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【6】エデンとルシウス
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心の中の真っ白な空間で、私とエデンは身を寄せ合うようにして眠った――こんな距離感で過ごすのは、子供のとき以来だ。
エデンは最初、私から離れた距離で仮眠を取っていた。
でも私は空虚な空間で寝転がるうちに不安になって……だからエデンに「近くで寝てもいい?」と尋ねてみた。
エデンは随分悩んでいたけれど、最終的には私の願いを聞いてくれた。すごく困った顔をしていたのはきっと、私が子供じみたお願いをしたからビックリしていたんだと思う。
……私ったら、本当にはしたないお願いをしちゃった。誰かに甘えるなんて、何年ぶりかしら?
でも今は余計なことを考えずに、しっかり眠って気力を蓄えておかないと。夜が明けたら、きっと慌ただしくなるのから。
――朝になれば、ルシウス様が何か言ってくるに違いない。昨夜の夜会の『でっちあげの不貞未遂』の件で、無理やり責めてくるかしら。それとも、ルシウス様を残して一人で帰ったことを非難するかもしれない。ルシウス様の顔を思い浮かべるだけで、恐怖がこみ上げてくる。
……でもきっと何とかなるわ。
今の私は、エデンと一緒なんだもの。
*
(――様、ヴィオラ様)
エデンに呼ばれて、わたしは目覚めた。
(……ん、もう朝?)
(そのようです)
確かに、まぶたの裏に朝日の気配を感じる。どれくらいの時間、眠っていたのだろう?
(今、部屋の外からノックの音が聞こえました)
(ノックの音? それはたぶん、リサだわ)
リサは毎朝7時ごろ私の部屋にやって来て、身支度を手伝ってくれる。
私が行くわ――とエデンに告げて、私は外の世界に意識を向けた。ベッドに横たわっていた体をのろのろと起こして、扉に向かって声を掛ける。
「入ってちょうだい」
「おはようございます、ヴィオラ様」
入室してきたのは、やはりリサだった。
いつものように手際よく身支度を手伝いながら、リサは「体調はどうですか?」と尋ねてきた。
「昨日は心配をかけてごめんなさい、リサ。私はもう大丈夫よ」
わたしが笑顔で答えると、リサも嬉しそうにしていた。
「それはよかったです! たしかに、いつもよりずっと顔色がいいですね。ヴィオラ様の笑顔、久しぶりに見たような気がします。いい夢でも見ましたか?」
「ええ。とてもいい夢よ。ずっと醒めないといいのだけれど」
「?」
私の支度を済ませてから、リサは部屋のテーブルに据え付けられた『魔導通信機』の手入れを始めた。この魔道具はこまめな手入れが必要だ。緻密な魔法陣が描かれた水盤型の『魔導通信機』には、白濁した液体が薄く張られている。
「……毎日、【魔塩】溶液を交換できるなんて、クラーヴァル家は本当にお金持ちでうらやましいですね」
リサは愚痴っぽい声でそう言いながら、水盤の中の古い液体を器具で吸い上げて手桶に取った。そして新しい液体を水盤に注ぎ直す。
「高価な魔塩を買い散らかして無駄遣いする余裕があるなら、そのお金をノイリス家に援助してくれたらいいのに。ヴィオラ様もそう思いません?」
【魔塩】というのは高純度の魔力が秘められた、塩に似た外見の鉱物だ。雪のように輝く真っ白な微粒子で、さまざまな魔道具の動力源になる。『魔導通信機』が稼働する際にも、魔塩が必須だ。魔塩を水に溶かして水盤に注ぐと、遠くはなれた場所に映像と音声を届けることができる。
魔道具の動力源として欠かせない魔塩だけれど、とても高価なので王家や公爵家レベルの超富裕層でなければぜいたくに使うことはできない。実家のノイリス家では、ほとんどお目にかかることはなかった。
「はぁ……ノイリス家は竜に領地を汚染されたせいで、復興もままならないっていうのに。クラーヴァル家はもともと大金持ちの上に竜の被害もゼロなんだから、世の中って本当に不公平ですよね」
「リサ、愚痴を言わないの。他の使用人に聞かれたらどうするの?」
「別に構いませんよ。他の使用人となんて、仲良くする気ありませんから、私」
そのとき、手入れを終えた『魔導通信機』の水盤から、青い光が発せられた。リサが不愉快そうに眉をひそめる。
「……あら、通信が入りましたよ。青い光ということは、旦那様ですね」
入電すると魔塩溶液が発光する仕様になっている。発光色を設定できて、クラーヴァル家ではルシウス様からの入電は青色という取り決めがある。
「出ますか? ヴィオラ様……」
「……そうね」
本当は出たくないけれど、無視する訳にもいかない。私が憂鬱な気分になっていると、
(俺が出ます)
という声と同時に、体の主導権をエデンに奪われてしまった。
(ちょ、ちょっとエデン、いきなり勝手に……)
抗議を無視して、私は勇ましい足取りでテーブルへと迫ると魔導通信機の通信をつないだ。
「お早うございます公爵閣下」
早速、私の口調は不自然だった。
ぎん、と鋭い目つきで水盤を覗き込み、私は水盤の向こうのルシウス様を睨みつけている。
ルシウス様は、こちらの反応が予想外だったのか少したじろいでいる様子だ。
「……おはよう、ヴィオラ。昨日は先に帰らせて済まなかったね」
「構いません、私の望んだことです」
「……そうかい? これから一緒に、朝食でもどうかな」
「閣下が私と朝食を?」
「ああ。君と話がしたくてね」
どんな話だろう……?
妻を暴漢に襲わせておいて、翌朝「一緒に食事を」と誘ってくる人の心理なんて、まるで想像できない。
得体が知れなくて、気持ち悪い。……顔も見たくない。
「承知いたしました、これより馳せ参じます」
私の気持ちと裏腹に、エデンは申し出に乗って通信を終えていた。
(――エデン!?)
「問題ありません、ヴィオラ様。虎穴に入らずんば、虎子を得ずです。まずは相手の出方を見に行きましょう」
ぶつぶつと独り言を呟いている私を見て、リサが心配そうに声を掛けてきた。
「だ、大丈夫ですかヴィオラ様?」
「案ずるなリサ、もちろん大丈夫だ。公爵閣下は私との語り合いをお望みらしい――なんなら拳で語り合ってやりたいくらいだが、まぁひとまず平和的に行くとしよう」
ふふふふふ、と笑いながら、私は食堂へ向かった。
*
食堂では、すでに着席したルシウス様が私を待っていた。
着席を促され、私はルシウス様の対面に座る。
「昨日は心配したよ、ヴィオラ。体調はもう大丈夫なのかい?」
「一切問題ございません」
私は怜悧な笑顔で即答した。その即答ぶりが意外だったのか、ルシウス様は表情を落としてこちらを観察していた。
「君が元気で何よりだ」
意外なことに、ルシウス様はすまし顔でそう言ってきた。あからさまにこちらを追い詰めるつもりはないらしい……少なくとも、今のところは。
私の動向が予測不能すぎるから、ひとまずは出方を伺うつもりなのかもしれない。
「それでは、食事にしよう」
「かしこまりました、閣下」
私《エデン》とルシウス様の、静かな食事が始まった。
お互いに言葉を発さず、カトラリーの音も立てずに食事を口へと運んでいく。
両者とも、相手の出方を伺って無言を貫いている。
ルシウス様にとって、昨晩の私の挙動は完全な想定外だったに違いない。本来ならばあの場で不貞をでっち上げ、『妻の有責による離婚』へ持ち込もうとしていたはずなのだから。
――ルシウス様とフラメ女伯爵が私に対してやったことは、明らかな共謀罪だ。こんな横暴が許されて良いはずはない。だけれど証拠も証人もないから、裁判所に訴えても勝てない。
私は圧倒的な弱者で、ルシウス様は権力も富も有する強者。……悔しいけれど、それが事実だ。
私が夜会のことに言及しないのと同様に、ルシウス様も何も言わない。お互いに腹の探り合いだ。
「……ところで、ヴィオラ」
やがてルシウス様は、朝食用ワインを口にしながら声をかけてきた。
「王都にいつまで滞在する予定だい?」
「可及的速やかに公爵領へ戻る所存です。閣下は引き続き王都にお住まいでしょうか?」
「ああ。こちらでやる仕事が色々とあるからね」
ルシウス様と会話しながら、私は食事を口に運んでいた。
私の前に並ぶ食事は、ルシウス様とは別メニューだ。ルシウス様が食べているのが一般的な上流貴族の朝食であるのに対し、私の食事はいわゆる『病人食』――長時間煮込んだ魚料理やスープ、オートミールの粥や柔らかいパンなどだ。数か月ずっと体調不良が続いているから、通常食だと私は胃もたれを起こしてしまう。
私はパンを手に取って、小さく千切ると口に運んだ。咀嚼し始めた次の瞬間――。
ぴくり、と。
ルシウス様に気取られないほど微かに、私は全身を硬直させた。
一体どうしたのだろう?
「………………」
私は、ゆっくりとテーブルに手を置いた。
「閣下。せっかくのお食事ですが、私はやはり体調が優れません。不躾ながら退席をお許しください」
「ああ。構わないよ。大丈夫かい?」
「少し休めば、問題ないかと。失礼いたします」
深々と礼をすると、私は食堂から去っていった。
そして自室に戻るなり、私は口の中に含んでいたパンを吐き出した。忌々しげに舌打ちをしている。
(どうしたの、エデン?)
「ヴィオラ様。あなたは、あんな食事を毎日食べさせられていたんですね……」
私はわなわなと肩を震わせていた。
「あなたの頭痛や吐き気の原因が分かりましたよ。ヴィオラ様の食事には、薬物が盛られています」
(!?)
――薬物?
私は呆然としながら、エデンの声を聞いていた。
エデンは最初、私から離れた距離で仮眠を取っていた。
でも私は空虚な空間で寝転がるうちに不安になって……だからエデンに「近くで寝てもいい?」と尋ねてみた。
エデンは随分悩んでいたけれど、最終的には私の願いを聞いてくれた。すごく困った顔をしていたのはきっと、私が子供じみたお願いをしたからビックリしていたんだと思う。
……私ったら、本当にはしたないお願いをしちゃった。誰かに甘えるなんて、何年ぶりかしら?
でも今は余計なことを考えずに、しっかり眠って気力を蓄えておかないと。夜が明けたら、きっと慌ただしくなるのから。
――朝になれば、ルシウス様が何か言ってくるに違いない。昨夜の夜会の『でっちあげの不貞未遂』の件で、無理やり責めてくるかしら。それとも、ルシウス様を残して一人で帰ったことを非難するかもしれない。ルシウス様の顔を思い浮かべるだけで、恐怖がこみ上げてくる。
……でもきっと何とかなるわ。
今の私は、エデンと一緒なんだもの。
*
(――様、ヴィオラ様)
エデンに呼ばれて、わたしは目覚めた。
(……ん、もう朝?)
(そのようです)
確かに、まぶたの裏に朝日の気配を感じる。どれくらいの時間、眠っていたのだろう?
(今、部屋の外からノックの音が聞こえました)
(ノックの音? それはたぶん、リサだわ)
リサは毎朝7時ごろ私の部屋にやって来て、身支度を手伝ってくれる。
私が行くわ――とエデンに告げて、私は外の世界に意識を向けた。ベッドに横たわっていた体をのろのろと起こして、扉に向かって声を掛ける。
「入ってちょうだい」
「おはようございます、ヴィオラ様」
入室してきたのは、やはりリサだった。
いつものように手際よく身支度を手伝いながら、リサは「体調はどうですか?」と尋ねてきた。
「昨日は心配をかけてごめんなさい、リサ。私はもう大丈夫よ」
わたしが笑顔で答えると、リサも嬉しそうにしていた。
「それはよかったです! たしかに、いつもよりずっと顔色がいいですね。ヴィオラ様の笑顔、久しぶりに見たような気がします。いい夢でも見ましたか?」
「ええ。とてもいい夢よ。ずっと醒めないといいのだけれど」
「?」
私の支度を済ませてから、リサは部屋のテーブルに据え付けられた『魔導通信機』の手入れを始めた。この魔道具はこまめな手入れが必要だ。緻密な魔法陣が描かれた水盤型の『魔導通信機』には、白濁した液体が薄く張られている。
「……毎日、【魔塩】溶液を交換できるなんて、クラーヴァル家は本当にお金持ちでうらやましいですね」
リサは愚痴っぽい声でそう言いながら、水盤の中の古い液体を器具で吸い上げて手桶に取った。そして新しい液体を水盤に注ぎ直す。
「高価な魔塩を買い散らかして無駄遣いする余裕があるなら、そのお金をノイリス家に援助してくれたらいいのに。ヴィオラ様もそう思いません?」
【魔塩】というのは高純度の魔力が秘められた、塩に似た外見の鉱物だ。雪のように輝く真っ白な微粒子で、さまざまな魔道具の動力源になる。『魔導通信機』が稼働する際にも、魔塩が必須だ。魔塩を水に溶かして水盤に注ぐと、遠くはなれた場所に映像と音声を届けることができる。
魔道具の動力源として欠かせない魔塩だけれど、とても高価なので王家や公爵家レベルの超富裕層でなければぜいたくに使うことはできない。実家のノイリス家では、ほとんどお目にかかることはなかった。
「はぁ……ノイリス家は竜に領地を汚染されたせいで、復興もままならないっていうのに。クラーヴァル家はもともと大金持ちの上に竜の被害もゼロなんだから、世の中って本当に不公平ですよね」
「リサ、愚痴を言わないの。他の使用人に聞かれたらどうするの?」
「別に構いませんよ。他の使用人となんて、仲良くする気ありませんから、私」
そのとき、手入れを終えた『魔導通信機』の水盤から、青い光が発せられた。リサが不愉快そうに眉をひそめる。
「……あら、通信が入りましたよ。青い光ということは、旦那様ですね」
入電すると魔塩溶液が発光する仕様になっている。発光色を設定できて、クラーヴァル家ではルシウス様からの入電は青色という取り決めがある。
「出ますか? ヴィオラ様……」
「……そうね」
本当は出たくないけれど、無視する訳にもいかない。私が憂鬱な気分になっていると、
(俺が出ます)
という声と同時に、体の主導権をエデンに奪われてしまった。
(ちょ、ちょっとエデン、いきなり勝手に……)
抗議を無視して、私は勇ましい足取りでテーブルへと迫ると魔導通信機の通信をつないだ。
「お早うございます公爵閣下」
早速、私の口調は不自然だった。
ぎん、と鋭い目つきで水盤を覗き込み、私は水盤の向こうのルシウス様を睨みつけている。
ルシウス様は、こちらの反応が予想外だったのか少したじろいでいる様子だ。
「……おはよう、ヴィオラ。昨日は先に帰らせて済まなかったね」
「構いません、私の望んだことです」
「……そうかい? これから一緒に、朝食でもどうかな」
「閣下が私と朝食を?」
「ああ。君と話がしたくてね」
どんな話だろう……?
妻を暴漢に襲わせておいて、翌朝「一緒に食事を」と誘ってくる人の心理なんて、まるで想像できない。
得体が知れなくて、気持ち悪い。……顔も見たくない。
「承知いたしました、これより馳せ参じます」
私の気持ちと裏腹に、エデンは申し出に乗って通信を終えていた。
(――エデン!?)
「問題ありません、ヴィオラ様。虎穴に入らずんば、虎子を得ずです。まずは相手の出方を見に行きましょう」
ぶつぶつと独り言を呟いている私を見て、リサが心配そうに声を掛けてきた。
「だ、大丈夫ですかヴィオラ様?」
「案ずるなリサ、もちろん大丈夫だ。公爵閣下は私との語り合いをお望みらしい――なんなら拳で語り合ってやりたいくらいだが、まぁひとまず平和的に行くとしよう」
ふふふふふ、と笑いながら、私は食堂へ向かった。
*
食堂では、すでに着席したルシウス様が私を待っていた。
着席を促され、私はルシウス様の対面に座る。
「昨日は心配したよ、ヴィオラ。体調はもう大丈夫なのかい?」
「一切問題ございません」
私は怜悧な笑顔で即答した。その即答ぶりが意外だったのか、ルシウス様は表情を落としてこちらを観察していた。
「君が元気で何よりだ」
意外なことに、ルシウス様はすまし顔でそう言ってきた。あからさまにこちらを追い詰めるつもりはないらしい……少なくとも、今のところは。
私の動向が予測不能すぎるから、ひとまずは出方を伺うつもりなのかもしれない。
「それでは、食事にしよう」
「かしこまりました、閣下」
私《エデン》とルシウス様の、静かな食事が始まった。
お互いに言葉を発さず、カトラリーの音も立てずに食事を口へと運んでいく。
両者とも、相手の出方を伺って無言を貫いている。
ルシウス様にとって、昨晩の私の挙動は完全な想定外だったに違いない。本来ならばあの場で不貞をでっち上げ、『妻の有責による離婚』へ持ち込もうとしていたはずなのだから。
――ルシウス様とフラメ女伯爵が私に対してやったことは、明らかな共謀罪だ。こんな横暴が許されて良いはずはない。だけれど証拠も証人もないから、裁判所に訴えても勝てない。
私は圧倒的な弱者で、ルシウス様は権力も富も有する強者。……悔しいけれど、それが事実だ。
私が夜会のことに言及しないのと同様に、ルシウス様も何も言わない。お互いに腹の探り合いだ。
「……ところで、ヴィオラ」
やがてルシウス様は、朝食用ワインを口にしながら声をかけてきた。
「王都にいつまで滞在する予定だい?」
「可及的速やかに公爵領へ戻る所存です。閣下は引き続き王都にお住まいでしょうか?」
「ああ。こちらでやる仕事が色々とあるからね」
ルシウス様と会話しながら、私は食事を口に運んでいた。
私の前に並ぶ食事は、ルシウス様とは別メニューだ。ルシウス様が食べているのが一般的な上流貴族の朝食であるのに対し、私の食事はいわゆる『病人食』――長時間煮込んだ魚料理やスープ、オートミールの粥や柔らかいパンなどだ。数か月ずっと体調不良が続いているから、通常食だと私は胃もたれを起こしてしまう。
私はパンを手に取って、小さく千切ると口に運んだ。咀嚼し始めた次の瞬間――。
ぴくり、と。
ルシウス様に気取られないほど微かに、私は全身を硬直させた。
一体どうしたのだろう?
「………………」
私は、ゆっくりとテーブルに手を置いた。
「閣下。せっかくのお食事ですが、私はやはり体調が優れません。不躾ながら退席をお許しください」
「ああ。構わないよ。大丈夫かい?」
「少し休めば、問題ないかと。失礼いたします」
深々と礼をすると、私は食堂から去っていった。
そして自室に戻るなり、私は口の中に含んでいたパンを吐き出した。忌々しげに舌打ちをしている。
(どうしたの、エデン?)
「ヴィオラ様。あなたは、あんな食事を毎日食べさせられていたんですね……」
私はわなわなと肩を震わせていた。
「あなたの頭痛や吐き気の原因が分かりましたよ。ヴィオラ様の食事には、薬物が盛られています」
(!?)
――薬物?
私は呆然としながら、エデンの声を聞いていた。
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