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第3章 心が繋がる時
3.世界魔法全集とお茶会
しおりを挟むここ暫く、もらった魔法全集を読み込んでいた。読むだけではなく、それに書かれている現在使用されているという魔法をあらゆる状況で全部試していった…もちろん、全て結界の中で行ったし、大きな威力のものはだいぶ弱くなるように調節した。結果…なんと言うかアイテムボックスのなかのステータス表示に、色々と記載が増えている。精霊が言うには、威力の強い魔法をいくつかそのまま使うと『大魔法士』とか『大魔導師』が職業欄につく可能性があるらしいので、これ以上は職業欄の記載を誤魔化せるようになるまでやめることにした。実はこれに関しては試していないことがあるので、帰宅後に試すつもりでいる。
「えー?主様、せっかく称号取れそうなのに勿体無くないですか?」
「職業はたくさん集めた方が強く見えますのよ?」
精霊が何か言ったが、いやいや今度ねと誤魔化すことにする。今日はいつもの17日前後とはちょっと違うおでかけ…アスター子爵家で魔法について講義を聞きに行く日だ。本当はもっと早くに予定されていたらしいのだが、ギルドの仕事が思ったより増えてサブマスが忙しかったようで、今になった…そう、もうすっかり辺りは春めいている。
この山の中もほぼ雪が溶けた。私はフキノトウに似た、ここではハルフキと呼ばれている植物や、キノコ…おそらく最後のユキタケを見つけたり、いつものキノコや薬草を採りながらガルダへ向かっている。
「主様、何か心配ごとですか?」
「え?あぁ…」
暫く無言で考え事をしていたら、カルラが私の顔を覗き込んできた。
「貴族のお屋敷に行くと思うと、ちょっとね」
サブマスは『冒険者なのだから冒険者の格好でいい』と言ってくれたが、一応ミリィさんにもらった少し上等なローブを着ている。髪は緩くまとめてもらって、いつもの櫛を付けてもらった。いつもの格好だと言えばいつもの格好だ。
「大丈夫ですよ、サブマスさんは優しいですから。それに、心ひそかに主様を師と仰いでいるようですし!」
「それ初めて聞いたわ」
わいわいはしゃぐ精霊達をローブに捕まらせて、ガルダへ飛んだ。
アーバンさんに納品をお願いして、メリルさんとハルフキの美味しい食べ方について雑談しているとギルマスがやって来て、裏手の方に迎えが来たと知らせてくれた。
一応サブマスの家に招かれているのは秘密なので、いつものようにギルドを出てから裏手に回る。隠蔽と認識阻害を重ねがけしているのでほぼ誰にも見られないで裏まで行くと…立派な作りの馬車がそこに停まっていた。隠蔽と認識阻害をとりあえず解いて気づいてもらうことにする。傍らに立っていた老紳士が近づいてくる。
「リッカ様ですね?私、アスター家の執事のフロイドと申します。お迎えに上がりました」
「リッカと申します。本日はよろしくお願いします」
手を添えて馬車に乗せてくれて、執事さんは向かいの席に座る。2頭立ての馬車がゆっくり動き出した。
「本日の予定は知っていらっしゃいますか?」
「はい、皆様にご挨拶をさせていただいてから、講義を聴かせていただけると言うことでしたが…」
「その後に、よろしければ奥様が是非お茶をご一緒したいと仰いまして…」
「はい、私などでよろしければ…」
『奥様が』『是非』と言われて断れるはずもない。
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