48 / 114
47. 新生活は8~18時
しおりを挟む
翌日から私は8~18時の学園生活を送ることとなった。
ガイドブック? を参考にいくつか授業を増やしたため、予定以上に詰まってしまったが、オリエンテーション授業の週なんてこんなものだろう。
ちらほらと姿を消していく学生達を横目に、私は授業内容をプリントにメモしていく。
スキルの取得って多分この段階で行われるのだろうと、前期予定を見ながら当たりをつける。
それ以外の講義予定も興味が持てそうかではなく、睡眠時間にならずに済むかを前提として判断していく。
人数が少なく、先生も人が良さそうなこの授業はとりあえず続行、っと。
メモの端にマークを残して、唯一の欠点へと視線を向ける。
実はこの授業の受講者が少ないのには訳がある。
廊下を挟んで向かい側でも授業が行われているのだが、そこにグルメマスターが出席しているのだ。
まだオリエンテーションのため、本格的に受講するかはまだ定かではないのだが、教室の席を取り損ねた生徒達が教室の外に溢れている。
彼女の授業を邪魔しないよう、声を押さえてはいるのだろうが、いかんせん人数が多すぎる。
壁を挟んでも聞こえる声に、ドア側の席を取ったのは失敗だったかもしれないと反省する。
彼らも悪気はないのだろうし、授業の邪魔になるようだったらあちらの教室の先生や生徒達が注意することだろう。
少なくとも私の前で授業予定を説明するやや高齢の先生が気にしている様子はない。
来週もこの人数しかいないのであれば、次回から窓側の席に移動するのも手だろう。
あぶれた生徒がこちら側の教室にやってこなければ、の話だが。
これ以降の授業も、グルメマスターの存在を踏まえた上で選択する必要がありそうだ。今はまだ向かいの教室ではあるが、選択希望科目が被ったら受講は見送ることになるだろう。
案外、時間割に空白が出来そうだな~なんて思いながら、チャイムの合図で教室を後にするのだった。
それからやはりというべきか、グルメマスターが足を運ぶ授業はどこも早々に定員オーバーとなっていた。教室の座席を満たすほどの受講希望者が集まるなんて、教える側も先生冥利に尽きるというものだろう。
先生がグルメマスター信者ならば泣いて喜んでいるかもしれない。
先生や隣前後の生徒が失神せずに授業を受けられればいいが。
オリエンテーション3日目にして7つの授業で席を獲得出来なかった私は別の教室へと足を運ぶ。
今回は『薬学一般』から『植物学』へ。
第二化学室から植物室が隣接さえた生物室へは意外と距離が離れている。3階の端から1階の端までの移動は、運動不足気味な私には良い運動になりそうだ。座ってばかりじゃ身体も鈍ってしまう。大股早足で廊下を闊歩し、生物室へと辿り着いた時点で自分の失態に気がついた。
「メリンダ=ブラッカー……」
「義弟さん……」
決して意図して避けていた訳ではないが、まさかここで出会うことになるとは……。
この時間帯、男子生徒が受けられる授業は5教科も存在する。
単純計算で遭遇率は20%。
だが昨日一昨日と理系の授業に足を運んできたが、遭遇していないことを考えると確率はもっと下げてもいいだろう。
そのたった二割以下の確率を引き当ててしまった私はなんとも運が悪いようだ。
ここで受講を決めれば半年はこの時間、義弟さんと遭遇することになると思うと、自然と足はその場にピタリとくっついてしまう。
けれどそれは義弟さんも同じことのようで、嫌なものを見てしまったと歪めた顔を保って、その場から動こうともしない。
お前が諦めろとでも言いたいのだろうか。
だが同時刻に行われている科目のうち、二科目は男子生徒のみの受講で、一科目は定員オーバー。残る一つは算術だ。算術なんて、前世で義務教育期間中がっちりと算数と数学を教えられてきた私には不要である。今さらそろばんの使い方を教えられたところで頭に芽が生えるだけだ。
それなら空きにした方がマシ。
だけどここで一コマ犠牲にするのも……。
今のところ、グルメマスターとの授業かぶりはおよそ半分。今日はこれで終わりだが、明日明後日でどれだけ被るか分からない。易々と引き下がる訳にはいかないのだ。
私と義弟さんは互いに無言での威圧を行っていた。
けれどあっさりと終わりを告げる。
「あ、受講希望者さん? さぁ入って入って」
チャイムが鳴ったことでドアを閉めようとやってきた先生に回収されるように二人揃って中へと入る。
生徒は決して少なくはない。むしろグルメマスターが受講していない教科にしては多い方だ。
私が入ってすぐの席に腰を下ろすと、義弟さんはスタスタと真ん中まで進んで空いている席に決めたようだった。
これだけ離れていれば同じ授業を受けているからといって、気にすることはないのかもしれない。
ガイドブック? を参考にいくつか授業を増やしたため、予定以上に詰まってしまったが、オリエンテーション授業の週なんてこんなものだろう。
ちらほらと姿を消していく学生達を横目に、私は授業内容をプリントにメモしていく。
スキルの取得って多分この段階で行われるのだろうと、前期予定を見ながら当たりをつける。
それ以外の講義予定も興味が持てそうかではなく、睡眠時間にならずに済むかを前提として判断していく。
人数が少なく、先生も人が良さそうなこの授業はとりあえず続行、っと。
メモの端にマークを残して、唯一の欠点へと視線を向ける。
実はこの授業の受講者が少ないのには訳がある。
廊下を挟んで向かい側でも授業が行われているのだが、そこにグルメマスターが出席しているのだ。
まだオリエンテーションのため、本格的に受講するかはまだ定かではないのだが、教室の席を取り損ねた生徒達が教室の外に溢れている。
彼女の授業を邪魔しないよう、声を押さえてはいるのだろうが、いかんせん人数が多すぎる。
壁を挟んでも聞こえる声に、ドア側の席を取ったのは失敗だったかもしれないと反省する。
彼らも悪気はないのだろうし、授業の邪魔になるようだったらあちらの教室の先生や生徒達が注意することだろう。
少なくとも私の前で授業予定を説明するやや高齢の先生が気にしている様子はない。
来週もこの人数しかいないのであれば、次回から窓側の席に移動するのも手だろう。
あぶれた生徒がこちら側の教室にやってこなければ、の話だが。
これ以降の授業も、グルメマスターの存在を踏まえた上で選択する必要がありそうだ。今はまだ向かいの教室ではあるが、選択希望科目が被ったら受講は見送ることになるだろう。
案外、時間割に空白が出来そうだな~なんて思いながら、チャイムの合図で教室を後にするのだった。
