婚約者と親友に裏切られた伯爵令嬢は侯爵令息に溺愛される

Karamimi

文字の大きさ
15 / 55

第15話:集団婚約破棄が行われました

しおりを挟む
必死に訴えるジェファーソン様。あのような映像が流れたのに、まだ私との婚約を継続したいだなんて。とてもじゃないけれど、無理だわ。

「ジェファーソン様、私はもう…」

「貴様、どこまで娘をバカにするつもりだ!そもそもこの国では、不貞行為はタブー視されている最低な行為だぞ!おい、今すぐ婚約破棄の書類を持ってきてくれ!今すぐだ。この場で婚約破棄をしてやる!」

私の言葉を遮る様に、頭に血が上っていたお父様が、真っ赤な顔をして怒り狂っている。さらに近くに控えていた家の使用人に向かって、書類を持って来いと無理難題まで要求している。さすがにこの場で婚約破棄は…そう思ったのだが。

「それでしたら、どうぞこちらをお使いください」

笑顔でグランディス侯爵家の使用人が、婚約解消届を持ってきた。どうやら事前にたくさん用意していた様で、あちこちに婚約解消届を配っている様だ。

周りを見渡すと、いたるところで怒号や泣き叫ぶ声、謝罪の言葉が飛び交っていた。まさに地獄絵図とはこの事なのだろう。

ふとマリンの方を見ると、マリンの両親が必死に頭を下げていた。そしてマリンは、その場に座り込み、シクシク泣いている。そんなマリンに、笑顔で婚約解消届を持ってサインを迫っているローイン様。

「マーガレット、あの女の事が気になるのは分かるが、まずはこのふしだらな男との婚約破棄からだ。それが終わったら、正式にあのふしだらな女の親に、文句を言いに行くから。とにかくこの書類にサインを!」

完全に興奮状態のお父様に、ペンを握らされた。まさかこんなにあっさりと婚約破棄が出来るだなんて。お父様の気が変わらないうちに、急いでサインをした。

「さあ、後はジェファーソン殿のサインだけです。早く書いてください!さあ、早く!」

「嫌だ、僕はマーガレットを愛しているのだ。絶対にサインなんてしないぞ!」

そう言って泣き叫んでいる。

「それでは仕方がありませんね。我が家は裁判でマーガレットとジェファーソン殿の婚約破棄を申請いたします」

「待ってくれ、アディナス伯爵。息子にはサインをさせるから、どうか裁判だけは…慰謝料もしっかり払うから。ジェファーソン、元はと言えば、お前のまいた種だ。早くサインをしなさい。さあ、早く」

「嫌だ、絶対にサインなんかしないぞ!」


泣きながら抵抗するジェファーソン様を使用人たちと一緒に抑え込み、無理やりサインをさせる伯爵。その光景は異様で、さすがに両親も引いていた。

「よし、少し文字がおかしいが、サインしたぞ。すぐに提出を」

「それでしたら、私共がまとめて提出いたしますので、お預かりいたします」

さっき婚約解消届をくれた使用人が、笑顔で受け取りに来た。

「待ってくれ、僕はマーガレットと婚約破棄なんてしたくないんだ。その紙を返してくれ」

必死に使用人から紙を取り戻そうともがいているジェファーソン様を、使用人たちが担ぎ込むと

「それでは私共はこれで失礼いたします。マーガレット嬢、アディナス伯爵、夫人。今回の件、本当に申し訳ございませんでした。後日、慰謝料について話し合いましょう」

そう言うと、足早に去っていくジェファーソン様のご両親。ジェファーソン様はというと、そのまま使用人たちに担がれて去って行った。

「さあ、次はあの女の元に行こう!」

鼻息荒く歩き出したお父様、その後ろを私の腕をしっかり掴んだお母様が歩き出した。どうやらローイン様とマリンの婚約破棄も無事に成立した様で、マリンは泣きじゃくっていた。マリンのご両親は、真っ青な顔をして俯いている。

