20 / 55
第20話:マーガレット嬢との出会い~ローイン視点~
しおりを挟む
俺の瞳は、右目と左目の色が違う。この国では非常に珍しいらしく、貴族の中でも俺くらいしかいない。この国は閉鎖的で考え方も古く、自分たちと特徴が違う人間を受け入れられない性質を持っているのだ。
他国では一般的な俺の瞳。でも、この国では一般的ではない。そのせいで子供の頃から、ずっと瞳の色の事を言われ続けていた。
“左右で瞳の色が違うだなんて、なんだかおかしいわ”
“右目と左目で色が違うだなんて、お前何かの病気なんじゃないのか?俺たちに近づくなよ”
“もしかして夫人は、他国の殿方との間に子供をもうけたのではなくって”
など、俺の瞳の色のせいで、母上までも悪く言われる事もあった。どうして俺は、左右で瞳の色が違うのだろう。
外に出れば俺は好奇な目で見られる。それが辛くてたまらなくて、次第に引きこもる様になっていった。わざと前髪を延ばして、瞳を隠したりもした。
そんな俺に母上は
「ローイン、あなたの瞳、とても素敵よ。私のおばあ様が他国出身で、あなたと同じように左右で瞳の色が違ったのよ。この国では珍しいかもしれないけれど、他国では割と普通なの。この国の人は、閉鎖的な人が多いだけよ。そのうち皆慣れるわ」
そう言って慰めてくれた。そしてなんとかして俺を外に出そうと躍起になっていた。両親に強引に外に連れ出されては、令嬢や令息たちに好奇な目で見られたり、時には心無い言葉を吐かれる事もあった。
中には
「見てみろよ、ローイン殿の瞳。俺が言った通りだろう?左右で色が違うんだ」
「本当だ。あんな人間がこの世にいるのだな」
そう言って俺を見て笑う奴もいた。俺は見世物じゃない!どうして俺は、皆と同じように両目同じ色じゃないんだ。どうして俺だけ、皆と違うんだ。そのせいで俺は…
こんな瞳、大嫌いだ!完全に心がひん曲がった俺は、増々引きこもる様になっていった。部屋からほとんど出ず、毎日を過ごす。そんなある日、俺の8歳の誕生日パーティーが行われた。と言っても、俺はもちろん参加せずに部屋から出る事はない。
ただ、両親は
「あなたのお誕生パーティーなのよ。せっかくだから、少しだけでも外に出てみましょう」
そう声をかけて来たのだ。
「嫌だよ。どうせまた皆、俺の瞳を見てバカにするのがオチだ。俺はもう、傷つきたくはない」
もう俺は、傷つきたくはないのだ。
「ローイン、お前は侯爵家の嫡男だ。いつまでも引きこもっている訳にはいかない。さあ、一緒に来なさい」
「嫌だ、離してくれ」
父上に担がれ、そのままパーティー会場へと強制的に連れてこられた。案の定、俺を皆が好奇の目で見つめる。
“あの方が噂のローイン様ですの。本当に左右で瞳の色が違うのね”
“本当だ、色が違う。変なの”
あちらこちらから、心無い言葉が飛び交う。だから俺は、外になんて出たくなかったんだ。悔しくて涙が込みあげてきた時だった。
「まあ、なんて美しい瞳なのでしょう。あなた様が噂の、ローイン様ですね。初めまして、私はマーガレット・アディナスと申します。どうぞお見知りおきを」
満面の笑みで近づいてきた令嬢、この子、俺の瞳を見ても驚かないのか?