それからやはりというべきか、グルメマスターが足を運ぶ授業はどこも早々に定員オーバーとなっていた。教室の座席を満たすほどの受講希望者が集まるなんて、教える側も先生冥利に尽きるというものだろう。
先生がグルメマスター信者ならば泣いて喜んでいるかもしれない。
先生や隣前後の生徒が失神せずに授業を受けられればいいが。
オリエンテーション3日目にして7つの授業で席を獲得出来なかった私は別の教室へと足を運ぶ。
今回は『薬学一般』から『植物学』へ。
第二化学室から植物室が隣接さえた生物室へは意外と距離が離れている。3階の端から1階の端までの移動は、運動不足気味な私には良い運動になりそうだ。座ってばかりじゃ身体も鈍ってしまう。大股早足で廊下を闊歩し、生物室へと辿り着いた時点で自分の失態に気がついた。
「メリンダ=ブラッカー……」
「義弟さん……」
決して意図して避けていた訳ではないが、まさかここで出会うことになるとは……。
この時間帯、男子生徒が受けられる授業は5教科も存在する。
単純計算で遭遇率は20%。
だが昨日一昨日と理系の授業に足を運んできたが、遭遇していないことを考えると確率はもっと下げてもいいだろう。
そのたった二割以下の確率を引き当ててしまった私はなんとも運が悪いようだ。
ここで受講を決めれば半年はこの時間、義弟さんと遭遇することになると思うと、自然と足はその場にピタリとくっついてしまう。
けれどそれは義弟さんも同じことのようで、嫌なものを見てしまったと歪めた顔を保って、その場から動こうともしない。
お前が諦めろとでも言いたいのだろうか。
だが同時刻に行われている科目のうち、二科目は男子生徒のみの受講で、一科目は定員オーバー。残る一つは算術だ。算術なんて、前世で義務教育期間中がっちりと算数と数学を教えられてきた私には不要である。今さらそろばんの使い方を教えられたところで頭に芽が生えるだけだ。
それなら空きにした方がマシ。
だけどここで一コマ犠牲にするのも……。
今のところ、グルメマスターとの授業かぶりはおよそ半分。今日はこれで終わりだが、明日明後日でどれだけ被るか分からない。易々と引き下がる訳にはいかないのだ。
私と義弟さんは互いに無言での威圧を行っていた。
けれどあっさりと終わりを告げる。
「あ、受講希望者さん? さぁ入って入って」
チャイムが鳴ったことでドアを閉めようとやってきた先生に回収されるように二人揃って中へと入る。
生徒は決して少なくはない。むしろグルメマスターが受講していない教科にしては多い方だ。
私が入ってすぐの席に腰を下ろすと、義弟さんはスタスタと真ん中まで進んで空いている席に決めたようだった。
これだけ離れていれば同じ授業を受けているからといって、気にすることはないのかもしれない。
16
あなたにおすすめの小説
知識スキルで異世界らいふ
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ
男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる
暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。
授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します
mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。
中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。
私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。
そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。
自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。
目の前に女神が現れて言う。
「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」
そう言われて私は首を傾げる。
「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」
そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。
神は書類を提示させてきて言う。
「これに書いてくれ」と言われて私は書く。
「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。
「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」
私は頷くと神は笑顔で言う。
「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。
ーーーーーーーーー
毎話1500文字程度目安に書きます。
たまに2000文字が出るかもです。
墓守の荷物持ち 遺体を回収したら世界が変わりました
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアレア・バリスタ
ポーターとしてパーティーメンバーと一緒にダンジョンに潜っていた
いつも通りの階層まで潜るといつもとは違う魔物とあってしまう
その魔物は僕らでは勝てない魔物、逃げるために必死に走った
だけど仲間に裏切られてしまった
生き残るのに必死なのはわかるけど、僕をおとりにするなんてひどい
そんな僕は何とか生き残ってあることに気づくこととなりました
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
幼女と執事が異世界で
天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。
当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった!
謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!?
おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。
オレの人生はまだ始まったばかりだ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる