向きの言い分は「卑しい血筋の皇子を正当な嫡子とは認めない」と言ったものだった。
 
 特に高位貴族が「そう」だった。

 というのも、皇后になった母親の実家は帝国でも有数の資産家だったが貴族ではなかった。平民だ。ただ、皇后の母親は貴族出身だった。早い話が、没落貴族の令嬢が金持ちの平民に嫁いで産まれたのが俺の母親という事だ。まぁ、この手の話はよくある。逆に男が金持ち娘に入り婿するケースもある位だからな。

 なら、貴族達が何を気にしているのかというと皇后の血の半分が「庶民の血」だという一点だった。

 通常、魔力は皇族又は王族と貴族しか持たない。平民階級の人間は一切魔力を有していないのだ。そのため、貴族達の多くは選民思想の塊と言ってもいい。奴らにとったら「平民の血の入った皇后の産んだ皇子に魔力があるか疑わしい」と言った処だった。

 バカじゃねーか!?

 ガリア皇族の魔力量の高さと多さは世界的にも知られている。例え、平民の母親を持ったとしても必ずと言っていい程に魔力持ちは生まれるんだ。そもそも、魔力の高さを表す「赤い目」。これはガリア皇族の象徴だ。そして、俺とセレーネ姉上は「赤い目」を持って生まれてきた。
 しかもだ、俺の魔力量は誕生した当初から凄まじかったらしい。通常の魔力暴走とは違っていた。それを真の当たりにしながらも認めない貴族連中はクソだ。

 そんな節穴共が俺を皇太子と渋々ながらも認めたのは五歳の春だった。

 
 
 



しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

冷遇妃マリアベルの監視報告書

Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。 第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。 そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。 王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。 (小説家になろう様にも投稿しています)

王家も我が家を馬鹿にしてますわよね

章槻雅希
ファンタジー
 よくある婚約者が護衛対象の王女を優先して婚約破棄になるパターンのお話。あの手の話を読んで、『なんで王家は王女の醜聞になりかねない噂を放置してるんだろう』『てか、これ、王家が婚約者の家蔑ろにしてるよね?』と思った結果できた話。ひそかなサブタイは『うちも王家を馬鹿にしてますけど』かもしれません。 『小説家になろう』『アルファポリス』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

元平民の義妹は私の婚約者を狙っている

カレイ
恋愛
 伯爵令嬢エミーヌは父親の再婚によって義母とその娘、つまり義妹であるヴィヴィと暮らすこととなった。  最初のうちは仲良く暮らしていたはずなのに、気づけばエミーヌの居場所はなくなっていた。その理由は単純。 「エミーヌお嬢様は平民がお嫌い」だから。  そんな噂が広まったのは、おそらく義母が陰で「あの子が私を母親だと認めてくれないの!やっぱり平民の私じゃ……」とか、義妹が「時々エミーヌに睨まれてる気がするの。私は仲良くしたいのに……」とか言っているからだろう。  そして学園に入学すると義妹はエミーヌの婚約者ロバートへと近づいていくのだった……。

政略結婚だからと諦めていましたが、離縁を決めさせていただきました

あおくん
恋愛
父が決めた結婚。 顔を会わせたこともない相手との結婚を言い渡された私は、反論することもせず政略結婚を受け入れた。 これから私の家となるディオダ侯爵で働く使用人たちとの関係も良好で、旦那様となる義両親ともいい関係を築けた私は今後上手くいくことを悟った。 だが婚姻後、初めての初夜で旦那様から言い渡されたのは「白い結婚」だった。 政略結婚だから最悪愛を求めることは考えてはいなかったけれど、旦那様がそのつもりなら私にも考えがあります。 どうか最後まで、その強気な態度を変えることがないことを、祈っておりますわ。 ※いつものゆるふわ設定です。拙い文章がちりばめられています。 最後はハッピーエンドで終えます。

悪女と呼ばれた令嬢は、親友の幸せのために婚約者を捨てた

由香
恋愛
婚約者である王太子を、親友のために手放した令嬢リュシエンヌ。 彼女はすべての非難を一身に受け、「悪女」と呼ばれる道を選ぶ。 真実を語らぬまま、親友である騎士カイルとも距離を置き、 ただ一人、守るべきものを守り抜いた。 それは、愛する人の未来のための選択。 誤解と孤独の果てで、彼女が手にした本当の結末とは――。 悪女と呼ばれた令嬢が、自ら選び取る静かな幸福の物語。

【完結】陛下、花園のために私と離縁なさるのですね?

ファンタジー
ルスダン王国の王、ギルバートは今日も執務を妻である王妃に押し付け後宮へと足繁く通う。ご自慢の後宮には3人の側室がいてギルバートは美しくて愛らしい彼女たちにのめり込んでいった。 世継ぎとなる子供たちも生まれ、あとは彼女たちと後宮でのんびり過ごそう。だがある日うるさい妻は後宮を取り壊すと言い出した。ならばいっそ、お前がいなくなれば……。 ざまぁ必須、微ファンタジーです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処理中です...