13 / 21
13.初恋
しおりを挟む
実は、結婚してから伯爵夫人として最低限の事しかしていない。
もっともそれ込みの結婚条件だった。なので、私が王宮に行ったきりであっても旦那様は何も言えない。
まぁ、ブリトニー伯爵家は古参の使用人が多かった事を考えると仕方がない。
恐らく、旦那様の婚姻が中々決まらなかった背景には彼の浮気癖だけが原因ではないと思う。伯爵家の使用人は代々に渡って仕えている家が多く、余所者を簡単には受け入れないと言うのもあるかもしれない。それは彼らの雰囲気から感じ取れた。それと同時に主人であるオエル・ブリトニー伯爵に対する高い忠誠心が見て取れた。
使用人達の質の高さは目を見張るものがあり、その事もあって伯爵家は守られてきたと言っても過言ではないだろう。あの家の「お坊ちゃま大事」は相当のものだろう。もしかするとそのせいで花嫁が来なかったのではないかと思う程だった。特に古参の使用人達の「自分達のお坊ちゃまは国一番」の態度は凄い。
先の伯爵夫妻が早くに亡くなったせいかもしれない。
兎に角、「坊ちゃま愛」に溢れていた。
あれだけの家で、如何に嫡男だからといえ、すんなりと伯爵家を継げたのは使用人達の活躍があったのではないかと密かに思っている。
なにしろ、大なり小なりの揉め事は定番だから。
私達の結婚に伯爵家の親族の横やりが全く無かった事もそれらが関係しているのではないかと考えてしまう。一度、彼らのそこのところを詳しく聞きたい。今はまだ無理だけど……。
ま、なにが言いたいのかというと現実は物語のように上手くはいかないと言う事だ。当たり前だけど……。
王妃様は私の結婚事情をよく知っている。
心配してくださっているのだろう。王妃様の優しい心遣いを無下にはできない。
『仮面夫婦のままでいるのなら貴女も彼のように恋人を持てばいいわ』
王妃様はそう助言をくれる。
先の事は分からないけれど今の現状、私が仮面夫婦をしているのは、ある意味仕方がない事だとも思う。
しかし王妃様が言うように、恋人がいれば何か変わってくるのではないかと思うのも確かだった。
それでも、もう少しだけ新婚の気分を味わっていたい、新婚というにはあまりにもドライな関係だった。でも、私にとっては初恋の相手との婚姻。喜ばないわけがなかった。旦那様は私に興味がないとしても、私にとっては夢のような事なのだから。例えそれが偽りの関係で、愛されていなくても、彼のそばにいられるだけで幸せだった。
初めて旦那様と会ったのは社交界デビューの夜だった。その時の事を私は鮮明に思い出すと幸せな気分になれる。
彼とのワルツは夢のような時間だったし、彼は本当に優しくて甘い微笑みを向けてくれた。
そして何よりダンスがすごく上手い!!