「カスタヌーン伯爵、よくも家の娘に酷い事をしてくれましたね!今から我が家でも調査を開始しますが、今聞いたところによると、マリン嬢が故意に嘘の情報を流して、著しくマーガレットの評判を落としたそうではありませんか?これは立派な侮辱罪及び、名誉棄損罪に当たる。書類が整い次第、裁判を起こさせてもらいますから!」

「裁判だなんて…マーガレット嬢には娘が本当に申し訳ない事をしました。もちろん、慰謝料は払います。ですから、どうか裁判だけは…」

「うちの娘は、あなたの娘のせいで被害者にもかかわらず、酷い目にあったのです。絶対に許せることではありませんから!」

お父様が鼻息荒くマリンのお父様に迫っている。

「アディナス伯爵、マリンがマーガレット嬢の評判を落とした証拠なら、既にそろっていますよ。もちろん、我が家も全力でバックアップいたします」

私達の元にやって来たのは、ローイン様だ。

「ローイン殿、それは本当ですか?ありがとうございます。では、ぜひその証拠を元に、すぐにマリン嬢を訴える手続きを行います」

「ちょっと待って下さい。私とマーガレットは、親友なのですよ。確かに行き違いはありましたが。きっとマーガレットは、親友を売ったりなんてしませんわ。そうでしょう?マーガレット」

ここにきて、泣きながら私に訴えてきたのは、マリンだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】田舎暮らしを都会でしているの?と思ったらここはどうやら異世界みたいです。

まりぃべる
恋愛
私、春日凛。 24歳、しがない中小企業の会社員。 …だったはずなんだけど、いつの間にかアスファルトではなくて石畳の街並みに迷い込んでいたみたい。 病院じゃないの? ここどこ?どうして?やっぱり私死んじゃったの!? パン屋のおじさんとおばさんに拾ってもらって、異世界で生きていきます! …そして、どうにかこうにかあって幸せになっちゃうお話です。 ☆28話で完結です。もう出来てますので、随時更新していきます。 ☆この国での世界観です。よろしくお願いします。

地味令嬢は冤罪で処刑されて逆行転生したので、華麗な悪女を目指します!~目隠れ美形の天才王子に溺愛されまして~

胡蝶乃夢
恋愛
婚約者である王太子の望む通り『理想の淑女』として尽くしてきたにも関わらず、婚約破棄された挙句に冤罪で処刑されてしまった公爵令嬢ガーネット。 時間が遡り目覚めたガーネットは、二度と自分を犠牲にして尽くしたりしないと怒り、今度は自分勝手に生きる『華麗な悪女』になると決意する。 王太子の弟であるルベリウス王子にガーネットは留学をやめて傍にいて欲しいと願う。 処刑された時、留学中でいなかった彼がガーネットの傍にいることで運命は大きく変わっていく。 これは、不憫な地味令嬢が華麗な悪女へと変貌して周囲を魅了し、幼馴染の天才王子にも溺愛され、ざまぁして幸せになる物語です。

我慢するだけの日々はもう終わりにします

風見ゆうみ
恋愛
「レンウィル公爵も素敵だけれど、あなたの婚約者も素敵ね」伯爵の爵位を持つ父の後妻の連れ子であるロザンヌは、私、アリカ・ルージーの婚約者シーロンをうっとりとした目で見つめて言った――。 学園でのパーティーに出席した際、シーロンからパーティー会場の入口で「今日はロザンヌと出席するから、君は1人で中に入ってほしい」と言われた挙げ句、ロザンヌからは「あなたにはお似合いの相手を用意しておいた」と言われ、複数人の男子生徒にどこかへ連れ去られそうになってしまう。 そんな私を助けてくれたのは、ロザンヌが想いを寄せている相手、若き公爵ギルバート・レンウィルだった。 ※本編完結しましたが、番外編を更新中です。 ※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。 ※独特の世界観です。 ※中世〜近世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物など、その他諸々は現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっています。 ※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。

【完結】愛してるなんて言うから

空原海
恋愛
「メアリー、俺はこの婚約を破棄したい」  婚約が決まって、三年が経とうかという頃に切り出された婚約破棄。  婚約の理由は、アラン様のお父様とわたしのお母様が、昔恋人同士だったから。 ――なんだそれ。ふざけてんのか。  わたし達は婚約解消を前提とした婚約を、互いに了承し合った。 第1部が恋物語。 第2部は裏事情の暴露大会。親世代の愛憎確執バトル、スタートッ! ※ 一話のみ挿絵があります。サブタイトルに(※挿絵あり)と表記しております。  苦手な方、ごめんなさい。挿絵の箇所は、するーっと流してくださると幸いです。

氷の騎士様は実は太陽の騎士様です。

りつ
恋愛
 イリスの婚約者は幼馴染のラファエルである。彼と結婚するまで遠い修道院の寄宿学校で過ごしていたが、十八歳になり、王都へ戻って来た彼女は彼と結婚できる事実に胸をときめかせていた。しかし両親はラファエル以外の男性にも目を向けるよう言い出し、イリスは戸惑ってしまう。  王女殿下や王太子殿下とも知り合い、ラファエルが「氷の騎士」と呼ばれていることを知ったイリス。離れている間の知らなかったラファエルのことを令嬢たちの口から聞かされるが、イリスは次第に違和感を抱き始めて…… ※他サイトにも掲載しています ※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました

【完結】気味が悪いと見放された令嬢ですので ~殿下、無理に愛さなくていいのでお構いなく~

Rohdea
恋愛
───私に嘘は通じない。 だから私は知っている。あなたは私のことなんて本当は愛していないのだと── 公爵家の令嬢という身分と魔力の強さによって、 幼い頃に自国の王子、イライアスの婚約者に選ばれていた公爵令嬢リリーベル。 二人は幼馴染としても仲良く過ごしていた。 しかし、リリーベル十歳の誕生日。 嘘を見抜ける力 “真実の瞳”という能力に目覚めたことで、 リリーベルを取り巻く環境は一変する。 リリーベルの目覚めた真実の瞳の能力は、巷で言われている能力と違っていて少々特殊だった。 そのことから更に気味が悪いと親に見放されたリリーベル。 唯一、味方となってくれたのは八歳年上の兄、トラヴィスだけだった。 そして、婚約者のイライアスとも段々と距離が出来てしまう…… そんな“真実の瞳”で視てしまった彼の心の中は─── ※『可愛い妹に全てを奪われましたので ~あなた達への未練は捨てたのでお構いなく~』 こちらの作品のヒーローの妹が主人公となる話です。 めちゃくちゃチートを発揮しています……

婚約破棄された竜好き令嬢は黒竜様に溺愛される。残念ですが、守護竜を捨てたこの国は滅亡するようですよ

水無瀬
ファンタジー
竜が好きで、三度のご飯より竜研究に没頭していた侯爵令嬢の私は、婚約者の王太子から婚約破棄を突きつけられる。 それだけでなく、この国をずっと守護してきた黒竜様を捨てると言うの。 黒竜様のことをずっと研究してきた私も、見せしめとして処刑されてしまうらしいです。 叶うなら、死ぬ前に一度でいいから黒竜様に会ってみたかったな。 ですが、私は知らなかった。 黒竜様はずっと私のそばで、私を見守ってくれていたのだ。 残念ですが、守護竜を捨てたこの国は滅亡するようですよ?

【完結】前代未聞の婚約破棄~なぜあなたが言うの?~【長編】

暖夢 由
恋愛
「サリー・ナシェルカ伯爵令嬢、あなたの婚約は破棄いたします!」 高らかに宣言された婚約破棄の言葉。 ドルマン侯爵主催のガーデンパーティーの庭にその声は響き渡った。 でもその婚約破棄、どうしてあなたが言うのですか? ********* 以前投稿した小説を長編版にリメイクして投稿しております。 内容も少し変わっておりますので、お楽し頂ければ嬉しいです。

処理中です...