【本編完結】転生隠者の転生記録———怠惰?冒険?魔法?全ては、その心の赴くままに……

ひらえす

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第2章 繋がりは繋がっていく

閑話 冒険者パーティ『炎の短剣』ダンとナナリー

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※冒険者パーティ『炎の短剣フレイムダガー』ダン視点です※


 目を覚ますと、もう夕方だった。寝過ぎて身体が痛いくらいだ。ふと横を見ると、眠っているセタンタの横にナナリーが居るのが見えた。まだ眠っているセタンタの手をナナリーが握っている。パタ、パタ、という音の正体は、ナナリーの頬から伝落ちる雫だった。
「泣いてんのか?」
「うう…」
「セタ、大丈夫だって言ってたろ?」
傍に自分も座って、ナナリーの頭を撫でてやる。
「だって、だって…起きないもん…」
 しゃくりあげるように泣き出すナナリーの頭を、撫で続ける。
 この勝気な幼馴染は、気が強いようで実は繊細だ。と言うよりは、気弱で優しい部分を隠すための勝気さなのか。
「起きたら、素直に告白しろよ」
「う、うるさ…うるさい…」
 ナナリーは袖で乱暴に涙を拭い、ひたすらセタンタを見つめている。セタンタの呼吸は安定しており、顔色も良い。

 運ばれてきた食事を摂り、一息ついたとこでナナリーが口を開いた。食べられる時には食べる。冒険者の基本だ。セタンタから目を離すことはないが、きちんと平らげた。
「あの女の人、知ってる?」
「リッカ、って呼ばれてたな。俺がお前を連れて帰った時に、サブマスからここにお前を運ぶように言われてさ。そしたらあの人がいた。神殿から治癒師が来るのを待つと思ってたからさ、ビックリしたよ」
「あの人が治してくれたの?」
「多分な。実は、俺も目を閉じろって言われて閉じたら、そのまま眠ってたみたいでな。アーバンさんが言うには、あの人がお前も俺も、セタも助けてくれたらしい」
「…あたし、お礼言ってない」
「また会えるだろ」
(それにしても…早いよな、うん…)
 まだ自分がここに駆け込んでから、丸一日と少しと言ったところだ。恐ろしいほど早い治癒の効果に…
(セタを救出して運んできた…?夜のうちにか?)
 捜索隊を組織して、ダンジョンまで行って捜索して、あの崩落地点を迂回しながらセタンタを救出して、運んできて治療する…?
「いや…ダンジョンまで歩いて3時間は…その後中に入って28階だぞ…?」
「うん、私たちも探しながらとは言え、中で2泊してるよね」
「転移石使ったのかもしれないが…こう言っちゃ何だけど、お前も、セタも、助かったのが奇跡だな」
 扉がノックされた。
 返事をすると、受付嬢のリーダーと、サブマスの関係者だと言う医者が入って来た。

「診察させてくださいね」
 老年の医者は、まず最初にダンを丁寧に見る。
「いや、俺は大丈夫だから…」
「いいえ」
 ナナリーやセタンタを診て欲しいと言おうとしたら、医師はそれを否定する。
「貴方は、以前に頭を打った後に、その時は何ともなくとも、後日亡くなる人を見たり聞いたりしたことはありますかな?」
「あ、ああ…」
「貴方はここに来た時、右足を骨折していたそうです。でも、それを痛がる事なくここまで人1人抱えて歩いて来た。そして、そこの女性も同じく頭を打っていたそうで…そこから推察されたようですな。女性を先に治しながら、貴方もある意味同時に治癒していたようで、それが幸いしたのでしょう」
「えっ?」
「貴方の方が、頭の怪我としては酷かったのだそうですよ。もう少し遅くなっていたら、取り返しのつかないことになっていたそうです」
 医師はそう言いながらもダンの目を開けさせて小さく光魔法の火を近づけて診察したり、首を前後に曲げさせたり、手足の先を持ち上げさせたりする。
「とは言いましても、もちろん残りのお二人も危なかったことには変わりないですがな。この出会いに感謝なされるとよろしかろう」
「あ、ありがとうございます…」
「いやいや、私などではない。あのお方の方ですよ」
 医師は、ナナリーとセタンタの方も手早く診る。
「うむ、こちらの方もすぐに目覚めるでしょう。頭痛がするようなら、こちらの丸薬を水で飲んでおくように、との事でした」
 来た時と同じように颯爽とさる医師を見送った。
「ダンも生きてるの不思議らしいよ」
「そうみたいだな。土下座じゃ足りんな。いくら包めば良いだろうか」


 2人はまたセタンタの隣に移動した。
「早く起きて…お願い…」
(セタが起きたら…2人の結婚の祝いを渡さないとな。だから…)
「ホントだな。早く起きろよ、セタ」
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