彼にとっては大勢いる女性達の中の一人。
あの夜も彼は沢山の女性達と踊っていた。
友人の妹だから気を使ってくれたのか、それとも彼が元々女性には優しいのかは分からなかったが。私はあの夜が忘れられないくらい衝撃的な出来事で、あの日を一生忘れることはできないだろうと思う。
そしてこの初恋の思い出があれば生きていける、そう思えるほどの出会いだったのだから。
どんな理由であっても愛する人と結婚できた私は間違いなく『幸運な女』だろう。
もっともそれ込みの結婚条件だった。なので、私が王宮に行ったきりであっても旦那様は何も言えない。
まぁ、ブリトニー伯爵家は古参の使用人が多かった事を考えると仕方がない。
恐らく、旦那様の婚姻が中々決まらなかった背景には彼の浮気癖だけが原因ではないと思う。伯爵家の使用人は代々に渡って仕えている家が多く、余所者を簡単には受け入れないと言うのもあるかもしれない。それは彼らの雰囲気から感じ取れた。それと同時に主人であるオエル・ブリトニー伯爵に対する高い忠誠心が見て取れた。
使用人達の質の高さは目を見張るものがあり、その事もあって伯爵家は守られてきたと言っても過言ではないだろう。あの家の「お坊ちゃま大事」は相当のものだろう。もしかするとそのせいで花嫁が来なかったのではないかと思う程だった。特に古参の使用人達の「自分達のお坊ちゃまは国一番」の態度は凄い。
先の伯爵夫妻が早くに亡くなったせいかもしれない。
兎に角、「坊ちゃま愛」に溢れていた。
あれだけの家で、如何に嫡男だからといえ、すんなりと伯爵家を継げたのは使用人達の活躍があったのではないかと密かに思っている。
なにしろ、大なり小なりの揉め事は定番だから。
私達の結婚に伯爵家の親族の横やりが全く無かった事もそれらが関係しているのではないかと考えてしまう。一度、彼らのそこのところを詳しく聞きたい。今はまだ無理だけど……。
ま、なにが言いたいのかというと現実は物語のように上手くはいかないと言う事だ。当たり前だけど……。
王妃様は私の結婚事情をよく知っている。
心配してくださっているのだろう。王妃様の優しい心遣いを無下にはできない。
『仮面夫婦のままでいるのなら貴女も彼のように恋人を持てばいいわ』
王妃様はそう助言をくれる。
先の事は分からないけれど今の現状、私が仮面夫婦をしているのは、ある意味仕方がない事だとも思う。
しかし王妃様が言うように、恋人がいれば何か変わってくるのではないかと思うのも確かだった。
それでも、もう少しだけ新婚の気分を味わっていたい、新婚というにはあまりにもドライな関係だった。でも、私にとっては初恋の相手との婚姻。喜ばないわけがなかった。旦那様は私に興味がないとしても、私にとっては夢のような事なのだから。例えそれが偽りの関係で、愛されていなくても、彼のそばにいられるだけで幸せだった。
初めて旦那様と会ったのは社交界デビューの夜だった。その時の事を私は鮮明に思い出すと幸せな気分になれる。
彼とのワルツは夢のような時間だったし、彼は本当に優しくて甘い微笑みを向けてくれた。
そして何よりダンスがすごく上手い!!
彼にとっては大勢いる女性達の中の一人。
あの夜も彼は沢山の女性達と踊っていた。
友人の妹だから気を使ってくれたのか、それとも彼が元々女性には優しいのかは分からなかったが。私はあの夜が忘れられないくらい衝撃的な出来事で、あの日を一生忘れることはできないだろうと思う。
そしてこの初恋の思い出があれば生きていける、そう思えるほどの出会いだったのだから。
どんな理由であっても愛する人と結婚できた私は間違いなく『幸運な女』だろう。
196
あなたにおすすめの小説
〖完結〗あんなに旦那様に愛されたかったはずなのに…
藍川みいな
恋愛
借金を肩代わりする事を条件に、スチュワート・デブリン侯爵と契約結婚をしたマリアンヌだったが、契約結婚を受け入れた本当の理由はスチュワートを愛していたからだった。
契約結婚の最後の日、スチュワートに「俺には愛する人がいる。」と告げられ、ショックを受ける。
そして契約期間が終わり、離婚するが…数ヶ月後、何故かスチュワートはマリアンヌを愛してるからやり直したいと言ってきた。
設定はゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全9話で完結になります。
【完結】私の事は気にせずに、そのままイチャイチャお続け下さいませ ~私も婚約解消を目指して頑張りますから~
山葵
恋愛
ガルス侯爵家の令嬢である わたくしミモルザには、婚約者がいる。
この国の宰相である父を持つ、リブルート侯爵家嫡男レイライン様。
父同様、優秀…と期待されたが、顔は良いが頭はイマイチだった。
顔が良いから、女性にモテる。
わたくしはと言えば、頭は、まぁ優秀な方になるけれど、顔は中の上位!?
自分に釣り合わないと思っているレイラインは、ミモルザの見ているのを知っていて今日も美しい顔の令嬢とイチャイチャする。
*沢山の方に読んで頂き、ありがとうございます。m(_ _)m
白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』
鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。
働きませんわ。それでも王妃になります
鷹 綾
恋愛
「私は働きませんわ」
そう宣言して、王太子から婚約破棄された公爵令嬢エルフィーナ。
社交もしない。慈善もしない。政務にも口を出さない。
“怠け者令嬢”と陰で囁かれる彼女を、王太子アレクシスは「王妃に相応しくない」と切り捨てた。
――だが彼は知らなかった。
彼女が動かないからこそ、王家は自力で立つことを覚えたのだということを。
エルフィーナは何もしない。
ただ保証を更新せず、支援を継続せず、静かに席を外すだけ。
その結果――
王家は自らの足で立つことを強いられ、王太子は“誰の力にも頼らない王”へと変わっていく。
やがて外圧が王国を揺らしたとき、彼は気づく。
支配でも依存でもなく、並んで立てる存在が誰だったのかを。
「君と並びたい」
差し出されたのは、甘い救済ではない。
対等という選択。
それでも彼女の答えは変わらない。
「私は働きませんわ」
働かない。
支配しない。
けれど、逃げもしない。
これは――
働かないまま王妃になる、公爵令嬢の静かなざまあ恋愛譚。
優雅で、合理的で、そしてどこまでも強い。
“何もしない”という最強の選択が、王国を変えていく。
【完結】真面目だけが取り柄の地味で従順な女はもうやめますね
祈璃
恋愛
「結婚相手としては、ああいうのがいいんだよ。真面目だけが取り柄の、地味で従順な女が」
婚約者のエイデンが自分の陰口を言っているのを偶然聞いてしまったサンドラ。
ショックを受けたサンドラが中庭で泣いていると、そこに公爵令嬢であるマチルダが偶然やってくる。
その後、マチルダの助けと従兄弟のユーリスの後押しを受けたサンドラは、新しい自分へと生まれ変わることを決意した。
「あなたの結婚相手に相応しくなくなってごめんなさいね。申し訳ないから、あなたの望み通り婚約は解消してあげるわ」
*****
全18話。
過剰なざまぁはありません。
学生のうちは自由恋愛を楽しもうと彼は言った
mios
恋愛
学園を卒業したらすぐに、私は婚約者と結婚することになる。
学生の間にすることはたくさんありますのに、あろうことか、自由恋愛を楽しみたい?
良いですわ。学生のうち、と仰らなくても、今後ずっと自由にして下さって良いのですわよ。
9話で完結
平民の方が好きと言われた私は、あなたを愛することをやめました
天宮有
恋愛
公爵令嬢の私ルーナは、婚約者ラドン王子に「お前より平民の方が好きだ」と言われてしまう。
平民を新しい婚約者にするため、ラドン王子は私から婚約破棄を言い渡して欲しいようだ。
家族もラドン王子の酷さから納得して、言うとおり私の方から婚約を破棄した。
愛することをやめた結果、ラドン王子は後悔することとなる。
貴方が選んだのは全てを捧げて貴方を愛した私ではありませんでした
ましゅぺちーの
恋愛
王国の名門公爵家の出身であるエレンは幼い頃から婚約者候補である第一王子殿下に全てを捧げて生きてきた。
彼を数々の悪意から守り、彼の敵を排除した。それも全ては愛する彼のため。
しかし、王太子となった彼が最終的には選んだのはエレンではない平民の女だった。
悲しみに暮れたエレンだったが、家族や幼馴染の公爵令息に支えられて元気を取り戻していく。
その一方エレンを捨てた王太子は着々と破滅への道を進んでいた・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる