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第1章 諸事情により冒険者になりました
6.普通のステータスとは
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あんぐり。
私は口を開けていたと思う。この人は、何でこんなに他人を思うことができるんだろうか。お人好しにも程があるのではないだろうか。
「いやいや、別に完全に善人ぶってる訳じゃねぇんだよ。珍しいものを取ってこれる冒険者なんかをガルダにつなぎとめておけるってのは、こっちにもメリットがあるんだ。ここが盛り上がれば、街も活気が出るし、国境の守りも硬くなる。俺はここに骨を埋めるつもりでいるから、この街が平和なほうが助かるだろ?」
つらつらと言い訳も始めるが、その姿もただ、底抜けのお人好しさを物語る。
「…みなさん、良い方ですね」
口を開くと、そんな言葉が出てきた。
「お気遣いありがとうございます。それならば、私の事情をお話しします」
ハッと男性3人の顔色がかわった。
それでも、私は心の中でどこまで話すかを悩んでいる。チリ、と何かが焦げるような痛みを感じた。
◇◇◇
「ふむ。まずは、5年より前の記憶が無い、と…」
サブマスがメモを見ながら確認してくる。話の最中に書かれた割にはかなり綺麗な文字が並んでいる。
「はい。名前以外は分かりません。年齢は、周りの人に言われた年齢に合わせた感じですね」
「種族も不明、と言うことになるな。ま、俺が見るに、リッカは純血の人間じゃねぇ気がするがな。5年間で容姿が変わらないんだろ、アーバン」
「ええ。変わらないですね。あと、多分髪の毛もあまり伸びていない気がしますよ」
「ああ、そう言えば…」
気にしていなかったが、そう言えばそうだ。5年間で、5㎝伸びたか否か。
「うーん。エルフかなんかの血が混じってそうだけどな。あくまで推測だが。鑑定のゴッツイの使える奴が見れば、もしかしたら出自がわかるかもしれんが…今この国にはいないな」
「…出自に関しては、今は特に不自由していませんから……」
「ま、気になったら言ってくれや」
「はい。ありがとうございます」
出自は、多分調べても無駄な気がする。
「そして、魔法は一通り使える、と」
「…はい」
「ふむ…リッカさん、他人のステータスを見たことはありますか?」
「…ありません」
サブマスは、ギルマスの机の上から、縦横20㎝くらいの鈍灰色の板を持ってきた。そして、左手を翳す。左手の親指には、銀の指輪が嵌っている。すると、板の磨かれた面に文字が浮かんだ。
(冒険者証が指輪型だ)
名前 ルドヴィック・ルロイ・アスター
職業 貴族 元ランク2冒険者 冒険者ギルドガルダ支部副ギルドマスター
性別 男性(既婚)
年齢 38歳(聖リアナ暦898年2月31日)
【魔法適正 高】
【魔法】鑑定魔法9 火魔法1(火球火球)水魔法8(水球 水刃他)氷魔法8(氷球 氷刃他)生活魔法
【技能】剣術 棒術 算術 速記 記憶
優秀そうだと思っていたが、やはり仕事ができる人なのだろう。冒険者ランクも高い。そして…
(閏年の日生まれなのね)
レイヴァーンの暦は、日本と似ているようで違うところもある。1日の時間は26時間くらいあるし、1ヶ月はみな30日、一年は12ヶ月。閏年だけ、2月が1日多い。聖リアナ暦と言うのは、この国の年号のようなものだ。建国から1年、2年とされる。ちなみに、閏日に生まれると加護を授かるとか言われて縁起が良いらしい。
「たいていは、このように表示されます」
「……見せてくださってありがとうございます」
「こいつはかなり優秀だし、魔法が多いぞ。参考になるかぁ?」
よいしょ、とギルマスが左腕を板に近づける。ギルマスの冒険者証は腕輪のようだ。
名前 ジェイガン・ムーア
職業 貴族 元ランク1冒険者 討伐褒賞者 冒険者ギルドガルダ支部ギルドマスター
性別 男性(既婚)
年齢 43歳(聖リアナ暦893年8月6日)
【魔法適正 低】
【魔法】火魔法1 生活魔法
【技能】剣術10 棒術6 体術7 動体視力 統率
「魔法に適性がないとこれくらいだな」
「……お強いのですね」
剣術が最大まで上がっている。この数値は、5まで上がれば十分それで食べていけると言われていると本に書いてあったはずだ…どれほど鍛錬と実践を重ねればこうなるのだろうか。
「リッカさんのは…」
サブマスが何やら弄ると、ポンと画面が切り替わる。
名前 リッカ
職業 採取者 隠者
(……ギルマスたちのも普通じゃないだろうけど、どう見ても駄目な奴だね、これ)
3人からちょっと生ぬるい視線を注がれている気がした。
私は口を開けていたと思う。この人は、何でこんなに他人を思うことができるんだろうか。お人好しにも程があるのではないだろうか。
「いやいや、別に完全に善人ぶってる訳じゃねぇんだよ。珍しいものを取ってこれる冒険者なんかをガルダにつなぎとめておけるってのは、こっちにもメリットがあるんだ。ここが盛り上がれば、街も活気が出るし、国境の守りも硬くなる。俺はここに骨を埋めるつもりでいるから、この街が平和なほうが助かるだろ?」
つらつらと言い訳も始めるが、その姿もただ、底抜けのお人好しさを物語る。
「…みなさん、良い方ですね」
口を開くと、そんな言葉が出てきた。
「お気遣いありがとうございます。それならば、私の事情をお話しします」
ハッと男性3人の顔色がかわった。
それでも、私は心の中でどこまで話すかを悩んでいる。チリ、と何かが焦げるような痛みを感じた。
◇◇◇
「ふむ。まずは、5年より前の記憶が無い、と…」
サブマスがメモを見ながら確認してくる。話の最中に書かれた割にはかなり綺麗な文字が並んでいる。
「はい。名前以外は分かりません。年齢は、周りの人に言われた年齢に合わせた感じですね」
「種族も不明、と言うことになるな。ま、俺が見るに、リッカは純血の人間じゃねぇ気がするがな。5年間で容姿が変わらないんだろ、アーバン」
「ええ。変わらないですね。あと、多分髪の毛もあまり伸びていない気がしますよ」
「ああ、そう言えば…」
気にしていなかったが、そう言えばそうだ。5年間で、5㎝伸びたか否か。
「うーん。エルフかなんかの血が混じってそうだけどな。あくまで推測だが。鑑定のゴッツイの使える奴が見れば、もしかしたら出自がわかるかもしれんが…今この国にはいないな」
「…出自に関しては、今は特に不自由していませんから……」
「ま、気になったら言ってくれや」
「はい。ありがとうございます」
出自は、多分調べても無駄な気がする。
「そして、魔法は一通り使える、と」
「…はい」
「ふむ…リッカさん、他人のステータスを見たことはありますか?」
「…ありません」
サブマスは、ギルマスの机の上から、縦横20㎝くらいの鈍灰色の板を持ってきた。そして、左手を翳す。左手の親指には、銀の指輪が嵌っている。すると、板の磨かれた面に文字が浮かんだ。
(冒険者証が指輪型だ)
名前 ルドヴィック・ルロイ・アスター
職業 貴族 元ランク2冒険者 冒険者ギルドガルダ支部副ギルドマスター
性別 男性(既婚)
年齢 38歳(聖リアナ暦898年2月31日)
【魔法適正 高】
【魔法】鑑定魔法9 火魔法1(火球火球)水魔法8(水球 水刃他)氷魔法8(氷球 氷刃他)生活魔法
【技能】剣術 棒術 算術 速記 記憶
優秀そうだと思っていたが、やはり仕事ができる人なのだろう。冒険者ランクも高い。そして…
(閏年の日生まれなのね)
レイヴァーンの暦は、日本と似ているようで違うところもある。1日の時間は26時間くらいあるし、1ヶ月はみな30日、一年は12ヶ月。閏年だけ、2月が1日多い。聖リアナ暦と言うのは、この国の年号のようなものだ。建国から1年、2年とされる。ちなみに、閏日に生まれると加護を授かるとか言われて縁起が良いらしい。
「たいていは、このように表示されます」
「……見せてくださってありがとうございます」
「こいつはかなり優秀だし、魔法が多いぞ。参考になるかぁ?」
よいしょ、とギルマスが左腕を板に近づける。ギルマスの冒険者証は腕輪のようだ。
名前 ジェイガン・ムーア
職業 貴族 元ランク1冒険者 討伐褒賞者 冒険者ギルドガルダ支部ギルドマスター
性別 男性(既婚)
年齢 43歳(聖リアナ暦893年8月6日)
【魔法適正 低】
【魔法】火魔法1 生活魔法
【技能】剣術10 棒術6 体術7 動体視力 統率
「魔法に適性がないとこれくらいだな」
「……お強いのですね」
剣術が最大まで上がっている。この数値は、5まで上がれば十分それで食べていけると言われていると本に書いてあったはずだ…どれほど鍛錬と実践を重ねればこうなるのだろうか。
「リッカさんのは…」
サブマスが何やら弄ると、ポンと画面が切り替わる。
名前 リッカ
職業 採取者 隠者
(……ギルマスたちのも普通じゃないだろうけど、どう見ても駄目な奴だね、これ)
3人からちょっと生ぬるい視線を注がれている気がした。
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