婚約者と親友に裏切られた伯爵令嬢は侯爵令息に溺愛される

Karamimi

文字の大きさ
18 / 55

第18話:ローイン様は素敵な方です

しおりを挟む
マリンに向かってつい叫んでしまったが、これじゃあまるで、私もローイン様が好きみたいじゃない。

「あの…そう言う意味ではなくて…その…」

「マーガレット嬢、やっぱり君は、あの時とちっとも変っていないのだね」

ローイン様におもいっきり抱きしめられた。ちょっと、私は令息に抱きしめられた経験なんて無いのよ。元婚約者のジェファーソン様にだって、抱きしめられたことがないのに…

「ロ…ローイン様、どうか落ち着いて下さい」

「ごめん、つい嬉しくて。さっきのセリフ、初めて俺たちが会った時に、君が俺に言ってくれた言葉そのものだ。まさかまた、あの言葉が聞けるだなんて思わなかったよ」

「それはその…あの時は馴れ馴れしく話し掛けてしまい、申し訳ございませんでした。ただ、あまりにもお美しい瞳をしていらしたので、つい。私は今でも、あなた様の瞳はこの国一、いいえ、世界一美しいと思っておりますわ。空と海、両方の色を持っていらっしゃるだなんて」

「君は空と海が大好きだと言っていたからね。“あなた様の瞳の色は、私の大好きな色。2色とも持っていらっしゃるだなんて、羨ましいですわ”そう言って目を輝かせていたね。俺はあの時の君の嬉しそうな顔が、今でも鮮明に残っているのだよ。あの日から俺は、君の事を思い続けていたんだ」

確かにあの時、そんな事を言った様な。ローイン様がとても魅力的で、正義感溢れた令息だと言う事は分かった。でも、やはり私は今さっき婚約破棄をしたばかりだ。はい次!と、すぐに心を切り替えられるほど、器用ではない。

「あの、ローイン様。私は今さっきジェファーソン様と婚約破棄が成立したばかりです。正直今は、別の殿方をとは考えられません。申し訳ございません」

深々とローイン様に頭を下げた。

「マーガレット、なんて事を!ローイン殿、申し訳ございません。ただ、マーガレットはこの1ヶ月、物凄く辛い思いをいたしまして。本人にも、心の整理をする時間が必要かと」

「ええ、分かっていますよ。ただ、マーガレット嬢の顔を見たら、どうしても気持ちを伝えたくなったのです。マーガレット嬢、ただでさえ混乱している中、余計に混乱させてしまってすまなかった。それでも俺は、マーガレット嬢と未来を歩みたいと考えている。どうか、その事は覚えておいて欲しい。これからは自分の気持ちに正直に生きたい、君に振り向いてもらえる様に、精一杯頑張るよ」

ローイン様はそう言うと、にっこり微笑んでいる。まさかローイン様が、私にそんな感情を抱いていただなんて。

「マーガレットをそんな風に思って下さり、本当にありがとうございます。それに今回の件、あなた様が色々と証拠を集めて下さったお陰で、真実を知ることが出来ました。全てローイン殿のお陰です」

「ローイン様、私からもお礼を言わせてください。マリンとジェファーソン様の不貞を証明してくださった上、私の名誉まで回復してくださり、本当にありがとうございました」

彼が居なかったら、今頃きっと、修道院に行きたいと両親に泣いて訴えていただろう。この世の理不尽さに絶望し、もしかしたら生きる希望さえ失っていたかもしれない。そんな中、ローイン様が真実を全て明るみに出してくれた。そう、私の無念を、一瞬にしてはらしてくれたのだ。

ローイン様には、感謝してもしきれない程の恩がある。

「俺は当たり前の事をしただけだ。それに何より俺自身も、あんな尻軽女と結婚なんて、絶対に御免だったしね。さっきも言ったが、これからは俺自身の幸せの為に行動しようと思っている。マーガレット嬢、助けるのが遅くなって本当に申し訳なかった。本当はあの時助ければよかったのだけれど、色々と準備があってね」

「あの…お話し中申し訳ございません。ですが、どうしてもマーガレット様に謝罪がしたくて…マリン様の大嘘に騙され、あなた様に酷い事をしてしまい本当にごめんなさい。自分の婚約者を寝取られているとも知らずに、マリン様に肩入れした自分が恥ずかしいですわ」

「私も、まさかマリン様があのような方だっただなんて…マーガレット様、本当に申し訳ございませんでした。私達にこんな事を言われても不愉快に思われるかもしれませんが、ローイン様は私たち被害女性にも配慮してくださりました。わざわざ私たちの元に訪れ、婚約者が不貞を働いている事、自身の誕生日パーティーで悪事を公にしたい事をお話ししてくださったのです。そのうえで、私たちの同意を求めてから、今回の件を公表されたのですよ」

不貞行為の公表は、貴族の義務。証拠を持っているにも関わらず公表しない場合は、協力者とみなされることもあるため、不貞行為の証拠を掴んだ時点で、公表する必要があるのだ。その為、今回のローイン様の公表は、ある意味貴族の義務を果たした事になる。

それでもローイン様は、被害令嬢たちの事を考え、予め報告に行っていただなんて…
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】田舎暮らしを都会でしているの?と思ったらここはどうやら異世界みたいです。

まりぃべる
恋愛
私、春日凛。 24歳、しがない中小企業の会社員。 …だったはずなんだけど、いつの間にかアスファルトではなくて石畳の街並みに迷い込んでいたみたい。 病院じゃないの? ここどこ?どうして?やっぱり私死んじゃったの!? パン屋のおじさんとおばさんに拾ってもらって、異世界で生きていきます! …そして、どうにかこうにかあって幸せになっちゃうお話です。 ☆28話で完結です。もう出来てますので、随時更新していきます。 ☆この国での世界観です。よろしくお願いします。

地味令嬢は冤罪で処刑されて逆行転生したので、華麗な悪女を目指します!~目隠れ美形の天才王子に溺愛されまして~

胡蝶乃夢
恋愛
婚約者である王太子の望む通り『理想の淑女』として尽くしてきたにも関わらず、婚約破棄された挙句に冤罪で処刑されてしまった公爵令嬢ガーネット。 時間が遡り目覚めたガーネットは、二度と自分を犠牲にして尽くしたりしないと怒り、今度は自分勝手に生きる『華麗な悪女』になると決意する。 王太子の弟であるルベリウス王子にガーネットは留学をやめて傍にいて欲しいと願う。 処刑された時、留学中でいなかった彼がガーネットの傍にいることで運命は大きく変わっていく。 これは、不憫な地味令嬢が華麗な悪女へと変貌して周囲を魅了し、幼馴染の天才王子にも溺愛され、ざまぁして幸せになる物語です。

我慢するだけの日々はもう終わりにします

風見ゆうみ
恋愛
「レンウィル公爵も素敵だけれど、あなたの婚約者も素敵ね」伯爵の爵位を持つ父の後妻の連れ子であるロザンヌは、私、アリカ・ルージーの婚約者シーロンをうっとりとした目で見つめて言った――。 学園でのパーティーに出席した際、シーロンからパーティー会場の入口で「今日はロザンヌと出席するから、君は1人で中に入ってほしい」と言われた挙げ句、ロザンヌからは「あなたにはお似合いの相手を用意しておいた」と言われ、複数人の男子生徒にどこかへ連れ去られそうになってしまう。 そんな私を助けてくれたのは、ロザンヌが想いを寄せている相手、若き公爵ギルバート・レンウィルだった。 ※本編完結しましたが、番外編を更新中です。 ※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。 ※独特の世界観です。 ※中世〜近世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物など、その他諸々は現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっています。 ※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。

【完結】愛してるなんて言うから

空原海
恋愛
「メアリー、俺はこの婚約を破棄したい」  婚約が決まって、三年が経とうかという頃に切り出された婚約破棄。  婚約の理由は、アラン様のお父様とわたしのお母様が、昔恋人同士だったから。 ――なんだそれ。ふざけてんのか。  わたし達は婚約解消を前提とした婚約を、互いに了承し合った。 第1部が恋物語。 第2部は裏事情の暴露大会。親世代の愛憎確執バトル、スタートッ! ※ 一話のみ挿絵があります。サブタイトルに(※挿絵あり)と表記しております。  苦手な方、ごめんなさい。挿絵の箇所は、するーっと流してくださると幸いです。

氷の騎士様は実は太陽の騎士様です。

りつ
恋愛
 イリスの婚約者は幼馴染のラファエルである。彼と結婚するまで遠い修道院の寄宿学校で過ごしていたが、十八歳になり、王都へ戻って来た彼女は彼と結婚できる事実に胸をときめかせていた。しかし両親はラファエル以外の男性にも目を向けるよう言い出し、イリスは戸惑ってしまう。  王女殿下や王太子殿下とも知り合い、ラファエルが「氷の騎士」と呼ばれていることを知ったイリス。離れている間の知らなかったラファエルのことを令嬢たちの口から聞かされるが、イリスは次第に違和感を抱き始めて…… ※他サイトにも掲載しています ※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました

【完結】気味が悪いと見放された令嬢ですので ~殿下、無理に愛さなくていいのでお構いなく~

Rohdea
恋愛
───私に嘘は通じない。 だから私は知っている。あなたは私のことなんて本当は愛していないのだと── 公爵家の令嬢という身分と魔力の強さによって、 幼い頃に自国の王子、イライアスの婚約者に選ばれていた公爵令嬢リリーベル。 二人は幼馴染としても仲良く過ごしていた。 しかし、リリーベル十歳の誕生日。 嘘を見抜ける力 “真実の瞳”という能力に目覚めたことで、 リリーベルを取り巻く環境は一変する。 リリーベルの目覚めた真実の瞳の能力は、巷で言われている能力と違っていて少々特殊だった。 そのことから更に気味が悪いと親に見放されたリリーベル。 唯一、味方となってくれたのは八歳年上の兄、トラヴィスだけだった。 そして、婚約者のイライアスとも段々と距離が出来てしまう…… そんな“真実の瞳”で視てしまった彼の心の中は─── ※『可愛い妹に全てを奪われましたので ~あなた達への未練は捨てたのでお構いなく~』 こちらの作品のヒーローの妹が主人公となる話です。 めちゃくちゃチートを発揮しています……

婚約破棄された竜好き令嬢は黒竜様に溺愛される。残念ですが、守護竜を捨てたこの国は滅亡するようですよ

水無瀬
ファンタジー
竜が好きで、三度のご飯より竜研究に没頭していた侯爵令嬢の私は、婚約者の王太子から婚約破棄を突きつけられる。 それだけでなく、この国をずっと守護してきた黒竜様を捨てると言うの。 黒竜様のことをずっと研究してきた私も、見せしめとして処刑されてしまうらしいです。 叶うなら、死ぬ前に一度でいいから黒竜様に会ってみたかったな。 ですが、私は知らなかった。 黒竜様はずっと私のそばで、私を見守ってくれていたのだ。 残念ですが、守護竜を捨てたこの国は滅亡するようですよ?

【完結】前代未聞の婚約破棄~なぜあなたが言うの?~【長編】

暖夢 由
恋愛
「サリー・ナシェルカ伯爵令嬢、あなたの婚約は破棄いたします!」 高らかに宣言された婚約破棄の言葉。 ドルマン侯爵主催のガーデンパーティーの庭にその声は響き渡った。 でもその婚約破棄、どうしてあなたが言うのですか? ********* 以前投稿した小説を長編版にリメイクして投稿しております。 内容も少し変わっておりますので、お楽し頂ければ嬉しいです。

処理中です...