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第2章 繋がりは繋がっていく
11.隠者は呼び出しを受ける
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翌日、とりあえずギルマスの都合の良い時間に一度通信石を使って連絡をくれないかと頼んでおいたので、私はいつも通り朝食を終えて精霊達とおしゃべりしつつ、調べ物をしながら過ごしていた。すると、自分や精霊達以外の魔力を感じて…一呼吸ほどおいて、ペンダントの石がホワッと光った。
「連絡来たね。行こうかな」
緩くなったコーヒーを飲み干し、念のために歯ブラシ代わりに全身に洗浄をかける。スッキリしたのを確認して、ローブを着た。今日は納品はしないので、ミリィさんが詰めてくれた物の中から、肩掛けの鞄を出して昨日の魔石と、こちらの紙に書きつけた私なりの調査結果のメモを入れておく。
「髪、結っておきますね」
「青い紐にしますの」
「編み込んでいい?」
光闇精霊のうち、ライ、ラーラ、イリスは最近ヘアメイクにハマっているようで、機会があれば私の髪を弄るようになった。髪を結ぶのが面倒になってきたので、顎くらいで切り揃えようかと思ったが、彼らがやってくれるので今は様子見だ。
レイヴァーンでは、女性は背中の中程まで髪を長く伸ばし、既婚者は全て結い上げ、未婚なら一部垂らしたりするのが一般的なようだ。男性も短髪ばかりというわけではなく、普通に後ろで束ねている人もいる。おかげで、今の私はどちらかと言えば男性に見られることが多いように思う。その方が面倒ごとも少ないだろうと思って、あえて否定もしていない。
今日は、後頭部を少し緩く編み込んだ、一見シンプルなスタイルに落ち着いたようだ。彼らにお礼を言って、思わず撫で撫でしてしまう。
「さて、じゃあ行こうか」
本日は、炎光の精霊のカルラ、カイム、闇光のランティス、水闇のファイ、ファーナ、水風のイシュが一緒に行くらしい。いつもより多いのは、これがいつもとは違うお出かけだからだろう。
「直接ギルマスの部屋まで行くよ」
「はい!」
それぞれがローブにしっかり潜り込んだのを確認して、それぞれにいつもの隠秘と認識阻害の術をかけてから、転移した。
「おう、来たか!おはようさん」
「おはよう御座います。リッカさん」
「おはようリッカさん」
「おはようございます。お待たせしてしまってすみません」
通信石が光ってから、大体10分くらい経っていたので、待たせたかもしれないと詫びると、呼び出したのは自分だし、相手が貴族女性だと1時間は普通に待つので気にしない、と笑ってくれた。
「本当に、ほんとーーーーに、昨日はありがとう」
ソファに座ると、ギルマスが頭を下げる。サブマスとアーバンさんも、深々と頭を下げる。レイヴァーンで頭を下げるという行為はあまり無いらしいので、慌てて頭を上げてもらった。
「私は、救助隊に加わったようなものですから」
「いいや、ダン達を助けてくれたろう?アイツらな、俺が依頼してあの侯爵のボンボンに付けたんだ。何か掴んでくれたらってな。仲良くしてた奴が大怪我して、仇を取りたいって受けてくれてた」
「…なるほど」
「アイツらが目を覚ましたら、多分色々喋ってくれるだろう。これで、何かきちんと処分出来れば良いんだがな」
「ダンさん達は、容体に変わりはないですか?」
「はい。よく眠っているそうです。あの後神殿の治癒師が来て、治癒魔法をかけてもらったそうですよ」
「一応、あの3人の治癒前の怪我の状態を纏めました。覚書程度ですが」
「ありがとう。助かる」
ギルマスが私のメモを受け取って目を通す。その後、サブマスとアーバンさんが手持ちの紙と見比べ始めた。おそらく、こちらでも目撃証言を集めたのだろう。
「あれだけの怪我をして、しかもちぎれかけてた腕が怪我なんてして無いくらいに治るなんてな」
「えっ…欠損を治癒する魔法はありますよね…?」
私の魔法は、治癒術の書(中)で読んだものをアレンジしたのだけど…。
「…はぁ?」
「…聞いたことがありません」
「ええとな、魔導国に伝説として伝わってるやつぐらいだぜ、リッカさん」
部屋に言いようのない空気が漂った。
「魔法付与の件と言い、おそらく色々と認識の違いがありそうですね」
サブマスが眼鏡を押し上げて、鼻の付け根をモミモミした。
「さてと」
ギルマスがわざとらしくポン、と膝を叩く。とりあえず話題を変えたいらしい。私も居た堪れなかったので助かる。
「あのボンボン野郎のことなんだけどな。リッカは『よく見せろ』って言っただろ。見た結果どうだったんだ?」
「はい」
私は鞄から紙の束を出した。
「こちらに、見えたことを書き出しました。多いですが、まず目を通してくださいませんか?」
「連絡来たね。行こうかな」
緩くなったコーヒーを飲み干し、念のために歯ブラシ代わりに全身に洗浄をかける。スッキリしたのを確認して、ローブを着た。今日は納品はしないので、ミリィさんが詰めてくれた物の中から、肩掛けの鞄を出して昨日の魔石と、こちらの紙に書きつけた私なりの調査結果のメモを入れておく。
「髪、結っておきますね」
「青い紐にしますの」
「編み込んでいい?」
光闇精霊のうち、ライ、ラーラ、イリスは最近ヘアメイクにハマっているようで、機会があれば私の髪を弄るようになった。髪を結ぶのが面倒になってきたので、顎くらいで切り揃えようかと思ったが、彼らがやってくれるので今は様子見だ。
レイヴァーンでは、女性は背中の中程まで髪を長く伸ばし、既婚者は全て結い上げ、未婚なら一部垂らしたりするのが一般的なようだ。男性も短髪ばかりというわけではなく、普通に後ろで束ねている人もいる。おかげで、今の私はどちらかと言えば男性に見られることが多いように思う。その方が面倒ごとも少ないだろうと思って、あえて否定もしていない。
今日は、後頭部を少し緩く編み込んだ、一見シンプルなスタイルに落ち着いたようだ。彼らにお礼を言って、思わず撫で撫でしてしまう。
「さて、じゃあ行こうか」
本日は、炎光の精霊のカルラ、カイム、闇光のランティス、水闇のファイ、ファーナ、水風のイシュが一緒に行くらしい。いつもより多いのは、これがいつもとは違うお出かけだからだろう。
「直接ギルマスの部屋まで行くよ」
「はい!」
それぞれがローブにしっかり潜り込んだのを確認して、それぞれにいつもの隠秘と認識阻害の術をかけてから、転移した。
「おう、来たか!おはようさん」
「おはよう御座います。リッカさん」
「おはようリッカさん」
「おはようございます。お待たせしてしまってすみません」
通信石が光ってから、大体10分くらい経っていたので、待たせたかもしれないと詫びると、呼び出したのは自分だし、相手が貴族女性だと1時間は普通に待つので気にしない、と笑ってくれた。
「本当に、ほんとーーーーに、昨日はありがとう」
ソファに座ると、ギルマスが頭を下げる。サブマスとアーバンさんも、深々と頭を下げる。レイヴァーンで頭を下げるという行為はあまり無いらしいので、慌てて頭を上げてもらった。
「私は、救助隊に加わったようなものですから」
「いいや、ダン達を助けてくれたろう?アイツらな、俺が依頼してあの侯爵のボンボンに付けたんだ。何か掴んでくれたらってな。仲良くしてた奴が大怪我して、仇を取りたいって受けてくれてた」
「…なるほど」
「アイツらが目を覚ましたら、多分色々喋ってくれるだろう。これで、何かきちんと処分出来れば良いんだがな」
「ダンさん達は、容体に変わりはないですか?」
「はい。よく眠っているそうです。あの後神殿の治癒師が来て、治癒魔法をかけてもらったそうですよ」
「一応、あの3人の治癒前の怪我の状態を纏めました。覚書程度ですが」
「ありがとう。助かる」
ギルマスが私のメモを受け取って目を通す。その後、サブマスとアーバンさんが手持ちの紙と見比べ始めた。おそらく、こちらでも目撃証言を集めたのだろう。
「あれだけの怪我をして、しかもちぎれかけてた腕が怪我なんてして無いくらいに治るなんてな」
「えっ…欠損を治癒する魔法はありますよね…?」
私の魔法は、治癒術の書(中)で読んだものをアレンジしたのだけど…。
「…はぁ?」
「…聞いたことがありません」
「ええとな、魔導国に伝説として伝わってるやつぐらいだぜ、リッカさん」
部屋に言いようのない空気が漂った。
「魔法付与の件と言い、おそらく色々と認識の違いがありそうですね」
サブマスが眼鏡を押し上げて、鼻の付け根をモミモミした。
「さてと」
ギルマスがわざとらしくポン、と膝を叩く。とりあえず話題を変えたいらしい。私も居た堪れなかったので助かる。
「あのボンボン野郎のことなんだけどな。リッカは『よく見せろ』って言っただろ。見た結果どうだったんだ?」
「はい」
私は鞄から紙の束を出した。
「こちらに、見えたことを書き出しました。多いですが、まず目を通してくださいませんか?」
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