「本当にお美しい瞳ですわ。真っ青な雲一つない空をイメージさせる美しいスカイブルーの左目、どこまでも広がる壮大な海をイメージさせる、エメラルドグリーンの右目。なんて綺麗なのでしょう。私、先日家族で旅行に行ったのですが、そこで見た青い空とエメラルドグリーンの海の色と同じですわ。私、スカイブルーもエメラルドグリーンも、大好きなのです。羨ましいですわ、美しい色を2つも持ち合わせているだなんて…」
うっとりと俺の瞳を見つめるマーガレット嬢。
「君は俺の瞳の色が変だとは思わないのかい?」
ポツリと呟くと
「何をどう見たら変なのですか?とても美しい瞳ではありませんか?ブルーとエメラルドグリーンの2つの色を持っていらっしゃるだなんて、最高です。そういえばさっきから、失礼な事を申していた方たちもいましたけれど、きっと皆、瞳の色を2色持っていらっしゃるローイン様が羨ましいのですわ。私も羨ましいですもの」
そう言ってマーガレット嬢が笑ったのだ。
「それにしても、鬱陶しい前髪ですわね。せっかくのお美しい瞳の色が、見えませんわ。ローイン様の瞳、本当に魅力的ですのに。勿体ない」
俺の前髪を上げて、呟いているマーガレット嬢。
「コラ、マーガレット。お前は何をやっているのだ。ローイン殿、娘がとんだ無礼を働き、申し訳ございませんでした。ほら、マーガレットも謝りなさい」
マーガレット嬢の父親がやって来て、彼女を叱りつけている。
「ごめんなさい、あなたの瞳が、あまりにも美しかったから、つい興奮してしまって…馴れ馴れしくしてしまい、申し訳ございませんでした」
さっきまで嬉しそうにしていたのに、今度はしおらしく謝るマーガレット嬢。そのギャップがおかしくて、つい声を上げて笑ってしまった。
「アディナス伯爵、気にしないで下さい。マーガレット嬢、俺の瞳、そんなに素敵かい?」
「ええ、とても素敵ですわ。本当にあの時見た空と海の色と同じで。私、空と海の色、大好きなのです。両方持ち合わせているだなんて、贅沢ですわ」
俺が話しかけると、途端に笑顔に戻ったマーガレット嬢。この子、なんだか可愛いな。
「コラ、マーガレット。ローイン殿、本当に申し訳ございません。マーガレット、もう帰るぞ!それでは私たちはこれで」
アディナス伯爵が、マーガレット嬢を連れて行ってしまったのだった。
他国では一般的な俺の瞳。でも、この国では一般的ではない。そのせいで子供の頃から、ずっと瞳の色の事を言われ続けていた。
“左右で瞳の色が違うだなんて、なんだかおかしいわ”
“右目と左目で色が違うだなんて、お前何かの病気なんじゃないのか?俺たちに近づくなよ”
“もしかして夫人は、他国の殿方との間に子供をもうけたのではなくって”
など、俺の瞳の色のせいで、母上までも悪く言われる事もあった。どうして俺は、左右で瞳の色が違うのだろう。
外に出れば俺は好奇な目で見られる。それが辛くてたまらなくて、次第に引きこもる様になっていった。わざと前髪を延ばして、瞳を隠したりもした。
そんな俺に母上は
「ローイン、あなたの瞳、とても素敵よ。私のおばあ様が他国出身で、あなたと同じように左右で瞳の色が違ったのよ。この国では珍しいかもしれないけれど、他国では割と普通なの。この国の人は、閉鎖的な人が多いだけよ。そのうち皆慣れるわ」
そう言って慰めてくれた。そしてなんとかして俺を外に出そうと躍起になっていた。両親に強引に外に連れ出されては、令嬢や令息たちに好奇な目で見られたり、時には心無い言葉を吐かれる事もあった。
中には
「見てみろよ、ローイン殿の瞳。俺が言った通りだろう?左右で色が違うんだ」
「本当だ。あんな人間がこの世にいるのだな」
そう言って俺を見て笑う奴もいた。俺は見世物じゃない!どうして俺は、皆と同じように両目同じ色じゃないんだ。どうして俺だけ、皆と違うんだ。そのせいで俺は…
こんな瞳、大嫌いだ!完全に心がひん曲がった俺は、増々引きこもる様になっていった。部屋からほとんど出ず、毎日を過ごす。そんなある日、俺の8歳の誕生日パーティーが行われた。と言っても、俺はもちろん参加せずに部屋から出る事はない。
ただ、両親は
「あなたのお誕生パーティーなのよ。せっかくだから、少しだけでも外に出てみましょう」
そう声をかけて来たのだ。
「嫌だよ。どうせまた皆、俺の瞳を見てバカにするのがオチだ。俺はもう、傷つきたくはない」
もう俺は、傷つきたくはないのだ。
「ローイン、お前は侯爵家の嫡男だ。いつまでも引きこもっている訳にはいかない。さあ、一緒に来なさい」
「嫌だ、離してくれ」
父上に担がれ、そのままパーティー会場へと強制的に連れてこられた。案の定、俺を皆が好奇の目で見つめる。
“あの方が噂のローイン様ですの。本当に左右で瞳の色が違うのね”
“本当だ、色が違う。変なの”
あちらこちらから、心無い言葉が飛び交う。だから俺は、外になんて出たくなかったんだ。悔しくて涙が込みあげてきた時だった。
「まあ、なんて美しい瞳なのでしょう。あなた様が噂の、ローイン様ですね。初めまして、私はマーガレット・アディナスと申します。どうぞお見知りおきを」
満面の笑みで近づいてきた令嬢、この子、俺の瞳を見ても驚かないのか?
「本当にお美しい瞳ですわ。真っ青な雲一つない空をイメージさせる美しいスカイブルーの左目、どこまでも広がる壮大な海をイメージさせる、エメラルドグリーンの右目。なんて綺麗なのでしょう。私、先日家族で旅行に行ったのですが、そこで見た青い空とエメラルドグリーンの海の色と同じですわ。私、スカイブルーもエメラルドグリーンも、大好きなのです。羨ましいですわ、美しい色を2つも持ち合わせているだなんて…」
うっとりと俺の瞳を見つめるマーガレット嬢。
「君は俺の瞳の色が変だとは思わないのかい?」
ポツリと呟くと
「何をどう見たら変なのですか?とても美しい瞳ではありませんか?ブルーとエメラルドグリーンの2つの色を持っていらっしゃるだなんて、最高です。そういえばさっきから、失礼な事を申していた方たちもいましたけれど、きっと皆、瞳の色を2色持っていらっしゃるローイン様が羨ましいのですわ。私も羨ましいですもの」
そう言ってマーガレット嬢が笑ったのだ。
「それにしても、鬱陶しい前髪ですわね。せっかくのお美しい瞳の色が、見えませんわ。ローイン様の瞳、本当に魅力的ですのに。勿体ない」
俺の前髪を上げて、呟いているマーガレット嬢。
「コラ、マーガレット。お前は何をやっているのだ。ローイン殿、娘がとんだ無礼を働き、申し訳ございませんでした。ほら、マーガレットも謝りなさい」
マーガレット嬢の父親がやって来て、彼女を叱りつけている。
「ごめんなさい、あなたの瞳が、あまりにも美しかったから、つい興奮してしまって…馴れ馴れしくしてしまい、申し訳ございませんでした」
さっきまで嬉しそうにしていたのに、今度はしおらしく謝るマーガレット嬢。そのギャップがおかしくて、つい声を上げて笑ってしまった。
「アディナス伯爵、気にしないで下さい。マーガレット嬢、俺の瞳、そんなに素敵かい?」
「ええ、とても素敵ですわ。本当にあの時見た空と海の色と同じで。私、空と海の色、大好きなのです。両方持ち合わせているだなんて、贅沢ですわ」
俺が話しかけると、途端に笑顔に戻ったマーガレット嬢。この子、なんだか可愛いな。
「コラ、マーガレット。ローイン殿、本当に申し訳ございません。マーガレット、もう帰るぞ!それでは私たちはこれで」
アディナス伯爵が、マーガレット嬢を連れて行ってしまったのだった。
141
あなたにおすすめの小説
【完結】田舎暮らしを都会でしているの?と思ったらここはどうやら異世界みたいです。
まりぃべる
恋愛
私、春日凛。
24歳、しがない中小企業の会社員。
…だったはずなんだけど、いつの間にかアスファルトではなくて石畳の街並みに迷い込んでいたみたい。
病院じゃないの?
ここどこ?どうして?やっぱり私死んじゃったの!?
パン屋のおじさんとおばさんに拾ってもらって、異世界で生きていきます!
…そして、どうにかこうにかあって幸せになっちゃうお話です。
☆28話で完結です。もう出来てますので、随時更新していきます。
☆この国での世界観です。よろしくお願いします。
地味令嬢は冤罪で処刑されて逆行転生したので、華麗な悪女を目指します!~目隠れ美形の天才王子に溺愛されまして~
胡蝶乃夢
恋愛
婚約者である王太子の望む通り『理想の淑女』として尽くしてきたにも関わらず、婚約破棄された挙句に冤罪で処刑されてしまった公爵令嬢ガーネット。
時間が遡り目覚めたガーネットは、二度と自分を犠牲にして尽くしたりしないと怒り、今度は自分勝手に生きる『華麗な悪女』になると決意する。
王太子の弟であるルベリウス王子にガーネットは留学をやめて傍にいて欲しいと願う。
処刑された時、留学中でいなかった彼がガーネットの傍にいることで運命は大きく変わっていく。
これは、不憫な地味令嬢が華麗な悪女へと変貌して周囲を魅了し、幼馴染の天才王子にも溺愛され、ざまぁして幸せになる物語です。
我慢するだけの日々はもう終わりにします
風見ゆうみ
恋愛
「レンウィル公爵も素敵だけれど、あなたの婚約者も素敵ね」伯爵の爵位を持つ父の後妻の連れ子であるロザンヌは、私、アリカ・ルージーの婚約者シーロンをうっとりとした目で見つめて言った――。
学園でのパーティーに出席した際、シーロンからパーティー会場の入口で「今日はロザンヌと出席するから、君は1人で中に入ってほしい」と言われた挙げ句、ロザンヌからは「あなたにはお似合いの相手を用意しておいた」と言われ、複数人の男子生徒にどこかへ連れ去られそうになってしまう。
そんな私を助けてくれたのは、ロザンヌが想いを寄せている相手、若き公爵ギルバート・レンウィルだった。
※本編完結しましたが、番外編を更新中です。
※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。
※独特の世界観です。
※中世〜近世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物など、その他諸々は現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっています。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。
【完結】愛してるなんて言うから
空原海
恋愛
「メアリー、俺はこの婚約を破棄したい」
婚約が決まって、三年が経とうかという頃に切り出された婚約破棄。
婚約の理由は、アラン様のお父様とわたしのお母様が、昔恋人同士だったから。
――なんだそれ。ふざけてんのか。
わたし達は婚約解消を前提とした婚約を、互いに了承し合った。
第1部が恋物語。
第2部は裏事情の暴露大会。親世代の愛憎確執バトル、スタートッ!
※ 一話のみ挿絵があります。サブタイトルに(※挿絵あり)と表記しております。
苦手な方、ごめんなさい。挿絵の箇所は、するーっと流してくださると幸いです。
氷の騎士様は実は太陽の騎士様です。
りつ
恋愛
イリスの婚約者は幼馴染のラファエルである。彼と結婚するまで遠い修道院の寄宿学校で過ごしていたが、十八歳になり、王都へ戻って来た彼女は彼と結婚できる事実に胸をときめかせていた。しかし両親はラファエル以外の男性にも目を向けるよう言い出し、イリスは戸惑ってしまう。
王女殿下や王太子殿下とも知り合い、ラファエルが「氷の騎士」と呼ばれていることを知ったイリス。離れている間の知らなかったラファエルのことを令嬢たちの口から聞かされるが、イリスは次第に違和感を抱き始めて……
※他サイトにも掲載しています
※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました
【完結】気味が悪いと見放された令嬢ですので ~殿下、無理に愛さなくていいのでお構いなく~
Rohdea
恋愛
───私に嘘は通じない。
だから私は知っている。あなたは私のことなんて本当は愛していないのだと──
公爵家の令嬢という身分と魔力の強さによって、
幼い頃に自国の王子、イライアスの婚約者に選ばれていた公爵令嬢リリーベル。
二人は幼馴染としても仲良く過ごしていた。
しかし、リリーベル十歳の誕生日。
嘘を見抜ける力 “真実の瞳”という能力に目覚めたことで、
リリーベルを取り巻く環境は一変する。
リリーベルの目覚めた真実の瞳の能力は、巷で言われている能力と違っていて少々特殊だった。
そのことから更に気味が悪いと親に見放されたリリーベル。
唯一、味方となってくれたのは八歳年上の兄、トラヴィスだけだった。
そして、婚約者のイライアスとも段々と距離が出来てしまう……
そんな“真実の瞳”で視てしまった彼の心の中は───
※『可愛い妹に全てを奪われましたので ~あなた達への未練は捨てたのでお構いなく~』
こちらの作品のヒーローの妹が主人公となる話です。
めちゃくちゃチートを発揮しています……
婚約破棄された竜好き令嬢は黒竜様に溺愛される。残念ですが、守護竜を捨てたこの国は滅亡するようですよ
水無瀬
ファンタジー
竜が好きで、三度のご飯より竜研究に没頭していた侯爵令嬢の私は、婚約者の王太子から婚約破棄を突きつけられる。
それだけでなく、この国をずっと守護してきた黒竜様を捨てると言うの。
黒竜様のことをずっと研究してきた私も、見せしめとして処刑されてしまうらしいです。
叶うなら、死ぬ前に一度でいいから黒竜様に会ってみたかったな。
ですが、私は知らなかった。
黒竜様はずっと私のそばで、私を見守ってくれていたのだ。
残念ですが、守護竜を捨てたこの国は滅亡するようですよ?
【完結】前代未聞の婚約破棄~なぜあなたが言うの?~【長編】
暖夢 由
恋愛
「サリー・ナシェルカ伯爵令嬢、あなたの婚約は破棄いたします!」
高らかに宣言された婚約破棄の言葉。
ドルマン侯爵主催のガーデンパーティーの庭にその声は響き渡った。
でもその婚約破棄、どうしてあなたが言うのですか?
*********
以前投稿した小説を長編版にリメイクして投稿しております。
内容も少し変わっておりますので、お楽し頂ければ嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる