初恋の人

凛子

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五話

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 それから一年半の月日が流れ、クリスマスが近付く十二月。
 康史からメールが届いた。

『今年は大晦日にそっちに帰るよ』

 結愛はそのメールをぼんやり眺めていた。

 ――今年はいないんだ。パパも康ちゃんも。

 毎年クリスマスは康史と一緒に過ごしていた。
恒例の、高岡家と伊藤家合同のクリスマスパーティーに、今年は康史は参加できないということだろう。
 昨年は、ちょうど今頃に春樹が亡くなり、さすがにクリスマスどころではなかったが、今年は集まりたいね、と美智子と話していたところだった。
 今まで考えないようにしてきたことが、結愛の脳裏を過った。
 康史が結愛に話さないだけであって、勿論今までにも康史にそういう相手がいたであろうことはわかっていた。わかってはいたけれど、結愛から直接康史に聞くことはなかった。
 聞くのが怖かった。

 康史は、結愛が幼い頃から抱いていた恋心に気付いているだろうか。もしそれを打ち明けたとしたら、一体どうなってしまうのだろうか。


 案の定、その年の暮れに帰ってきた康史が、彼女らしき人を連れているのを見かけた。
 いつかこんな日が訪れることはわかっていた。何も不思議なことではなく、当然のことだろう。実家に連れてきたということは、恐らくそういうことなのだろう、と結愛は理解した。

 康史からは定期的にメールが届いたが、今まで頻繁に送っていたメールは控えるようにした。それは、結愛なりの配慮のつもりだった。
 しばらくすると、康史からのメールはぱったり途絶えた。
 これが答えなのだろう、と結愛は感じ取った。
 結愛が高校二年の冬のことだった。

 三年に進級すると、結愛は受験勉強に明け暮れた。
康史からは時々様子窺いの連絡があり、実家に戻った時は必ず顔を見せてくれていたが、康史の顔を見る度に彼女のことが頭を掠め、複雑な気持ちになった。

 そうして、結愛は大学生になった。
 そして二回生になるこの春に、康史はやっと東京へ戻ってくることになった。
 しかし、実家には戻らず近くで独り暮らしをするという話だった。
 あの人と暮らすのだろうか。
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