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第20話 俺は完璧だ
しおりを挟む「ハハハハハ!どうだ、完璧だろう!!」
女狂いが多い皇族中で類をみない誠実さだ。いや~~、我ながら惚れ惚れするぜ! こんなに国の将来を考える皇太子は世界中探しても俺だけだろう。現にレイモンドなんか言葉に表せないほど感動している。分かるぞ、男としても最高に良いからな。たった一人を愛する誠実さ。後世でも良き夫、良き父、良き皇帝として名が残る事は間違いない!
「……殿下」
「殿下はよせ。他に聞こたら不味いだろう」
「……アレス様」
「“様”もよせ。俺達は同郷の冒険者仲間だぞ? 対等の物に“様”付けなんかしないぜ?」
「……アレス」
「何だ? レイ」
叔父上が名付けてくれた名前は中々だ。覚えやすいし、何より言いやすい。
「アレスの考える『理想の女性』が見つからなかった場合、どうなさるおつもりですか?」
「何言ってんだ? 見つかるに決まってんだろ?」
「……」
レイモンドもおかしな事をいう。
「俺がいるんだぞ。この顔良し、頭良し、武術と剣術の達人で音楽や芸術の造形も深い。しかも魔力は世界一だ。全てにおいて完璧な男が実在しているんだ。完璧な女がいない筈がない」
「……凄い自信ですね」
「? 本当の事だろ?」
「そうですね……才能だけを見るのなら……そうでしょうね……釈然としませんが……」
「見た目も中身も完璧の俺がいるんだ。安心しろ。俺の理想は必ずいる!」
メリメリッ……ドサッ!!
ん?
なんだ?
音のする方に振り替るとそこには一本の大木が倒れていた。
「何で木が急に倒れるんだ?」
おかしな事もあるもんだ。
なんか心なしか曇ってきたような気もする。
今晩辺りは雨だろうな。
「どうしたんだ? いきなりしゃがみ込んで? 腹でも痛いのか?」
「……いえ。お気遣いなく」
レイモンドはふらふらと立ち上がるが、どうも顔色が悪い。天気も悪くなってきたし、近くの宿に泊まった方が無難だな。花嫁探しは明日にすればいい。暢気に構えていた俺だったが次の日から数日間嵐で外出できなかった。更に台風直撃のニュースで一週間缶詰状態の未来が待っていた。その間、レイモンドが「天が……」とか「苦悩が……」とか訳の分からない事をブツブツと言っていた。真面目な奴だからな。出発時点で天候が悪化したのを気にしたのかもしれない。
「全く! 本当に心配性だな」
俺はそんなレイモンドを見て苦笑するしかなかった。
たかが天候一つでここまで一喜一憂するのも珍しい。先行きが悪いと思っているのかもしれないが、要は気持ちの持ちようだ。
ゴロゴロ……バーン!
近くに雷が落ちた音がした。
うん、この光と音のコンビネーションは最高だ!!
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