彼を傷つける者は許さない!私が皆叩き潰して差し上げましょう

Karamimi

文字の大きさ
27 / 36

第27話:ルーカス様が助けに来てくれましたが…

しおりを挟む
「離して、このバカ魔王!」

バシバシ胸を叩いて暴れるが、全く歯が立たない。そして滝まで来ると、そのまま滝に向かって飛んでいく魔王。ちょっと、何をしているの?そう思ったが、滝の中に洞窟があった様で、そのまま中へと進んでいく。

しばらく進むと、開けた場所に着いた。その場に降ろされた私は、すぐに魔王から離れ、隅に隠れた。

「ここが俺の住処だ。今日からお前も、ここで暮らす。欲しいものは何でも与えてやろう。でもその前に…」

ニヤリと笑いながら近づいてくる魔王。恐怖で足がすくむ。

「あの…魔王。どうして私をこんな場所に連れて来たの?あなたの目的はなに?」

魔王は人間が自分の領域に踏み込まない限り、自ら人間を襲う事はないと聞く。だから討伐部隊も、滝までの討伐を目的としている。滝より向こうが、魔王の領域だからだ。それなのに、なぜわざわざ私を連れ去ったの?

「いいだろう、教えてやろう。お前は俺がずっと探し求めていた魔力を持っているからだ。魔王の命は、5000年と言われている。でも、光の魔力を持つ人間と交わる事で、永遠の命を手に入れる事が出来るんだ。そう、お前がその光の魔力の持ち主だ」

「光の魔力?そんなものは持っていないわ」

「いいや、持っている。お前、小さい頃体が弱かっただろう?小さな体では、上手く魔力を抑えきれないからだ。それから、攻撃魔法が苦手なはずだ。その代わり、治癒魔法に優れている。どうだ、違うか?」

魔王が言った事は、全て当たっている。

「光の魔力を持った人間は、中々生まれてこないうえ、この森の、それも奥まで足を踏み入れないと、俺も感じる事が出来ない。だから、歴代の魔王たちは、皆光の魔力の持ち主を手に入れることなく、命を落とした。俺も後1000年もすれば、命を落とす。でもお前が現れ、俺の元にやって来た。俺はこの機会の逃すつもりはない!」

ゆっくりと私の元に近づいてくる魔王。

「ちょっと待って、さっき交わると言ったわよね。交わるとは…」

「お前は本気で聞いているのか?男女の仲になるという事だ。俺はお前を抱けば、永遠の命が手に入るんだよ。ただ…リスクもあるがな…大丈夫だ、優しくしてやる」

「何が優しくしてやるよ!ふざけないで。私には、ルーカス様と言う婚約者がいるのよ。だから、あなたとそういった事をするつもりはないわ。私はもう帰る」

クルリと反対方向を向き、来た道を戻ろうとするが…

「お前はどうやら頭が良くないみたいだな。俺が返すと思っているのか?でも…まあいい。お前の婚約者と思われる男どもが、俺の領域に入ってきたぞ。そいつらを始末してから、お前を抱くとするか」

えっ…ルーカス様が。まさか…

「アリシア、大丈夫か!」

魔王の言葉通り、ルーカス様とヴィーノお兄様、バランお兄様がやって来た。

「ルーカス様」

急いでルーカス様の元に向かおうとしたのだが、すぐに魔王に腕を掴まれた。

「あの水色の髪の男が、お前の婚約者か」

「アリシアを放せ」

3人が私たちの方に向かって走って来る。私が魔王と一緒にいるから、攻撃魔法が使えないのだろう。次の瞬間。

「ウァァァァ」

魔王の放った攻撃魔法を受け、3人は吹き飛ばされていった。

「ルーカス様!ヴィーノお兄様!バランお兄様!」

急いで3人の元に駆けつけようとするが、再び腕を掴まれ、動く事が出来ない。

「アリ…シア」

よかった、3人とも生きている様だ。でも…

「ルーカス様、ヴィーノお兄様、バランお兄様、どうかこの洞窟からお逃げください。このままでは、あなた様達のお命が」

「…いいや…アリシアを置いて…逃げるつもりはない…君は俺の…生きる希望なのだから…君のいない人生なんて…俺には考えられない…」

「ルーカス様…」

そんなルーカス様達に再び近づく魔王。

「お願い、魔王。やめて。これ以上ルーカス様を傷つけないで。お願い」

魔王の腕を掴み、必死に訴えた。

「黙れ!俺に指図するな。俺は誰かに指図されるのは虫唾が走るほど嫌いなんだ!あいつらは今から抹殺する。遺体が残らない程、粉々にしてやるかよ」

ニヤリと笑った魔王。その微笑は、ぞっとする程恐ろしかった。

「止めて…お願い…」

ゆっくりルーカス様に近づく魔王。そして、手をかざした。このままでは、本当にルーカス様が死んじゃう。私のせいで…

それだけは、絶対に嫌だ!

「止めて…お願い。止めて!…止めろって、言ってるだろうが!!!!」

今までに感じた事のない感情が、一気にあふれ出す。それと共に、体中から魔力が沸き上がり、一気に放出した。

「何だこの光は…」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】あなたのいない世界、うふふ。

やまぐちこはる
恋愛
17歳のヨヌク子爵家令嬢アニエラは栗毛に栗色の瞳の穏やかな令嬢だった。近衛騎士で伯爵家三男、かつ騎士爵を賜るトーソルド・ロイリーと幼少から婚約しており、成人とともに政略的な結婚をした。 しかしトーソルドには恋人がおり、結婚式のあと、初夜を迎える前に出たまま戻ることもなく、一人ロイリー騎士爵家を切り盛りするはめになる。 とはいえ、アニエラにはさほどの不満はない。結婚前だって殆ど会うこともなかったのだから。 =========== 感想は一件づつ個別のお返事ができなくなっておりますが、有り難く拝読しております。 4万文字ほどの作品で、最終話まで予約投稿済です。お楽しみいただけましたら幸いでございます。

【完結】公爵子息は私のことをずっと好いていたようです

果実果音
恋愛
私はしがない伯爵令嬢だけれど、両親同士が仲が良いということもあって、公爵子息であるラディネリアン・コールズ様と婚約関係にある。 幸い、小さい頃から話があったので、意地悪な元婚約者がいるわけでもなく、普通に婚約関係を続けている。それに、ラディネリアン様の両親はどちらも私を可愛がってくださっているし、幸せな方であると思う。 ただ、どうも好かれているということは無さそうだ。 月に数回ある顔合わせの時でさえ、仏頂面だ。 パーティではなんの関係もない令嬢にだって笑顔を作るのに.....。 これでは、結婚した後は別居かしら。 お父様とお母様はとても仲が良くて、憧れていた。もちろん、ラディネリアン様の両親も。 だから、ちょっと、別居になるのは悲しいかな。なんて、私のわがままかしらね。

【完結】婚約破棄された令嬢の毒はいかがでしょうか

まさかの
恋愛
皇太子の未来の王妃だったカナリアは突如として、父親の罪によって婚約破棄をされてしまった。 己の命が助かる方法は、友好国の悪評のある第二王子と婚約すること。 カナリアはその提案をのんだが、最初の夜会で毒を盛られてしまった。 誰も味方がいない状況で心がすり減っていくが、婚約者のシリウスだけは他の者たちとは違った。 ある時、シリウスの悪評の原因に気付いたカナリアの手でシリウスは穏やかな性格を取り戻したのだった。 シリウスはカナリアへ愛を囁き、カナリアもまた少しずつ彼の愛を受け入れていく。 そんな時に、義姉のヒルダがカナリアへ多くの嫌がらせを行い、女の戦いが始まる。 嫁いできただけの女と甘く見ている者たちに分からせよう。 カナリア・ノートメアシュトラーセがどんな女かを──。 小説家になろう、エブリスタ、アルファポリス、カクヨムで投稿しています。

【完結】番である私の旦那様

桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族! 黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。 バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。 オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。 気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。 でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!) 大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです! 神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。 前半は転移する前の私生活から始まります。

公爵令嬢の辿る道

ヤマナ
恋愛
公爵令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフは、迎えた5度目の生に絶望した。 家族にも、付き合いのあるお友達にも、慕っていた使用人にも、思い人にも、誰からも愛されなかったエリーナは罪を犯して投獄されて凍死した。 それから生を繰り返して、その度に自業自得で凄惨な末路を迎え続けたエリーナは、やがて自分を取り巻いていたもの全てからの愛を諦めた。 これは、愛されず、しかし愛を求めて果てた少女の、その先の話。 ※暇な時にちょこちょこ書いている程度なので、内容はともかく出来についてはご了承ください。 追記  六十五話以降、タイトルの頭に『※』が付いているお話は、流血表現やグロ表現がございますので、閲覧の際はお気を付けください。

元聖女になったんですから放っておいて下さいよ

風見ゆうみ
恋愛
私、ミーファ・ヘイメルは、ローストリア国内に五人いる聖女の内の一人だ。 ローストリア国の聖女とは、聖なる魔法と言われる、回復魔法を使えたり魔族や魔物が入ってこれない様な結界を張れる人間の事を言う。 ある日、恋愛にかまけた四人の聖女達の内の一人が張った結界が破られ、魔物が侵入してしまう出来事が起きる。 国王陛下から糾弾された際、私の担当した地域ではないのに、四人そろって私が悪いと言い出した。 それを信じた国王陛下から王都からの追放を言い渡された私を、昔からの知り合いであり辺境伯の令息、リューク・スコッチが自分の屋敷に住まわせると進言してくれる。 スコッチ家に温かく迎えられた私は、その恩に報いる為に、スコッチ領内、もしくは旅先でのみ聖女だった頃にしていた事と同じ活動を行い始める。 新しい暮らしに慣れ始めた頃には、私頼りだった聖女達の粗がどんどん見え始め、私を嫌っていたはずの王太子殿下から連絡がくるようになり…。 ※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定も緩くご都合主義です。魔法も存在します。作者の都合の良い世界観や設定であるとご了承いただいた上でお読み下さいませ。 ※クズがいますので、ご注意下さい。

屈強なお母さん(男)が出来ました

まる
恋愛
婚約はしていなかったけれど、成人したら結婚すると信じていた幼馴染みにふられてしまった。 ふらふらと頼りなく歩いていた私に心配し、声を掛けてくれた騎士様。 「俺がお母さんになろう」 何故そうなったかわからないが、幼馴染みの事も何もかもお空の彼方へぶっ飛ばしてくれた。 そんな屈強な『お母さん』とふられてしまった彼女は一体どうなるのでしょうか。 ○○○○○○○○○○ 背景はふんわりです。何も考えずにスッと読んでいただければ幸いですm(_ _)m 読んで下さった方、しおり、お気に入り登録どうもありがとうございました(o^^o)

【完結】さっさと婚約破棄が皆のお望みです

井名可乃子
恋愛
年頃のセレーナに降って湧いた縁談を周囲は歓迎しなかった。引く手あまたの伯爵がなぜ見ず知らずの子爵令嬢に求婚の手紙を書いたのか。幼い頃から番犬のように傍を離れない年上の幼馴染アンドリューがこの結婚を認めるはずもなかった。 「婚約破棄されてこい」 セレーナは未来の夫を試す為に自らフラれにいくという、アンドリューの世にも馬鹿げた作戦を遂行することとなる。子爵家の一人娘なんだからと屁理屈を並べながら伯爵に敵意丸出しの幼馴染に、呆れながらも内心ほっとしたのがセレーナの本音だった。 伯爵家との婚約発表の日を迎えても二人の関係は変わらないはずだった。アンドリューに寄り添う知らない女性を見るまでは……。

処理中です...