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第6章 転生隠者の望む暮らし
閑話 土の精霊王
しおりを挟む最近、聖地は賑やかだ。土の精霊王は改めてそう思い返して世界樹を見る。
健康そうな樹皮、しっかり張り出した枝、みずみずしい葉。そして所々に見られる精霊や妖精が産まれる実の前兆。足元は肥沃な土。やわからな草や小さな花々。自分が精霊王の役目についた時と同じくらいに美しい場所になったと感じる。
ふと何かに呼ばれたように感じて、小道の奥を進む。しばらく歩いた先に、それを見つけた。
(ここは綺麗になった。時折現れる、この禍々しい色の場所以外は)
言いようの無い色をしたその場所の近くには、芽吹いたばかりの若木ばかり。
「お前たちが呼んだのだな」
土の精霊王は若木たちのそばに歩み寄ると、もはや日常となったあの作業を始めた。暫くすると、少し成長した若木たちがそこにあった。
「……頑張ったな。もう大丈夫だ」
そよりと風が吹く。
「ねえ!」
風の精霊王が不意に目の前———文字通り目と鼻の先に現れた。
「闇のと炎のがいないんだけど、知らない?」
珍しい取り合わせだなぁと思いながら、土の精霊王は自然に通り過ぎるようにポンポンと風の精霊王の肩を叩いた。
「隠者のところでは無いのか?」
そう言えば先日、光と水のが紋様を預けてきたと言っていた際に隠者が属性の違いがどうのという話をしていたと耳にして、闇のが興味を示していたな、と思い出した。
「ええーーー!じゃあ、僕だけ仲間はずれになってない⁉︎」
「あなたが遊びに行ったまま帰らないからでしょうに」
水の精霊王の言う通り、風の精霊王は時折ふらりと出掛けてしまうことが多かった。聖地の異変が治まって1年ほど経過した今、またその癖が出てきたのだろう。今回は1週間だったので、まだ帰還は早い方だと言える。
「じゃあ僕リッカのとこに行ってくるね!」
「待て。行くならこれを持って行ってくれ」
先ほど拾った赤い石の中に金の粒が入っている石を洗浄して渡した。
「珍しい石だね。ルビーに金が混じってる?」「手土産にぴったりだろう」
「うん! ちゃんと土のからだよって伝えるからね!」
自然には出来ないこの石は、多分この聖地の異変の対処を生み出したことの副産物だ。
隠者本人はこれで終わりではなく、もっと根本から見直さないといけないと言っていたが、今直ぐにというのは多分難しいだろう。
「数百年かけて変化してきたのだから……」
もしかしたら、あの異変は滅びの前兆であったかもしれないと……そう思わなくもない。
ならば、もしかしたらそれを受け入れるべきだったのかもしれない、とも思ったこともある。あるがまま生きて命を終えるのが自分たちの生き方なのだから。
「いや……」
ならば、自分たちがあがき、その細い可能性を隠者が掴み、そして救われたのも1つの必然だったのだ。
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