33 / 55
第33話:少しずつ前に進んでいます
しおりを挟む
ローイン様のお誕生日パーティーという名の暴露イベントが終わってから、早2ヶ月。
すぐに処分が決まった令息たちとは違い、中々処分が決まらなかったマリンも、ついに私への名誉棄損罪と侮辱罪で有罪が確定し、この国の最北端にある収容所に収容された。
収容所事態非常に過酷な場所なのに、最北端にある収容所はさらに過酷と聞く。正直少し可哀そうな気もしたが、あの時私に浴びせた暴言や、彼女の嘘のせいで生きる事すら辛かった日々を思い出すと、自業自得だと感じる自分もいるのだ。
そして先日、貴族たちから罵声を浴びせられながら、収容所に連れて行かれたとの事。私は実際にその様子を見ていないが、見に行った令息たちの話では、相当ひどい扱いを受けていたらしい。
“もう令嬢の面影なんて微塵もなかったよ”
そう教えてくれた。マリンの両親も慰謝料を支払い切れず、爵位をはく奪、一生強制労働施設で過ごすことも決まっている。マリンは自分の人生はもちろん、家族の人生も滅茶苦茶にしたのだ。少しは自分の浅はかな行動を反省してくれることを願っている。
そして私はというと、毎日クラスメイト達と楽しい時間を過ごしている。ショックで寝込んでいた令嬢たちも、学院に通い始めた。そして彼女たちからも、改めて謝罪を受けた。
また、前代未聞の集団婚約破棄があった事を受け、何の落ち度もない被害令嬢たちを救うべく、貴族学院を始め貴族たちが色々と手を尽くしてくれている。
我が国では、学院を卒院と同時に、結婚する貴族も多い。この国の結婚適齢年齢は、17~20歳と言われている。その為、急に婚約者を失った被害令嬢たちの為に、頻繁に夜会が行われているのだ。
中には王宮主催の夜会もあり、国を挙げて被害者の令嬢たちの支援を行ってくれている。そのお陰か、婚約者の不貞にショックを受けていた令嬢たちも、少しずつ前を向き始めている。
「マーガレット様、またボーっとしてどうされたのですか?」
おっといけない、ついまた色々と考えてしまった。ちなみに今は、貴族学院のお昼休み。令嬢たちと一緒に昼食をとっているのだ。
「いえ、何でもありませんわ。それよりも、来月の夜会のドレス、どうされますか?」
来月も私達令嬢の為に、ノエル殿下が王宮で夜会を開いてくれることになっているのだ。
「私は自分の瞳の色のドレスを着ようと思っております」
「私はその…」
少し恥ずかしそうに言葉を詰まらせているのは、ユア様だ。副騎士団長をしていらっしゃる侯爵令息様の猛アプローチを受けているのだ。彼は熱心にユア様の家に通い、両親とも仲良しだとの事。
ユア様もそんな彼に惹かれている様だ。彼女の様に、他の令息から猛アプローチを受けている被害令嬢は意外に多い。中には既に、親同士が話し合い、婚約できる時期に来たら婚約をするという約束を交わしている令嬢もいるのだ。
私達被害令嬢たちを全力で支えて下さる貴族の皆様には、本当に感謝しかない。
「マーガレット様は今回もローイン様にエスコートして頂けるのでしょう?」
「ええ」
実はローイン様から気持ちを伝えられたあの日から、ローイン様から猛アプローチを受けている。最初は戸惑っていたが、今では随分と慣れた。
それに彼は、いつも私の気持ちを優先してくれる。それがなんだかとても新鮮なのだ。
ジェファーソン様も私を愛してくれていたけれど、今思えばいつも監視されていて少し息苦しかったのだ。
ジェファーソン様…
彼と婚約して7年、ジェファーソン様は少し私を縛り付ける事もあったけれど、それでも私は幸せだった。でも、もう二度とあの日には戻れないのだ。何より私が、彼を許すことなど出来ないのだから。
つい3ヶ月前までは、まさかこんな事になるだなんて夢にも思わなかった。よく考えてみると、まだあの悪夢の光景を見てから、3ヶ月しか経っていないのね。なんだかもう何年も前の様な気がするわ。
それくらい私にとって、この3ヶ月は色々とあったのだ。でも、それももうおしまい。私も他の令嬢を見習って、少しずつ前に進んでいきたい。
幸いこんな私を愛してくれる殿方もいるのだ。正直まだ、ローイン様が本当に私の事を愛してくれているだなんて信じられない。それでも私に寄り添ってくれる彼と歩む未来も考えていきたいと思っている。
「またマーガレット様はボーっとして。でも、色々と考える事がありますわよね。私もこの2ヶ月、本当にたくさん涙を流しました」
「私もですわ。まさか愛していた婚約者が、あんな不貞を行っていただなんて…思い出しただけでも吐き気がします」
「私もです。でもこうやって、私と同じように傷つき苦しんだ同志たちがいると思うと、なんだか心強いのですわ。私達、苦しんだ分絶対に幸せになりましょうね」
そう言って令嬢たちが笑っている。そうよね、いつまでもくよくよ考えても仕方がない、私もこれからは、前を向いて生きていこう。
「マーガレット様、見て下さい。木の陰からローイン様がこちらの見ていらっしゃいますわ。きっとマーガレット様と一緒にいられないか、様子を見に来たのですね」
そう言って令嬢たちがくすくすと笑っている。もう、ローイン様ったら。彼はいつも、ああやって私の様子を伺っているのだ。
「ローイン様、またそんなところから隠れて見て。お声をかけて下さればいいのに」
「すまない、君が万が一令嬢たちに虐められていたらと思うと、気が気ではなくてね」
どうやらまだローイン様は、私が令嬢たちに無視されていた時の事を心配してくれている様だ。本当にこの人は…
すぐに処分が決まった令息たちとは違い、中々処分が決まらなかったマリンも、ついに私への名誉棄損罪と侮辱罪で有罪が確定し、この国の最北端にある収容所に収容された。
収容所事態非常に過酷な場所なのに、最北端にある収容所はさらに過酷と聞く。正直少し可哀そうな気もしたが、あの時私に浴びせた暴言や、彼女の嘘のせいで生きる事すら辛かった日々を思い出すと、自業自得だと感じる自分もいるのだ。
そして先日、貴族たちから罵声を浴びせられながら、収容所に連れて行かれたとの事。私は実際にその様子を見ていないが、見に行った令息たちの話では、相当ひどい扱いを受けていたらしい。
“もう令嬢の面影なんて微塵もなかったよ”
そう教えてくれた。マリンの両親も慰謝料を支払い切れず、爵位をはく奪、一生強制労働施設で過ごすことも決まっている。マリンは自分の人生はもちろん、家族の人生も滅茶苦茶にしたのだ。少しは自分の浅はかな行動を反省してくれることを願っている。
そして私はというと、毎日クラスメイト達と楽しい時間を過ごしている。ショックで寝込んでいた令嬢たちも、学院に通い始めた。そして彼女たちからも、改めて謝罪を受けた。
また、前代未聞の集団婚約破棄があった事を受け、何の落ち度もない被害令嬢たちを救うべく、貴族学院を始め貴族たちが色々と手を尽くしてくれている。
我が国では、学院を卒院と同時に、結婚する貴族も多い。この国の結婚適齢年齢は、17~20歳と言われている。その為、急に婚約者を失った被害令嬢たちの為に、頻繁に夜会が行われているのだ。
中には王宮主催の夜会もあり、国を挙げて被害者の令嬢たちの支援を行ってくれている。そのお陰か、婚約者の不貞にショックを受けていた令嬢たちも、少しずつ前を向き始めている。
「マーガレット様、またボーっとしてどうされたのですか?」
おっといけない、ついまた色々と考えてしまった。ちなみに今は、貴族学院のお昼休み。令嬢たちと一緒に昼食をとっているのだ。
「いえ、何でもありませんわ。それよりも、来月の夜会のドレス、どうされますか?」
来月も私達令嬢の為に、ノエル殿下が王宮で夜会を開いてくれることになっているのだ。
「私は自分の瞳の色のドレスを着ようと思っております」
「私はその…」
少し恥ずかしそうに言葉を詰まらせているのは、ユア様だ。副騎士団長をしていらっしゃる侯爵令息様の猛アプローチを受けているのだ。彼は熱心にユア様の家に通い、両親とも仲良しだとの事。
ユア様もそんな彼に惹かれている様だ。彼女の様に、他の令息から猛アプローチを受けている被害令嬢は意外に多い。中には既に、親同士が話し合い、婚約できる時期に来たら婚約をするという約束を交わしている令嬢もいるのだ。
私達被害令嬢たちを全力で支えて下さる貴族の皆様には、本当に感謝しかない。
「マーガレット様は今回もローイン様にエスコートして頂けるのでしょう?」
「ええ」
実はローイン様から気持ちを伝えられたあの日から、ローイン様から猛アプローチを受けている。最初は戸惑っていたが、今では随分と慣れた。
それに彼は、いつも私の気持ちを優先してくれる。それがなんだかとても新鮮なのだ。
ジェファーソン様も私を愛してくれていたけれど、今思えばいつも監視されていて少し息苦しかったのだ。
ジェファーソン様…
彼と婚約して7年、ジェファーソン様は少し私を縛り付ける事もあったけれど、それでも私は幸せだった。でも、もう二度とあの日には戻れないのだ。何より私が、彼を許すことなど出来ないのだから。
つい3ヶ月前までは、まさかこんな事になるだなんて夢にも思わなかった。よく考えてみると、まだあの悪夢の光景を見てから、3ヶ月しか経っていないのね。なんだかもう何年も前の様な気がするわ。
それくらい私にとって、この3ヶ月は色々とあったのだ。でも、それももうおしまい。私も他の令嬢を見習って、少しずつ前に進んでいきたい。
幸いこんな私を愛してくれる殿方もいるのだ。正直まだ、ローイン様が本当に私の事を愛してくれているだなんて信じられない。それでも私に寄り添ってくれる彼と歩む未来も考えていきたいと思っている。
「またマーガレット様はボーっとして。でも、色々と考える事がありますわよね。私もこの2ヶ月、本当にたくさん涙を流しました」
「私もですわ。まさか愛していた婚約者が、あんな不貞を行っていただなんて…思い出しただけでも吐き気がします」
「私もです。でもこうやって、私と同じように傷つき苦しんだ同志たちがいると思うと、なんだか心強いのですわ。私達、苦しんだ分絶対に幸せになりましょうね」
そう言って令嬢たちが笑っている。そうよね、いつまでもくよくよ考えても仕方がない、私もこれからは、前を向いて生きていこう。
「マーガレット様、見て下さい。木の陰からローイン様がこちらの見ていらっしゃいますわ。きっとマーガレット様と一緒にいられないか、様子を見に来たのですね」
そう言って令嬢たちがくすくすと笑っている。もう、ローイン様ったら。彼はいつも、ああやって私の様子を伺っているのだ。
「ローイン様、またそんなところから隠れて見て。お声をかけて下さればいいのに」
「すまない、君が万が一令嬢たちに虐められていたらと思うと、気が気ではなくてね」
どうやらまだローイン様は、私が令嬢たちに無視されていた時の事を心配してくれている様だ。本当にこの人は…
120
あなたにおすすめの小説
【完結】田舎暮らしを都会でしているの?と思ったらここはどうやら異世界みたいです。
まりぃべる
恋愛
私、春日凛。
24歳、しがない中小企業の会社員。
…だったはずなんだけど、いつの間にかアスファルトではなくて石畳の街並みに迷い込んでいたみたい。
病院じゃないの?
ここどこ?どうして?やっぱり私死んじゃったの!?
パン屋のおじさんとおばさんに拾ってもらって、異世界で生きていきます!
…そして、どうにかこうにかあって幸せになっちゃうお話です。
☆28話で完結です。もう出来てますので、随時更新していきます。
☆この国での世界観です。よろしくお願いします。
我慢するだけの日々はもう終わりにします
風見ゆうみ
恋愛
「レンウィル公爵も素敵だけれど、あなたの婚約者も素敵ね」伯爵の爵位を持つ父の後妻の連れ子であるロザンヌは、私、アリカ・ルージーの婚約者シーロンをうっとりとした目で見つめて言った――。
学園でのパーティーに出席した際、シーロンからパーティー会場の入口で「今日はロザンヌと出席するから、君は1人で中に入ってほしい」と言われた挙げ句、ロザンヌからは「あなたにはお似合いの相手を用意しておいた」と言われ、複数人の男子生徒にどこかへ連れ去られそうになってしまう。
そんな私を助けてくれたのは、ロザンヌが想いを寄せている相手、若き公爵ギルバート・レンウィルだった。
※本編完結しましたが、番外編を更新中です。
※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。
※独特の世界観です。
※中世〜近世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物など、その他諸々は現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっています。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。
氷の騎士様は実は太陽の騎士様です。
りつ
恋愛
イリスの婚約者は幼馴染のラファエルである。彼と結婚するまで遠い修道院の寄宿学校で過ごしていたが、十八歳になり、王都へ戻って来た彼女は彼と結婚できる事実に胸をときめかせていた。しかし両親はラファエル以外の男性にも目を向けるよう言い出し、イリスは戸惑ってしまう。
王女殿下や王太子殿下とも知り合い、ラファエルが「氷の騎士」と呼ばれていることを知ったイリス。離れている間の知らなかったラファエルのことを令嬢たちの口から聞かされるが、イリスは次第に違和感を抱き始めて……
※他サイトにも掲載しています
※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました
【完結】気味が悪いと見放された令嬢ですので ~殿下、無理に愛さなくていいのでお構いなく~
Rohdea
恋愛
───私に嘘は通じない。
だから私は知っている。あなたは私のことなんて本当は愛していないのだと──
公爵家の令嬢という身分と魔力の強さによって、
幼い頃に自国の王子、イライアスの婚約者に選ばれていた公爵令嬢リリーベル。
二人は幼馴染としても仲良く過ごしていた。
しかし、リリーベル十歳の誕生日。
嘘を見抜ける力 “真実の瞳”という能力に目覚めたことで、
リリーベルを取り巻く環境は一変する。
リリーベルの目覚めた真実の瞳の能力は、巷で言われている能力と違っていて少々特殊だった。
そのことから更に気味が悪いと親に見放されたリリーベル。
唯一、味方となってくれたのは八歳年上の兄、トラヴィスだけだった。
そして、婚約者のイライアスとも段々と距離が出来てしまう……
そんな“真実の瞳”で視てしまった彼の心の中は───
※『可愛い妹に全てを奪われましたので ~あなた達への未練は捨てたのでお構いなく~』
こちらの作品のヒーローの妹が主人公となる話です。
めちゃくちゃチートを発揮しています……
婚約破棄された竜好き令嬢は黒竜様に溺愛される。残念ですが、守護竜を捨てたこの国は滅亡するようですよ
水無瀬
ファンタジー
竜が好きで、三度のご飯より竜研究に没頭していた侯爵令嬢の私は、婚約者の王太子から婚約破棄を突きつけられる。
それだけでなく、この国をずっと守護してきた黒竜様を捨てると言うの。
黒竜様のことをずっと研究してきた私も、見せしめとして処刑されてしまうらしいです。
叶うなら、死ぬ前に一度でいいから黒竜様に会ってみたかったな。
ですが、私は知らなかった。
黒竜様はずっと私のそばで、私を見守ってくれていたのだ。
残念ですが、守護竜を捨てたこの国は滅亡するようですよ?
地味令嬢は冤罪で処刑されて逆行転生したので、華麗な悪女を目指します!~目隠れ美形の天才王子に溺愛されまして~
胡蝶乃夢
恋愛
婚約者である王太子の望む通り『理想の淑女』として尽くしてきたにも関わらず、婚約破棄された挙句に冤罪で処刑されてしまった公爵令嬢ガーネット。
時間が遡り目覚めたガーネットは、二度と自分を犠牲にして尽くしたりしないと怒り、今度は自分勝手に生きる『華麗な悪女』になると決意する。
王太子の弟であるルベリウス王子にガーネットは留学をやめて傍にいて欲しいと願う。
処刑された時、留学中でいなかった彼がガーネットの傍にいることで運命は大きく変わっていく。
これは、不憫な地味令嬢が華麗な悪女へと変貌して周囲を魅了し、幼馴染の天才王子にも溺愛され、ざまぁして幸せになる物語です。
【完結】愛してるなんて言うから
空原海
恋愛
「メアリー、俺はこの婚約を破棄したい」
婚約が決まって、三年が経とうかという頃に切り出された婚約破棄。
婚約の理由は、アラン様のお父様とわたしのお母様が、昔恋人同士だったから。
――なんだそれ。ふざけてんのか。
わたし達は婚約解消を前提とした婚約を、互いに了承し合った。
第1部が恋物語。
第2部は裏事情の暴露大会。親世代の愛憎確執バトル、スタートッ!
※ 一話のみ挿絵があります。サブタイトルに(※挿絵あり)と表記しております。
苦手な方、ごめんなさい。挿絵の箇所は、するーっと流してくださると幸いです。
【完結】前代未聞の婚約破棄~なぜあなたが言うの?~【長編】
暖夢 由
恋愛
「サリー・ナシェルカ伯爵令嬢、あなたの婚約は破棄いたします!」
高らかに宣言された婚約破棄の言葉。
ドルマン侯爵主催のガーデンパーティーの庭にその声は響き渡った。
でもその婚約破棄、どうしてあなたが言うのですか?
*********
以前投稿した小説を長編版にリメイクして投稿しております。
内容も少し変わっておりますので、お楽し頂ければ嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる