婚約者と親友に裏切られた伯爵令嬢は侯爵令息に溺愛される

Karamimi

文字の大きさ
10 / 55

第10話:いつまでも意地を張っていても無駄なのに~ジェファーソン視点~

しおりを挟む
屋敷に戻るとすぐに、執事がやって来た。

「坊ちゃま、先ほどカスタヌーン伯爵家の者が手紙を持ってまいりました」

「分かったよ、ありがとう」

きっとマリン嬢からの手紙だろう。彼女は僕の家に定期的に手紙を送って来るのだ。今までは密会する日時指定などの連絡だった。悪いがもう、彼女と体を交わすつもりはない。大切なマーガレットを傷つけてしまった今、これ以上マーガレットを裏切る事はしなくないのだ。

ただ、さすがにこのタイミングで、密会の連絡はないはずだ。そう思った僕は、すぐに手紙の内容を確認する。どうやら今後の対応について話し合いたいため、明日の早朝、校舎裏に来て欲しいと書かれていた。

確かにマリン譲とは、口裏を合わせておく必要があるだろう。そう思った僕は、翌日朝一に、学院の校舎裏へと向かった。すると、既にマリン嬢が来ていた。

「ジェファーソン様、わざわざお呼び立てしてごめんなさい。昨日の件で、ある程度話を詰めておいた方がいいと思いまして」

そう言ってにっこり笑ったマリン嬢。

「マリン嬢、君が僕を誘惑したせいで、マーガレットは深く傷ついた。昨日だって、婚約破棄したいと騒いで大変だったのだぞ。悪いがもう二度と、君に会うつもりはない。ただ…君とはある程度口裏を合わせておいた方がいいと思ったから、とりあえず来た。それで、君はどうしようと考えているのだい?」

あんな姿をマーガレットに見られたのだ。マーガレットは僕だけでなく、マリン嬢にも嫌悪感を抱いているに違いない。今まで仲が良かった2人が急によそよそしくなったら、周りも何か勘ぐるだろう。万が一僕とマリン嬢の不貞がバレたら…

そう考えると、気が気ではないのだ。

「落ち着いて下さい。マーガレットがギャーギャー騒ぐ前に、マーガレットを悪者にしてしまおうと考えているのです」

マリン嬢がニヤリと笑った。この女、何を言っているのだ?マーガレットを悪者にするだなんて…

「いいですか、ジェファーソン様、私たちはただ、マーガレットについて話をしていただけです。それなのにマーガレットが私たちに嫉妬して、私やジェファーソン様に一方的に暴言を吐いたと言う事にしましょう」

そんな事をしたら、マーガレットがもっと傷つく。それに、クラスメイトからの評判も、落ちてしまう。でも…

「マーガレットを悪者にする事で、誰もマーガレットの言う事を聞かなくなると言う事か。確かに今は、それしか方法がないかもしれないね。それに、マーガレットも孤立すれば、僕に頼ってくるかもしれないし…」

唯一の親友でもあるマリン嬢に裏切られ、さらに学院でも孤立して独りぼっちになったところで、僕が優しくしてあげれば、きっとマーガレットは今まで以上に僕に依存するだろう。そうなれば、僕たちの仲も深まり、一石二鳥という訳か。そもそもマーガレットには、僕さえいればいいとずっと思っていたんだ。

「それではそうしましょう。せっかくですから、今から愛し合いますか?」

何を思ったのか、僕に寄り添って来たマリン嬢。この女は一体何を考えているのだ!

「マリン嬢、いい加減にしてくれ。僕が愛しているのは、マーガレットただ1人だ。とにかくしばらくは、もう君とは関わらないから!」

「あら、そうなのですね。それは残念。それじゃあ、ほとぼりが冷めたら、また密会しましょう。それでは後程」

マリン嬢が笑顔で去っていった。そしてマリン嬢は、完璧な演技でマーガレットを悪者に仕立て上げたのだ。その結果、マーガレットは完全に孤立してしまった。

僕は孤立したマーガレットに寄り添い、信用を回復しようと努めるが

「申し訳ございませんが、もう私に構わないで下さい」

そう言ってあしらわれるのだ。僕をあしらえばあしらうほど、マーガレットの評判は落ちていく。さらに僕とマリン嬢の不貞の証拠を掴もうとしているのか、よく僕たちを尾行している。そんな事をしても無駄なのに。もう僕たちは会っていないのだから。


毎日令嬢や令息たちから陰口をたたかれ、無視されて1人寂しく過ごすマーガレットの姿を見ていると、胸が痛む。

いい加減僕を受け入れてくれたら、マーガレットも楽になるのに。何度そう伝えても、頑なに僕を拒絶するのだ。

本当に頑固な子だな…

どんなに僕を拒絶しても、絶対に婚約破棄なんて出来ないのに。いずれ僕と結婚する運命なら、辛い思いをせずに僕を受け入れればいいだけだ。

でも…本人が僕を受け入れたくないと抵抗するなら仕方がない。きっとマーガレットもそのうち気が付くだろう。

自分にはもう、僕しかいないという事を。素直に僕を受け入れた暁には、全身全霊でマーガレットを可愛がってあげよう。

マーガレット、僕はずっと君が僕の元に来るのを待っているよ。どうせ僕から逃げられないのだから、いい加減素直になってくれ。

君が心から安らげる場所は、もうここしかないのだから…


※次回、マーガレット視点に戻ります。
よろしくお願いいたします。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

我慢するだけの日々はもう終わりにします

風見ゆうみ
恋愛
「レンウィル公爵も素敵だけれど、あなたの婚約者も素敵ね」伯爵の爵位を持つ父の後妻の連れ子であるロザンヌは、私、アリカ・ルージーの婚約者シーロンをうっとりとした目で見つめて言った――。 学園でのパーティーに出席した際、シーロンからパーティー会場の入口で「今日はロザンヌと出席するから、君は1人で中に入ってほしい」と言われた挙げ句、ロザンヌからは「あなたにはお似合いの相手を用意しておいた」と言われ、複数人の男子生徒にどこかへ連れ去られそうになってしまう。 そんな私を助けてくれたのは、ロザンヌが想いを寄せている相手、若き公爵ギルバート・レンウィルだった。 ※本編完結しましたが、番外編を更新中です。 ※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。 ※独特の世界観です。 ※中世〜近世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物など、その他諸々は現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっています。 ※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。

【完結】愛してるなんて言うから

空原海
恋愛
「メアリー、俺はこの婚約を破棄したい」  婚約が決まって、三年が経とうかという頃に切り出された婚約破棄。  婚約の理由は、アラン様のお父様とわたしのお母様が、昔恋人同士だったから。 ――なんだそれ。ふざけてんのか。  わたし達は婚約解消を前提とした婚約を、互いに了承し合った。 第1部が恋物語。 第2部は裏事情の暴露大会。親世代の愛憎確執バトル、スタートッ! ※ 一話のみ挿絵があります。サブタイトルに(※挿絵あり)と表記しております。  苦手な方、ごめんなさい。挿絵の箇所は、するーっと流してくださると幸いです。

氷の騎士様は実は太陽の騎士様です。

りつ
恋愛
 イリスの婚約者は幼馴染のラファエルである。彼と結婚するまで遠い修道院の寄宿学校で過ごしていたが、十八歳になり、王都へ戻って来た彼女は彼と結婚できる事実に胸をときめかせていた。しかし両親はラファエル以外の男性にも目を向けるよう言い出し、イリスは戸惑ってしまう。  王女殿下や王太子殿下とも知り合い、ラファエルが「氷の騎士」と呼ばれていることを知ったイリス。離れている間の知らなかったラファエルのことを令嬢たちの口から聞かされるが、イリスは次第に違和感を抱き始めて…… ※他サイトにも掲載しています ※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました

【完結】気味が悪いと見放された令嬢ですので ~殿下、無理に愛さなくていいのでお構いなく~

Rohdea
恋愛
───私に嘘は通じない。 だから私は知っている。あなたは私のことなんて本当は愛していないのだと── 公爵家の令嬢という身分と魔力の強さによって、 幼い頃に自国の王子、イライアスの婚約者に選ばれていた公爵令嬢リリーベル。 二人は幼馴染としても仲良く過ごしていた。 しかし、リリーベル十歳の誕生日。 嘘を見抜ける力 “真実の瞳”という能力に目覚めたことで、 リリーベルを取り巻く環境は一変する。 リリーベルの目覚めた真実の瞳の能力は、巷で言われている能力と違っていて少々特殊だった。 そのことから更に気味が悪いと親に見放されたリリーベル。 唯一、味方となってくれたのは八歳年上の兄、トラヴィスだけだった。 そして、婚約者のイライアスとも段々と距離が出来てしまう…… そんな“真実の瞳”で視てしまった彼の心の中は─── ※『可愛い妹に全てを奪われましたので ~あなた達への未練は捨てたのでお構いなく~』 こちらの作品のヒーローの妹が主人公となる話です。 めちゃくちゃチートを発揮しています……

婚約破棄された竜好き令嬢は黒竜様に溺愛される。残念ですが、守護竜を捨てたこの国は滅亡するようですよ

水無瀬
ファンタジー
竜が好きで、三度のご飯より竜研究に没頭していた侯爵令嬢の私は、婚約者の王太子から婚約破棄を突きつけられる。 それだけでなく、この国をずっと守護してきた黒竜様を捨てると言うの。 黒竜様のことをずっと研究してきた私も、見せしめとして処刑されてしまうらしいです。 叶うなら、死ぬ前に一度でいいから黒竜様に会ってみたかったな。 ですが、私は知らなかった。 黒竜様はずっと私のそばで、私を見守ってくれていたのだ。 残念ですが、守護竜を捨てたこの国は滅亡するようですよ?

【完結】田舎暮らしを都会でしているの?と思ったらここはどうやら異世界みたいです。

まりぃべる
恋愛
私、春日凛。 24歳、しがない中小企業の会社員。 …だったはずなんだけど、いつの間にかアスファルトではなくて石畳の街並みに迷い込んでいたみたい。 病院じゃないの? ここどこ?どうして?やっぱり私死んじゃったの!? パン屋のおじさんとおばさんに拾ってもらって、異世界で生きていきます! …そして、どうにかこうにかあって幸せになっちゃうお話です。 ☆28話で完結です。もう出来てますので、随時更新していきます。 ☆この国での世界観です。よろしくお願いします。

地味令嬢は冤罪で処刑されて逆行転生したので、華麗な悪女を目指します!~目隠れ美形の天才王子に溺愛されまして~

胡蝶乃夢
恋愛
婚約者である王太子の望む通り『理想の淑女』として尽くしてきたにも関わらず、婚約破棄された挙句に冤罪で処刑されてしまった公爵令嬢ガーネット。 時間が遡り目覚めたガーネットは、二度と自分を犠牲にして尽くしたりしないと怒り、今度は自分勝手に生きる『華麗な悪女』になると決意する。 王太子の弟であるルベリウス王子にガーネットは留学をやめて傍にいて欲しいと願う。 処刑された時、留学中でいなかった彼がガーネットの傍にいることで運命は大きく変わっていく。 これは、不憫な地味令嬢が華麗な悪女へと変貌して周囲を魅了し、幼馴染の天才王子にも溺愛され、ざまぁして幸せになる物語です。

【完結】前代未聞の婚約破棄~なぜあなたが言うの?~【長編】

暖夢 由
恋愛
「サリー・ナシェルカ伯爵令嬢、あなたの婚約は破棄いたします!」 高らかに宣言された婚約破棄の言葉。 ドルマン侯爵主催のガーデンパーティーの庭にその声は響き渡った。 でもその婚約破棄、どうしてあなたが言うのですか? ********* 以前投稿した小説を長編版にリメイクして投稿しております。 内容も少し変わっておりますので、お楽し頂ければ嬉しいです。

処理中です...