50 / 115
第3章 心が繋がる時
12.隠者は万が一を2つ用意する
しおりを挟む
私の目の前に、ソファーに座ったメリーベルさんとその両脇には、サブマスとエリーナさんがいる。猫足のテーブルの上には、紅花の妖精。対面のソファーには私と精霊たち。
「では、最後にもう一度、実際に魔力の流れや護石も含めて説明しますね」
妖精も含めた目の前に、それぞれの魔法紋様を出す。
「これは、魔力量や魔力の流れ方を始め、それぞれの方の現在の状態を視るために使います。基本的に気にしないでくださって大丈夫です」
「あ、あの…」
「はい?」
「呪文は…」
「詠唱破棄…いえ、これは無詠唱…」
メリーベルさん、エリーナさんまでアワアワしている。またやってしまった。
「……まあ、今はお気になさらずに。私は…その、サブマス…メリーベルさんのお父様の先生…らしいので、そういうことで…いいです…よね?サブマスター…」
「もちろんです」
しどろもどろの私の言い分に、サブマスは被せ気味に答えてくれた。助かった。私は机の上の紙をメリーベルさんにどうぞと渡しつつ、口を開いた。
「そして、次にこれを唱えてから、妖精に名前をつけてあげてください。名前は昔から考えてあると言うことでしたね?…あ、口には出さないで下さい」
「はい!初めて会った時から、心の中で呼んでいる名前がありますから」
メリーベルさんの目がキラキラと輝き、丸い頬は紅潮してピンク色だ。透き通るような肌だが血色が良いので病的に見える事は決してなく、むしろ輝くようなオーラすら感じる。目鼻立ちも整っていて、目元や鼻筋はサブマス似、笑うとエクボのできる口元はエリーナさんそのまま。贔屓目に言っても美少女だ。将来は美女確定だろう。
(ええと、魔力量は…サブマスの7割くらいかな。あ、エリーナさんの方が魔力総量は多いのね。意外…)
メリーベルさんに見惚れて脱線しそうだった思考を各人の紋様に戻した。
「これを読んでから…『私と妖精は、今日からゆっくりと末長く友情を育んで共に育って行きます』」
「はい。これを読む事で、魔力を危険量まで持って行かれるのを防ぎます。何らかの事故で魔力の枯渇がおこりそうな場合は、これで…」
サブマスとエリーナさんの前に、もう一枚ずつ紋様を出した。
「これで、メリーベルさんに魔力を必要分だけあげることができます。私が合図したら、お二人はその紋様に触れていてください。その方が楽だと思います」
「…魔力譲渡……属性による拒否反応は、この紋様が防ぐのですか?」
「はい、これは魔力の属性を無属性に持っていくと言うか、より魔力そのものに変換するものです。出力…つまりメリーベルさんに流れる方の速度は、メリーベルさん自身の魔力の減りに応じて変わりますが…万が一ご自身の魔力で足りないようなら、これでお二人の魔力を使えば大丈夫かと」
何やらブツブツサブマスが言っているが、とりあえず説明を続けることにする。
「その場合は、エリーナさんの方が魔力総量が多いようなので、まずはエリーナさんからある程度譲渡してもらって、その後にサブマスにお願いしましょうね」
「えっ⁉︎」
「ええっ⁉︎」
そのように設定します、と続けようとしたらサブマスとエリーナさんが素っ頓狂な声を出した。
「今、なんと…?」
「そうそう、私の方が魔力総量が多い…?」
何をそんなに驚いているのだろうか。私は普通に返事をした。
「…はい。そうですが……何か…?」
「…いえ、いいえ!いまはメリーベルですわ!」
「そうです、そうですね。それは後ほど」
若干アワアワしているお二人が気になるといえば気になるが、机の上でぴょんぴょん飛び跳ねている妖精も気になるので、次に移ることにする。
「そして、最後はこの護石です。これはまあ、保険のようなものですが…万が一の事があっても、ある程度ならこれで身を守れますので、皆様ポケットに入れるか、膝の上にでも置いていて下さい」
手のひらほどの大きさの、大きなメダルのような護石を3つ、それぞれの名前を彫り込んでから渡した。
サブマスは雪の結晶模様、エリーナさんにはフリージアの花、メリーベルさんにはマーガレットの花を内側に彫り込んであるものを渡す。
「マーガレットですね!可愛いです!」
メリーベルさんが笑顔でお礼を言ってくれたので、私もほっこりした。
「お気に召してもらえて良かったです。…では、心の準備はよろしいですか?」
「はい!」
とりあえず、今回の術と万が一混じるのが嫌だったので、私は隠蔽と認識阻害を全て外して、メリーベルさんに合図した。
「それでは、いつでもいいですよ」
メリーベルさんが、輝くような笑顔で頷き、サブマスとエリーナさんの喉がごくりと動くのが分かった。
「では、最後にもう一度、実際に魔力の流れや護石も含めて説明しますね」
妖精も含めた目の前に、それぞれの魔法紋様を出す。
「これは、魔力量や魔力の流れ方を始め、それぞれの方の現在の状態を視るために使います。基本的に気にしないでくださって大丈夫です」
「あ、あの…」
「はい?」
「呪文は…」
「詠唱破棄…いえ、これは無詠唱…」
メリーベルさん、エリーナさんまでアワアワしている。またやってしまった。
「……まあ、今はお気になさらずに。私は…その、サブマス…メリーベルさんのお父様の先生…らしいので、そういうことで…いいです…よね?サブマスター…」
「もちろんです」
しどろもどろの私の言い分に、サブマスは被せ気味に答えてくれた。助かった。私は机の上の紙をメリーベルさんにどうぞと渡しつつ、口を開いた。
「そして、次にこれを唱えてから、妖精に名前をつけてあげてください。名前は昔から考えてあると言うことでしたね?…あ、口には出さないで下さい」
「はい!初めて会った時から、心の中で呼んでいる名前がありますから」
メリーベルさんの目がキラキラと輝き、丸い頬は紅潮してピンク色だ。透き通るような肌だが血色が良いので病的に見える事は決してなく、むしろ輝くようなオーラすら感じる。目鼻立ちも整っていて、目元や鼻筋はサブマス似、笑うとエクボのできる口元はエリーナさんそのまま。贔屓目に言っても美少女だ。将来は美女確定だろう。
(ええと、魔力量は…サブマスの7割くらいかな。あ、エリーナさんの方が魔力総量は多いのね。意外…)
メリーベルさんに見惚れて脱線しそうだった思考を各人の紋様に戻した。
「これを読んでから…『私と妖精は、今日からゆっくりと末長く友情を育んで共に育って行きます』」
「はい。これを読む事で、魔力を危険量まで持って行かれるのを防ぎます。何らかの事故で魔力の枯渇がおこりそうな場合は、これで…」
サブマスとエリーナさんの前に、もう一枚ずつ紋様を出した。
「これで、メリーベルさんに魔力を必要分だけあげることができます。私が合図したら、お二人はその紋様に触れていてください。その方が楽だと思います」
「…魔力譲渡……属性による拒否反応は、この紋様が防ぐのですか?」
「はい、これは魔力の属性を無属性に持っていくと言うか、より魔力そのものに変換するものです。出力…つまりメリーベルさんに流れる方の速度は、メリーベルさん自身の魔力の減りに応じて変わりますが…万が一ご自身の魔力で足りないようなら、これでお二人の魔力を使えば大丈夫かと」
何やらブツブツサブマスが言っているが、とりあえず説明を続けることにする。
「その場合は、エリーナさんの方が魔力総量が多いようなので、まずはエリーナさんからある程度譲渡してもらって、その後にサブマスにお願いしましょうね」
「えっ⁉︎」
「ええっ⁉︎」
そのように設定します、と続けようとしたらサブマスとエリーナさんが素っ頓狂な声を出した。
「今、なんと…?」
「そうそう、私の方が魔力総量が多い…?」
何をそんなに驚いているのだろうか。私は普通に返事をした。
「…はい。そうですが……何か…?」
「…いえ、いいえ!いまはメリーベルですわ!」
「そうです、そうですね。それは後ほど」
若干アワアワしているお二人が気になるといえば気になるが、机の上でぴょんぴょん飛び跳ねている妖精も気になるので、次に移ることにする。
「そして、最後はこの護石です。これはまあ、保険のようなものですが…万が一の事があっても、ある程度ならこれで身を守れますので、皆様ポケットに入れるか、膝の上にでも置いていて下さい」
手のひらほどの大きさの、大きなメダルのような護石を3つ、それぞれの名前を彫り込んでから渡した。
サブマスは雪の結晶模様、エリーナさんにはフリージアの花、メリーベルさんにはマーガレットの花を内側に彫り込んであるものを渡す。
「マーガレットですね!可愛いです!」
メリーベルさんが笑顔でお礼を言ってくれたので、私もほっこりした。
「お気に召してもらえて良かったです。…では、心の準備はよろしいですか?」
「はい!」
とりあえず、今回の術と万が一混じるのが嫌だったので、私は隠蔽と認識阻害を全て外して、メリーベルさんに合図した。
「それでは、いつでもいいですよ」
メリーベルさんが、輝くような笑顔で頷き、サブマスとエリーナさんの喉がごくりと動くのが分かった。
42
あなたにおすすめの小説
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
【完結】異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜
月城 蓮桜音
ファンタジー
仕事に日々全力を注ぎ、モフモフのぬいぐるみ達に癒されつつ、趣味の読書を生き甲斐にしていたハードワーカーの神木莉央は、過労死寸前に女神に頼まれて異世界へ。魔法のある世界に召喚された莉央は、魔力量の少なさから無能扱いされるが、持ち前のマイペースさと素直さで、王子と王子の幼馴染達に愛され無双して行く物語です。
※この作品は、カクヨムでも掲載しています。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?
よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ!
こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ!
これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・
どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。
周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ?
俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ?
それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ!
よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・
え?俺様チート持ちだって?チートって何だ?
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。
神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜
シュガーコクーン
ファンタジー
女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。
その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!
「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。
素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯
旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」
現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。
【完結】憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。
異世界成り上がり物語~転生したけど男?!どう言う事!?~
繭
ファンタジー
高梨洋子(25)は帰り道で車に撥ねられた瞬間、意識は一瞬で別の場所へ…。
見覚えの無い部屋で目が覚め「アレク?!気付いたのか!?」との声に
え?ちょっと待て…さっきまで日本に居たのに…。
確か「死んだ」筈・・・アレクって誰!?
ズキン・・・と頭に痛みが走ると現在と過去の記憶が一気に流れ込み・・・
気付けば異世界のイケメンに転生した彼女。
誰も知らない・・・いや彼の母しか知らない秘密が有った!?
女性の記憶に翻弄されながらも成り上がって行く男性の話
保険でR15
タイトル変更の可能性あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる